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世界近代文学

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2020年1月の記事一覧

vol.72 ゴーゴリ「狂人日記」を読んで(横田瑞穂訳)

vol.72 ゴーゴリ「狂人日記」を読んで(横田瑞穂訳)

精神病患者とされた、ロシアの下級官吏の日記だった。(1835年発表)

ゴーゴリ「外套」にも出てきた小役人が、今度は精神に障害を持つ40過ぎの男として登場していた。僕には印象深い、いわゆる『ペテルブルグもの』だ。

概要
長官の令嬢に恋してしまった小心者の「おれ」は、犬が人間の言葉で喋り、手紙も書いているという幻覚をとても饒舌に、日記につづる。彼の病態は日増しに悪化し、やがて自分をスペインの王位継

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vol.70 モーパッサン「女の一生」を読んで(新庄嘉章訳)

vol.70 モーパッサン「女の一生」を読んで(新庄嘉章訳)

昨年末から読み始めたこの小説、お正月を通り越してしまった。

作品を読むと、いつでもその背景が知りたくなる。著者の世の中の解釈に興味がわく。「脂肪の塊」は戦争があった。「ボヴァリー夫人」は道徳を考えた。「女の一生」は著者自身のことが気になった。

1883年刊行のフランス文学。

新潮解説にモーパッサンの生涯が載っていた。まさにこの作品で描かれている主人公ジャンヌは、モーパッサンが実際に生きてきた

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