結局_人間はラベルを付けるのが好きなんだと思う

エシカルファッションについて考えてみた。【結論:エシカルブランドを買うことだけが正義じゃない】

こんにちは、カナダ(トロント)でフリーランスマーケターをしているKEI(@kishikawa1126)です。

2013年4月24日、バングラデシュの首都ダッカ近郊の「ラナプラザビル」が倒壊。1,100人以上の医療労働者が亡くなった崩落事故をご存じでしょうか。

rijans [CC BY-SA 2.0 (https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0)]

この事故の犠牲者の大半は、先進国に輸出されるファストファッションブランドの下請けをしている縫製工場で働く労働者たちで、中には生活のために働く子どももいました。

この悲惨な事故によって、彼らは不当な低賃金で休みなく働かされ、罰則や差別など人権を無視した過酷な労働環境を甘んじて受け入れるしかなかったことなどが判明しました。

自分たちが身に着けている衣服は「誰によって」「どのような労働環境で」作られているのか。

この事故は、ファストファッションを当たり前に買う一般消費者に大きな衝撃を与えました。

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先日、現在マーケターとして参画している企業の経営陣と打ち合わせを行いました。その企業の持つ理念の1つに「エシカル」がありました。

経営者はマーケティング命_と言われるくらい、マーケターとして企業の持つ想いは的確に発信していかないといけません。
とは言え、今回のクライアントに出会うまではわたし自身「エシカルってなに?」という状態だったのです。

そこで、今回はエシカルについて本気出して調べてみた結果、見えてきた自分なりの結論をまとめてみました。

そもそも「エシカル」とは。

まずはここから。

英語にすると「Ethical」。「Ethics」の形容詞です。
Ethics = 倫理 なので、 Ethical = 倫理的な という意味になります。

本来の使い方で言うと、Ethical Fashion(エシカルファッション)や、Ethical Living(エシカルリビング)っといった感じで名詞が続きます。

日本語では英語とは違った意味で横文字が流行ることが多いので、わたしの混乱はここにあったように思います。

最近よく聞く、日本でいうところの「エシカル」とは、「倫理的になろうよ!」つまり「Be Ethical」を指しているように思います。

「倫理的な」って具体的に?

Be Ethicalとは、平たく言うと「正しいことをしましょう」ということです。

身近な例を挙げれば「ポイ捨てはやめよう」とか「路上喫煙はやめよう」とか。当たり前のことだって当然エシカルなのです。

受動喫煙対策だってエシカルの1つです。
詳しくはリンク記事参照。

エシカルファッションとは?

2004年に設立されたエシカルファッションの推進団体The Ethical Fashion Forumでは、エシカルファッションの基準を下記のように定めています。
(英語は割愛しました)

1. ファストファッション、安い使い捨て型のファッション消費に反する
2. 生産において労働者の賃金、権利、労働環境を守っている
3. 動植物の持続可能性をサポートしている
4. 有毒農薬や化学薬品の使用の問題に取り組んでいる
5. 環境に優しい素材を開発、または使用している
6. 水の使用量を最小限にしている
7. リサイクルやエネルギー問題、ゴミ問題に取り組んでいる
8. ファッションにおけるサステナビリティを作りだし、それを広めようとしている
9. 新たな取り組みを人々に知らせ、解決策を広めようとしている
10. 動物の権利を保護している
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よくおしゃれな人が「#エシカルファッション」といったハッシュタグをつけてインスタグラムを投稿しているのを見かけます。

その大抵の場合が、「エシカルブランド」の洋服を着た写真でしょう。

それが悪いってことはもちろんありませんし、それを否定する気もありません。もちろんそれだって歴とした "#エシカルファッション" です。

エシカルブランドとは、上記に則った取り組みをしているブランドを指します。日本だとPeople treePatagoniaが有名どころでしょうか。

でも、本当に「エシカルブランドの洋服を買って着る」それだけが「エシカルファッション」としてできることなんでしょうか?

誰かに譲ること、譲ってもらうこと。それもエシカル。

エシカルブランドの洋服を買うこと自体、もちろんエシカルですし、間違っていません。でも「新品を買う」ということに少し疑問を持ちました。

何か新たなものを生産して、それを消費する。

エシカルな洋服を作っている環境はサステナブル(持続可能)で、フェアトレードと呼ばれる状況だとしても、この一連の流れ自体は、ファストファッションと変わらないと感じたのです。

じゃあ何ができるんだろう?

その時に浮かんできたのが、かの有名なVivienne Westwoodの言葉。

Buy less. Choose well. Make it last.

買いすぎない。賢く選び、長持ちさせる。

わたしに響いたのはこの最後の部分。MAKE IT LAST

英語の「last」には「最後の」という意味の他に動詞として「長持ちさせる」や「持続させる」という意味もあります。

1つのものを大切に使うことも長持ちですが、それを誰かに引き継ぐことができたら?

そんなことができたら最高だと思いませんか?

そこで生まれてきた考え方が「アップサイクル」という新たな方法です。

「アップサイクル」とは、サスティナブル(持続可能)なものづくりの新たな方法論のひとつである。従来から行なわれてきたリサイクル(再循環)とは異なり、単なる素材の原料化、その再利用ではなく、元の製品よりも次元・価値の高いモノを生み出すことを、最終的な目的とする。
©1996-2019 DAI NIPPON PRINTING Co., Ltd.

例えば、着なくなった着物で新たな製品を作り出すこと。

デニムがこんなに可愛いバッグに変身することで新たな価値を生み出し、次の持ち手へと移っていきます。これがアップサイクルです。

あなたの想いの詰まった洋服こそ付加価値

では着なくなった服を誰かに譲ることはエシカルじゃないんでしょうか?

もちろんエシカルです。

繰り返しですが、エシカルとは「正しいことをしよう」ということ。いらなくなったものを捨てずに次の誰かに譲ることは、環境問題も考えていますし、ものを大切にするという点でエシカルと言えます。

さらに、その洋服にあなたの素敵な想いが詰まっていたらどうでしょうか?

それは素敵な、そして唯一無二の付加価値といえると思うのです。

厳密にはアップサイクルの概念には当てはまらないとしても、それでもわたしはこれも立派な一種のアップサイクルだと思います。

スワップイベントで巡り逢った洋服。
フリマで見つけたアイテム。

それらを身につけたファッションは、歴とした #エシカルファッション なのです。

結論:エシカルブランドを買うことだけが正義じゃない。

古着って聞くと、個性的とか、アースカラーとか、森ガールとか、そんなイメージを持つ方が多いと思うんですが、これからはその概念が変わってくると思っています。

きちんとお洋服を使い切ること。

これこそが本来あるべき #エシカルファッション の定義、そして真意なのではないでしょうか。

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わたしが参画しているこちらのアカウント(@modalava)でも、洋服にまつわるストーリーを付加価値としたフリマイベントを定期的に開催しています。

記事より一部抜粋↓

一つ一つの販売アイテムには、「Open Closet Market」オリジナルの“タグ”がついており、状態やサイズだけではなく、その服への思い出が書かれており、購入者が出品者の“ストーリー”と共に服を持ち帰ることが出来るシステムだ。

気になった方はぜひ遊びに来てくださいね!
(わたしはトロント在住なので、現地には行けませんが。。涙)

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