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【比較】宮部みゆきと恩田陸では、恩田さんがちょっと損をしている?

恩田陸はなぜかちょっと損を
してるミステリー作家ではないか?
長いあいだ、そう感じながら
読んできました。

損?
それは宮部みゆきと
つい比較してしまうからです。

宮部みゆきは、
昭和後期や平成の
日本社会をあぶり出すような
作品を常に出してきました。

作家として、華がある人、
という印象です。
『魔術はささやく』
『火車』
『理由』
『模倣犯』  
『楽園』
『名もなき毒』
これらは時代の特徴をいつも
射抜くような名作でした。
だから、読者からの歓迎ぶりも、
華がありました。

一方、恩田陸さんは
常に自分が書きたいミステリーや
青春小説、SF、またホラーまで、
縦横無尽に、かつストイックに
常に高いクオリティーを
キープしながら書いてきました。

『六番めの小夜子』で92年デビュー。
『夜のピクニック』
『チョコレートコスモス』
『ユージニア』
『ねじの回転』
『常野物語』シリーズ、
それから大傑作『蜜蜂と遠雷』で、
恩田陸さんはやっと
メジャー作家の地位を
不動のものにできた気がします。
デビューしてから、
25年後でした。
実に苦労人な印象です。

『夜のピクニック』も
本屋大賞になり、ヒットしましだか、
まだ恩田さん独特の
不思議な構成、展開でした。

宮部みゆきさんは
常にドラマチックな
わくわくさせる内容なのに対し、
恩田さんは、
『六番めの小夜子』以来、
あらすじより、 
読ませる不思議な文章力で
読者を引っ張ります。

宮部さんはわかりやすい
ミステリーの世界なら、
恩田さんは余韻や気配を
文章ににじませるクセのある
世界観でやってきました。

友人で、恩田さんを読もうとして、
『六番の小夜子』や
『ネバーランド』から入ると、
スカっとした構成ではないから、 
よく理解しづらい作家だと言うのを、  何度も聞いたことがあります。
ああ、それなら
『夜のピクニック』から
入るのが恩田ワールドには
オススメなのに…と歯がゆく思いました。

恩田さんのストイックな
作風を知るものとしては、
なんとも悔しいです。

だから、恩田陸は
損をしているなあ、
と思ってしまうんです。

同時期に宮部みゆきが
いたという事実が、
いわば、恩田さんの宿命だった
かもしれません。

詠みやすいミステリーが欲しい時は、
宮部さんを、 
ストイックで異風な世界を
読みたい時は、
恩田さんを手に取りますね。
まだまだ二人の戦いは
これからも続いてくんでしょうね。

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