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【コラム】外国人と一緒に働いて知った教訓(2)

"Up to you"
日本語にすると、
「(あなたに)任せるよ〜」「(あなたの)好きにしていいよ〜」
と言う意味の言葉で、よく会話の中でも使われます。

最近では、日本人同士の会話でもたまに聞かれるかな?

日本人的な感覚で聞くと、
「あなたの好きなようにしちゃっていいからね〜」
と言うような、信頼を寄せる様な意味を感じますが・・・

外国人スタッフとの会話の中では、決してそうではないことを、CA時代に学びました😰

国際線のフライトの中で、最も時間を要する業務が、「ミールサービス(食事)」です。
フルサービスキャリアでは、長距離フライトとなると、エコノミークラスでも1食のサービスが終わるのに1時間20分程は要します。
(食前のドリンク⇨ミール配布⇨アイス配布⇨ホットドリンク⇨回収)

それがビジネスクラスやファーストクラスとなると、2時間を超えることも普通で、和食だと会席料理、洋食だとフルコースの内容で、食後酒の提供までを実施します。

いずれにしても、2人1組などでお客様を担当する場面も多いのですが、外国人CAも含めたグループ編成では、マネジメントをする立場として、その場のイニシアチブを図るのが非常に難しい!!

特に、海外ベースのCAは、毎回同じ様な路線を飛び続けているので、それぞれにやり方の定着があると、「業務指示」の出し方に工夫を要します。

指示を出す側の不明確な指示・不慣れで曖昧な様子…
このような場面が見られると、
"Up to you! "
とだけ言われ、完全に単独行動を始めるケースが多くありました。

そこからの数時間は・・・ただただ地獄です🥵笑

「そんな自分勝手な!!」
と思われる方もいるかも知れませんが、これは、完全に指示を出す側(私)のプロとしての技量不足・コミュニケーション力不足・異文化不理解の
結果、招いたことでした。

その当時の私は、"Up to you!"と言われると少し怯んでしまい、
"Thank you!" とか "OK!" としか答えられなかったのです。

しかし、本当にそのスタッフとチームワークを発揮し、良い仕事に繋げたいのであれば、
「今日はこのやり方で行こうと思うのだけど、どう思う?アドバイスを聞かせてほしい!」

「今日は出発時間が遅いから、いつもより早くサービスを終わらせて、お客様にゆっくりお休み頂きたいのだけど、どう工夫したらいいかな?」

「〇〇(外国人CA)さんはこのフライトのプロフェッショナルだから、他のみんなにも注意点をシェアして欲しい!」

「今日の仕事のゴールポイントは〇〇だから、そのインチャージをお願いします!」

といった様な、明確な言葉でのコミュニケーションや、目的の共有、役割の付与、そして何より、プロとしてお互いが存在する認識を持つ必要がありました。

「あ。この人全然ダメだ」
そう思った瞬間の引き方?去り方?はまさに「成果」を重視した信頼関係そのものだったのです。


KesTプログラム「多様性・信頼関係構築研修」掲示資料より

ビジネス上の「信頼関係」には、大きく分けて2つのタイプが存在すると言われています。

簡単に言うと、「成果」を重視する「タスクベース」と、「関係性や過程+成果」を重視する「関係ベース」の二つです。

アジア諸国の中で見ると、日本は「タスクベース寄り」ではありますが、欧米諸国と比較すると完全に「関係ベース」となります。

この知識を退職後に知った時、
「え!!!ホント、まじでこれ!!!」と叫んでしまう程、
腹落ち度がすごかったです。笑

以前も書いた通り、世界6拠点に所属する各国のCA達とフライトすると、
この違いが顕著に感じられます。

最近では、これから外国人雇用を考える、地方の中小企業様とお話させて頂く機会があるのですが、多くの方が「語学力」について心配されています。

しかし、私の経験から言えることは、
「語学力。確かにいらないとは言えない。
しかし、それ以上に相手との信頼関係構築のポイントを知るだけで、
解決できることが無数にある!」
と言うことです。

信頼関係に求めるもの・コミュニケーション特性に合ったアプローチをすること。
それに使うツールの一つが「言語」という立て付けなのだと、
現場叩き上げの私だからこそ、そう実感します!!

ホント…大切なことって、いっつも終わった後に気づくんだよな〜🙈♡笑

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