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そのこどこのこ|散文

めぐみは、元気に笑っているか……

とある病院の待合室でのことらしい
偶然にもわたしと同じ苗字だったひとが
見知らぬ男性から声をかけられた、と

見たところ男性はかなりのご老人で
あまり身体の強そうな方ではなかったと

えっと、どこのめぐみさんの事で……?

声をかけられたほうもそれなりの年輩
すぐに頭に浮かぶめぐみさんは、居らず
それも致し方ないこと、わたしと彼は
血縁関係にはない単なる顔見知りなだけ
もっと正しく言うとするならば、
その人とわたしの父親が知り合いなだけ

しかし、この地域では珍しい苗字
他人からすれば血縁だと思うのは極自然

苗字が同じだからと気安く声をかけた、
と話が進んでいきわたしに行き着いたと
わざわざ報告に来てくれた、おじちゃん

そっから一気に脳内タイムトラベラー
中学の頃の恩師がわたしを気にしてたと
笑っているか、と聞いてきたなどと
そんな言葉を聞かされてしまった日にゃ
感動しないで居られましょうか……

思い返せば、あんなことやこんなこと
胃潰瘍になるまで迷惑をかけたこと……
元々が痩せこけた病弱そうな先生だった
死ぬんじゃないかって不安になった事も
泣きながら踠きながら……
「愛」とは何かを教えてくれた、恩師

……何がなんでも、幸せです! と
最高の笑顔を見せてやらねばと感じたさ

自分を気にかけてくれる人のまえで
不幸せですなんて言っては駄目だってね

だってさ、考えてみてよ
自分の大切なひとが苦しんでる姿なんて
見て嬉しいひとなんて居なくない?
傍で支えてあげられるなら助けたいって
そんな気持ちは、わたしにも当然あるよ
だけど傍に居られないひとに心配は
やっぱかけたくないって思ったんだよね

先生、大丈夫だよ!
あのときは、ほんとゴメンね……
いっぱい迷惑をかけたけど、ほらみて
こんなに幸せになったから! って
先生のおかげだよ、って

最高の笑顔をひっさげて会いたいなって
なんとなく、そんな風に思ったんだ……

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