週末に本屋をはじめる

安曇野市にて『かえるBOOKS』という屋号で週末本屋をはじめました。サラリーマンをやり…

週末に本屋をはじめる

安曇野市にて『かえるBOOKS』という屋号で週末本屋をはじめました。サラリーマンをやりながら趣味の延長を超えて本屋はできるものでしょうか?写真↑はRodyに自力で空気を入れているところです

最近の記事

装釘のすばらしい書物11 「歩く男」

「歩く男」 佐江衆一 三軌舎 昭和51年刊 二重函、四六判。表紙はカメオ嵌込バックスキン革装。 扉には手彩色絵はがき1葉貼付。天金。 見返しにはマーブル紙を使用。 函は麻張りで旅行トランクを模したデザインなのだろうか、文章とリンクしていておもしろい。 函の四隅と題簽は羊革を使用。 この外に、横長の著者家蔵本もある。 これにて28日「書物と装釘」に持ってゆくピックアップ本の紹介は終わりです。 なんとか開催日までに間に合いました。 もちろんこの他にも限定本以外の本も持って行

    • 装釘のすばらしい書物10

      「大手拓次 藍色の蟇抄」 大雅洞 深沢幸雄オリジナル銅版画4葉 本文用紙は越前特漉板目文庫紙。表紙が紺紙雁皮。夫婦箱 別刷り解説なし 大手拓次(1887~1934) 萩原朔太郎と同時代の詩人。朔太郎と同郷で日本近代の口語自由詩を完成させたひとり。 ウィリアム・モリスは「理想の書物」のなかで「できるだけ良質な手漉紙に刷るべき」(晶文社川端康雄訳)と言っていますが、この本文紙は(手漉きかどうか分かりませんが)とても手触りが良いです。 28日の書物とアート07「書物と装釘」に

      • 装釘のすばらしい書物09

        『谷崎潤一郎家集』 家集とは、勅撰(ちょくせん)集・私撰集に対して、個人の和歌集のこと。谷崎の個人的な歌集という意味。 湯川書房より1977年に発行された。 装丁としては、函入り、函の題簽は金、銀撒き。クロス装、背革装のドイツ装になります。 判型が140×240と長方形の形をしている。和歌を記載するためにデザインされたものだと思われる。特殊サイズの印刷製本は規格サイズに比べて煩わしい事が多く、シンプルな造本だが手の込んだものと言える。見えないところに心を砕くというのは、なん

        • 装釘のすばらしい書物08

          「ちゃぶ台 vol.3 教育×地元号」 ミシマ社 2017・11・3発行 コーデックス装 最近よく見かけるようになった製本方式。 「糸綴の背中をそのまま見えるように本を仕立てる仮製本様式で糸綴並製本ともいいます。~最近ではバックレス製本などとも一部で呼ばれています。」(渡邉製本株式会社HPより) コーデックスとは、それまで巻物のかたちであった本であったもの(今でも一巻二巻と言うのはその名残)が、紀元一桁代から、紙を重ねて合わせて綴じる冊子となった。これをコーデックス、コデ

        装釘のすばらしい書物11 「歩く男」

          装釘のすばらしい書物06 07

          「春琴抄」 谷崎潤一郎 昭和11年6月創元社刊 四六判角背上製本。背クロスつぎ表紙。表紙はボール紙に漆塗り、表1の表題の文字は金文字にてすべて手書き。背は金箔押し。 未晒し黄ボール製の粗末な帙が付いている。見返しは和紙もみ紙。 表紙の漆は黒漆と朱漆塗りの二種類がある。装幀は谷崎本人による。(「名著復刻全集解説」より) わたし個人としては、この「春琴抄」の装幀が最も衝撃的なもののひとつですが、「装丁探索」(大貫伸樹)によると、当時批判もおおかったようだ。背のクロスがすぐにボ

          装釘のすばらしい書物06 07

          装釘のすばらしい書物05

          「ランボー詩集」 世界詩人叢書5 大島博光訳 蒼樹社 昭和23年刊 和紙装、ボール紙函。表紙金箔 蔵書印あり 戦後用紙統制の下、印刷用紙の不足で、粗悪な用紙、仙花紙が流行する。 仙花紙(泉貨紙)とは紙の切れ端や様々な端紙を集めて用紙にした、再生紙のはしり。同名で和傘などの地紙に用いられた厚手の和紙もいう。 いわゆるカストリ誌などはこの仙花紙を使用していたため、本を作るときの紙のカスをトリ集めてもう一度創った用紙で作成した雑誌という意味があるそうです。 戦中戦後、洋紙が足り

          装釘のすばらしい書物05

          装釘がすばらしい書物04「桜の樹の下には」

          5/28(日)「書物と装釘」 #書物とアート07 於:マツモトアートセンター が開催されます。当日もっていく本をご紹介しています。 「桜の樹の下には」 梶井基次郎 大雅洞刊 関野準一郎版画4葉 本文フランス装、用紙は手漉き和紙。背革装コフル、総手漉和紙の函 本文は活版印刷だと思われます。 本文もノンブルが金赤で二色刷り。活版での印刷ですと、1色しか刷れないと思うのですが、この場合、2度通して刷っているのでしょうか? 8p折で糸かがりで製本されています。本のサイズは約2

          装釘がすばらしい書物04「桜の樹の下には」

          装釘がすばらしい書物03

          「花ごよみ」 小村定吉 花狂人撰 鶴声居刊 漆塗装。折本装。 本文は手書き肉筆で折本。他に活字本も有る。 新潟出身の造本作家高橋友太郎の私刊本いまでいうZINEの先取り。 高橋氏は元鍛冶屋である。本好きが高じて自費出版するようになる。ほとんどの装丁の仕様は漆塗の表紙で本文は肉筆となっている。 花狂人とは小村定吉(ていきち・通称さだよし) 新潟出身。佐藤春夫門下。小説「由利子と米吉」等 約220×120の縦長の長方形で漆塗りなので、なんとなく位牌を思い起こさせる。狂歌の書

