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【創作】小説のアイデアは無限です?

もしも、小説やエッセイを
書きたいと考えている人なら、
本屋さんで
「あ、こういう手があったか?
やられたなあ…!」
そう思わせられる出会いって
ありますよね?

たとえば、
門井慶喜さんの『銀河鉄道の父』。 
映画にもなったし、
直木賞にもなった作品です。

宮沢賢治の伝記や評伝は
もう既にたくさん類書がある。
ただ、宮沢賢治を書くのではなく、
その父親目線で、
わがままなダメ息子として 
賢治を書いたらどうなるだろう?
きっと新しい発見がたくさんある。
実にうまいアングルを、
作者の門井さんは発見しましたね。

宮沢賢治で新しい目線の評伝を
書きたいと考えていた人には、
悔しいというか、
ほぞをかむ心境だったでしょう。

こうした伝説の作家や人物を描く際、 
周囲の人を主人公に据える発想。
時折り、出現しては喝采を浴びる。

今度は自分だって思いつくぞ、
と思うんですが、これが 
なかなか、できないまま
ズルズル日々が過ぎゆくばかり。
(汗)。

『論語』で知られる孔子を
その愛弟子の視点から描いた
井上靖『孔子』も、 
なるほどこんな手があったかあ?
と唸らせられました。

大河ドラマで話題の
『源氏物語』の翻訳?でも、
光源氏を主役にして書き直した
橋本治の『源氏物語』に 
出会った時は、
うわ、光源氏自身の目線?
この発想はなかったわあ。
やっぱり橋本治は凄いなあと 
脱帽したものでした。

田辺聖子さんや
瀬戸内寂聴さんも、
目線を変化させた
新しい景色な
「シン・源氏物語」を
書いてましたね。

家庭を持ちながら
常に誰かと愛に陥る
作家・壇一雄の生涯を
夫人の目線から語る
沢木耕太郎『壇』という作品も
ありました。
儚く悲しみに満ちた古典芸能を
聴いているような魅力でした。 

ただ、壇一雄の度重なる浮気は
今ならば不倫不倫と言われ、
世から叩かれたでしょうね(汗)。

そういえば、
マリー・アントワネットの
生涯を書いた伝記は
昔からたくさんありますが、
アントワネット自身の目線で、 
描かれた、吉川トリコさんの
『マリー・アントワネットの日記』。 
これを本屋さんで見つけた時も
やはり「やられたあ…」と
叫びそうになったものです(笑)。

正統派の小説というと、
三人称スタイルが圧倒的に多いですが、
その名作や伝記を、
一人称目線で書き直したり、 
または、家族の目線で
語り変えるなどした挑戦的な作品には
ついつい手が伸びます。

こう考えると、
本のアイデアにはまだまだ
限りないでしょうね。

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