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ここは皆んなが生きる場所

ミナイカシの畑

私は“NPO法人スマイルリング”のスタッフをしている。

“スマイルリング”とは、児童養護施設を卒園した後の青年達が、社会で自立出来るよう、悩み事や相談にのったり、一時的に“スマイルリングホーム🏠”で生活をしてもらいながら、社会生活を送れるようになるまでの支援を行なっている団体である。

また、今年からは間口を広げ、少年院を出所した後の青年の支援も行おうとしているところである。

このNPOが生まれた背景には、代表理事の
“堀田豊稔”の思いがある。

彼は、児童養護施設出身者では無いが、若い頃にはとんでも無い悪で、暴走族の総長、少年院、ヤクザ、入れ墨、刑務所…と、およそ普通の人とは正反対な青春時代を送った。

そんな彼がどうして変わったのか。
それは、“入れ墨ボクサー 川嵜タツキ”と出会ったからだ。
そして、その川嵜タツキに会わせて貰った、“元ライト級日本チャンピオン 坂本博之”にも出会えたから。

堀田は、この2人の“兄さん、兄貴”に、何処までもくっついて行った。
行く先々で、皆んなが幸せそうな笑顔になって行く事に驚愕し、また、彼らと一緒にいる事で、『薄汚れた自分の命がどんどん漂白されていくのが分かった』と言う。

それからの彼は、寝ても冷めても青年達の相談に乗り続けた。
自分がかつて居た“帯広少年院”では講和や面会を重ね、時には親代わりに運動会に出たり、夏にはアイスを届けたり…。
そんな堀田に、大人達から酷い目に遭ってきた青年達は、心を開いた。
『助けて下さい』との声が、どんどん届くようになってきた。

私はそんな堀田の(私は堀ちゃんと呼んでいる)…堀ちゃんの事を、ずっと見てきた。

付き合いが長い訳では無い。
ただ、馬が合うと言うのもあるけど、彼のやっている事、彼が青年に伝えている事などを隣で見ていて、本当に凄いと思うのだ。

堀ちゃんは優しい。
青年達の心に響く声を持っている。
堀ちゃんは強い。
青年達を守る為なら、何も恐れないし、何をするのも厭わない。

そんな堀ちゃんが、何故だか春に…。
GW後、やっと出稼ぎ先から帰って来たと思ったら、突然『農業やりましょう』と言いだした。
『自然農法で、安全で安心な、美味しい野菜を作りましょう』と言うのだ。全く困ってしまった。今でさえ、こんなに大変なのに、どうして農業なんて…!

でも、彼の話はこうだ。

“今まで、受け入れたくても受け入れられなかった青年の居場所を作りたい。畑で一緒に土を触って働いたり、働けないやつは畑の横っちょで座っててもいい。とにかく居場所を作りたい。
作った野菜を食べて、健康になって欲しい。その野菜を売ったら、活動資金にもなる…”

堀ちゃんは、やりたいと言ったらやりたい男なのだ。反対したって無理なのだ。
だったら、もう堀ちゃんをサポートする方に気持ちを切り替えるしか無い。

それに堀ちゃんの話を聞いているうちに、(ここが堀ちゃんの不思議な…困ったところなのだが)なんだかもう、それをやった方がいいと言う気持ちになってくるのだ。

社会の、何処の網の目からも溢れてしまうような青年達。助けて下さいと、遠くから連絡してくる青年達。そんな彼らと、畑を耕しながら生活を共にしながら、どんな子も幸せにしたいと、堀ちゃんは本気で考えているのだ。
私だってそんな場所が欲しかったんじゃないか。でも、農業なんて…。

そんな葛藤も追いつかないぐらい、『分かったって!応援するから…』と、半ばヤケッパチな気持ちで堀ちゃんにOKサインを出してからは、まさに目の回るような展開が待っていた。

この続きはまた次回に。

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初めての種まきをする、児童養護施設出身の
りゅうま、ベトナム人のカット、そしてNPO法人スマイルリング代表・ミナイカシ代表の堀ちゃん。

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