K. K. Yam

Tranquil Rover & Deliberate Writer | 85…

K. K. Yam

Tranquil Rover & Deliberate Writer | 85 Nations Wandered | Subarctic Resident 静かな移動びと & スロウな書き手|85カ国を彷徨|亜寒帯に居住

マガジン

  • DP:UR

    旅は静かな観察と想像、対話でしょうか うたかたの世界を彷徨った記憶の断片、ここにある今日の旅、そして出立つ前の無限の自由を綴る、モノローグとダイアローグとトラべローグ https://dpur.bluishmedia.com

  • Japan Night Sights

    ウェブサイト Japan Night Sights の最新コンテンツを紹介するマガジンです。同サイトは、日本の都市のナイトタイムストーリーを写真と日本語・英語の散文でアーカイブするウェブメディアで、K. K. Yamが2023年に、京都在住の翻訳家、ライター、写真家のアレクサンダー・ファレルと共に開設しました。現在は札幌、東京、京都、大阪のコンテンツを掲載しています。 https://japannightsights.bluishmedia.com

最近の記事

消え去った王国の首都で沈没しかけた旅

 シッキムはインド北東端に位置する、ネパール、ブータン、そして中国のチベット自治区に囲まれた地域。そのほぼ全域は、インドで人口で最小、面積で2番目に小さな州になっている。地図を見ると、インド領の一部が、チベット族系の人々が暮らすシッキム・ヒマラヤ山系に突き刺さっているようでもある。現在のシッキム州はかつて「シッキム王国」と呼ばれる独立国だったが、南アジアの地政の動きに翻弄され、1975年に消滅した。外国人がシッキムを旅をするのに今も「入境証」が必要な理由は、そんな複雑な歴史に

    • Armenia: Noir

      2019年4月、アルメニアを再訪した。 About my revisit to Armenia in April 2019.

      • 熱病に浮かされたキューバ旅

         旅に病(やまい)は付きものだ。  そう話すと、お前は心身が弱い、と笑われることがしばしばある。もちろん道中、健康に過ごすに越したことはない。ただ、予期せぬ事態や体調の変化はあって当然で、それを押してまで義務感で日程をこなすのは、もはや旅ではないのではないか。旅先の病床でぼんやりとそう思いを巡らせつつ、芭蕉翁のあの有名な句を脳内に響かせたことは、幾度もある。これはそんな旅のひとつ、高熱に浮かされて予定変更を余儀なくされた、2013年のキューバ縦断の旅の記憶である。 ー ー 

        • バンコク・夏のはじめ・2016

          ある初夏の日のタイ・バンコクの風景 The scenes of the city of Bangkok on an early summer day in 2016.

        消え去った王国の首都で沈没しかけた旅

        マガジン

        • DP:UR
          16本
        • Japan Night Sights
          10本

        記事

          Shinkansen to Sapporo

          北海道新幹線は現在、札幌駅から新函館北斗駅までの211.5キロメートルの区間の工事が進められている。開業目標は2031年の春。順調にいけばこれから7年後に、すでに開業している新函館北斗駅〜新青森駅間(途中には、津軽海峡の海底を通る青函トンネルもある)と東北新幹線を直通運転して、札幌駅と東京駅がわずか4時間半で結ばれる。それは札幌に住む人や行き来する多くの人にとって、とても快適で効率の良い移動手段になるかもしれない。ああ、早く乗ってみたいなあ。 The Hokkaido Sh

          Shinkansen to Sapporo

          Late winter

          3月に入り、一日の最高気温が0度を少しだけ上回る日が増えてきたことに喜んだのもつかの間、今朝目覚めると窓の外は猛吹雪で、降ったばかりの雪がまた街を覆い尽くそうとしていた。それでも白い雪は、厳冬期に比べて水分を多く含み、少しだけ氷雨に近くなっているようだ。冬の終わりはまだ先だが、春の気配は近付いている。 As March began, I rejoiced in the increasing number of days when the daytime temperatur

          City of wild nature

          札幌市の面積は1,121平方キロメートルで、国内で都市の中では3 番 目に広い。しかしその6 割は亜寒帯気候の原生林のままの山や森林だ。市街化された地域の面積はわずか2 割程度なので、札幌が雄大な自然に包まれた都市であることがわかるだろう。市内中心部から車で30分程度の森の中で、こんなテントハウスを借りて泊まることができる。雪深い季節でももちろんオープンしている。 With an area of 1,121 square kilometers, Sapporo is th

          City of wild nature

          Art festival in the park

          札幌国際芸術祭2024の一環として、大通り公園の公共スペースにアート作品が展示されている。来場者はそれらを見て、聞いて、触って、動かすことができる。もちろん無料だ。背景の札幌テレビ塔も、それらの優れた作品の一部のようだ。 As a part of Sapporo International Art Festival 2024, artworks are on public display in Odori Park. Visitors can see, hear, touc

          Art festival in the park

          Snowman

          巨大な雪だるまが、夕暮れの誰もいない雪道を眺めている。 A giant snowman is watching the empty snow-covered street in the early evening.