          装釘がすばらしい書物03

          装釘のすばらしい書物02 「初稿 眼球譚」

          .「初稿 眼球譚」 Gバタイユ著 生田耕作訳 サバト館 Gバタイユがオーシュ卿名義で出したポルノ(?)小説。函つき 山本六三挿絵。1977年(昭和52)刊初版 スリップ、図書目録あり 表1にはエンボス加工した用紙を貼り付けて題字は箔押しだと思います。 製本の仕様はドイツ装と呼んで良いのか分かりません。ドイツ装とは背と表1票4の平の部分が別素材で継ぎ表紙となるもの。をいいます。この本は平の表1表4に加工した紙を貼り付けてあると思うのでドイツ装ではないかもしれません。 本文

          装釘のすばらしい書物02 「初稿 眼球譚」

          「装釘のすばらしい書物」01

          「書物と装釘」書物とアート07 5/28(日)マツモトアートセンター1Fにて11:00~17:00開催いたします。 もう早い物で「書物とアート」も七回目になります。 今回のテーマは「装釘」 ということですので、蔵書の中の数少ないですが、「装釘のすばらしい書物」を並べたいとと思います。 ちょうど工芸の五月も開催中ですので、工芸品としての書物、はちょうどぴったりです。 せっかくですので、当日お持ちする本をSNSで紹介していきます。ぜひ、当日は実物をじかにご覧になり、かつ手に取って

          「装釘のすばらしい書物」01

          畳のタイムカプセルから現れた古新聞について

          安曇野市明科にある「堀内畳店」さんとのコラボ企画 3点の古新聞をお借りして、そこから店主がインスピレーションを受けた本を展示いたします。 古畳の中からときどき古い新聞が出てくるのだという。明科にある堀内畳店ではこの新聞紙を保管している。 なぜ新聞が入っているのだろうか。除湿のため? 実をいうと新聞紙にはそれほど長期の除湿効果はないのだという。 するとその当時の畳職人がなんらかの意図を持っていれたと考える方が妥当だ。記念かまたはなんらかのメッセージがあるのかもしれない。何十

          畳のタイムカプセルから現れた古新聞について

          大町シャッターオープンプロジェクト〜1

          のチャレンジショップ 「かえるBOOKS」の設置が完了。去年一年間活動してきたことをまとめるような形での出店となる。 店内は三つのブースからなります。 まず一つ目は 「畳のタイムカプセルから現れた古新聞について」 古新聞の展示と書籍の展示。 明科の堀内畳店さんとのコラボ。畳替えの際でてきた古新聞を保管している堀内畳店さんから3点の古新聞をレンタル。その新聞からインスピレーションを受けた書籍を展示。 その2 ディスプレイとしての本 復刻本をディスプレイとして飾

          大町シャッターオープンプロジェクト〜1

          日だけの古本屋に挑戦〜2

          なぜ週末だけ古本屋を開くのか? もちろん古本屋を生業としたい、というのもないわけではない。 現在生業は印刷業のオペレーターをやっている。毎日毎日本を印刷している。大昔のこと、学生時代のバイトで深夜の菓子パン工場で働いていたことがある。1ヶ月もすると、だんだんと自分が食品を作っているのではなく、工業製品を作っているように思えてしまう。 印刷も同じ。自分が本ではなく、工業製品を作っているような気がする。本ではないのである。大量生産される同じ規格の物なのだ。まあ、当然といえば

          日だけの古本屋に挑戦〜2

          1日だけの古本屋に挑戦〜1

          明日開催される大町シャッタープロジェクト。そこで閉店して空き家となっている店舗を1日だけ借りて古本屋を開く。 割り振られたのは20畳強の元着物屋。自分の今の古本屋としてのキャパを測るのに丁度良いと思い挑戦してみる。 カミさんに手伝ってもらいなんとか搬入&レイアウト作業完了。 やはり、というか部屋の半分ほどしか利用するだけのキャパしか持ち合わせていなかった。本だけならともかく本棚まで持参しなくてはならないのでとうぜんかもしれない。 それでもなかなかいい感じにレイアウトで

          1日だけの古本屋に挑戦〜1

          ようやく落ち着いて考える

          WeekendBookstoreを始めて三ヶ月ほど経過しました。当初縛られていた気負いもとれてきて、まあ、楽になっ来たように思えます。 ただ、来客数が極端に少ない。 多分暇だろう、とは思ってはいましが、これはなんとかしないとまずい。 WeekendBookstoreに出店した目的は、どうすれば『本屋』として採算がとれるような形を模索する、というものだった。 ただ、ここまで来客が少ないとは思ってみなかった。人通りがほぼない。店舗の場所選びは出店する際の重要課題のひとつなのだろう

          ようやく落ち着いて考える

          本を読む体力

          先月からNetflixを契約した。 『アイリッシュマン』が観たかったのだが、それだけでは収まらない。 もともと、バカみたいに間延びした外国のドラマは好きではなかった。シーズン3ぐらいまでが限界で飽きてしまう。ラストを見越して作られていない物語などしまりがなくてやってられない。 だから、『アイリッシュマン』だけ観て契約更新しなければよいと思っていたのだが、 Netflixは奥が深いんだこれがまた ドラマもシーズン2とか3ぐらいで終わっているものが多く、人気がないと打ち