          Not really a grid city

          札幌中心部のほとんどの道路は碁盤の目状に整備されている。それは機能的で合理的な都市デザインで、街全体をひとつの巨大な彫刻のように見せている。そんな街の中にも例外的に、曲がった川が流れ、それに沿って道路や橋が碁盤の目とは無関係に作られている地区がある。夕刻のその光景は、他の都市ではごく普通のものかもしれないが、札幌ではあまり見慣れない落ち着いた風情を醸している。 Most streets in central Sapporo are laid out in a grid pa

          Not really a grid city

          Ginza at night

          銀座の中心を、新幹線を含む複数の鉄道路線と首都高速道路が横切っている。日本の首都における交通の大動脈のひとつ。その高架下の空間は商業ビルになっていて、無数のレストラン、バー、居酒屋、ショップが軒を連ねている。その中には高級店も少なくない。店に入ると、頭上を頻繁に疾走する電車や高速道路の振動や騒音が、ほとんど伝わってこないことに驚かされる。 Several railroad lines, including the Shinkansen bullet train, and t

          Ginza at night

          Haneda before dawn

          早朝に出発するフライトに搭乗するため、羽田空港に午前5時45分に到着した。1月だと、この時刻はまだ日の出前。空は漆黒で、空港ターミナルはまだひっそりしている。出発ゲートでは、その日の一番機として離陸する航空機が、静かにそして完璧に準備を整えていた。 I arrived at Haneda Airport at 5:45 a.m. to board an early morning flight. In January, it is still before sunrise.

          Haneda before dawn

          Polaris and Sirius

          札幌市電には、レトロな雰囲気を残す車両に加え、2014年以降に導入された最新型の車両が走っている。「ポラリス」と「シリウス」と名付けられたそれらは、ヨーロッパの都市のトラムにも導入されている車両だ。黒と白のツートンカラーが札幌の街に馴染むのかどうか少し疑問に思っていたのだが、沿線のビルの上階から見下ろすと、そのデザインが雪を乗せた停留所や車の走行跡の残る道路に絶妙にマッチすることがわかった。 In addition to cars that retain a retro a

          Polaris and Sirius

          Reflections of Time

          日が沈んで夕刻が広がり始めると、麻布台ヒルズ森JPタワーのガラスの壁面に、東京タワーが映り込んできた。鋼鉄製の東京のシンボルは1958年に完成し、日本一高いビルは今年11月に開業した。二つの美しい建物が65年の時を超えて、東京の新しい景色を作っている。 As the sun sets over Tokyo, the iconic Tokyo Tower is reflected in the glass walls of the Mori JP Tower in Azabu

          Reflections of Time

          [Jordan] ヨルダン 1200km ロードトリップ (12 of 12 travelogues)

          Dead Sea, Jordan — アカバから死海に向けてヨルダンの西端にあるデッドシーハイウェーを北上する。高度アプリの示す海抜がマイナス350メートルとなる頃に、死海の南端に到着。気候変動と流れ込む水量の減少で死海は縮小しており、現在は南北の2つに別れている。北側の死海にあるホテルのプライベートビーチに繰り出し、さっそく身体を水面に浮かべると、誰かが「胎内体験に近い感覚」と書いていたことを思い出す。死海は超低地のため酸素濃度が高いことや水蒸気によって紫外線が低減されてい

          [Jordan] ヨルダン 1200km ロードトリップ (12 of 12 travelogues)

          [Jordan] ヨルダン 1200km ロードトリップ (11 of 12 travelogues)

          Aqaba Bay & Dead Sea Highway, Jordan — ヨルダンで唯一外海に面する街、アカバ。郊外に紀元前6世紀の遺跡があり、旧約聖書に港町として記述があるなど、その旧市街にはヨルダンの他都市とは異なる独特の趣がある。アカバ湾を挟んだ対岸には、イスラエルの港町やエジプトのシナイ半島を臨める。現在、アカバはヨルダンの海上貿易の拠点。臨海部に経済特区が設置されて、国内他地域に比べて国際的なモノの流通が容易なのが特徴だ。大規模な商業施設を含む総合開発が進み、ペ

          [Jordan] ヨルダン 1200km ロードトリップ (11 of 12 travelogues)