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La. mama|散文

多くを語らずとも読み解ける、君のこと

どこからともなく懐かしい顔ぶれが
僕のもとへと集まってくる薄暗い部屋
それは心なしか寂しそうにも見え
けれども勇気づけられる雰囲気でもある

流れ込んでくる相手の近況や感情
それは決して前途洋々な物ではなかった
僕の顔をみて黙って肩を組んでくる者
無茶苦茶なふざけかたで笑いを誘う者

あいつ、心のなか泣いてるな……

そんな奴に限って、無駄にあかるい
そして必要以上に僕のことを気にかける
最近はどうよ? またあれやろうぜ
そんな言葉に同調するように走る景色

あの日、僕たちは笑っていた……

愛だとか、夢だとか
そんな物の本質なんてどうでも良かった
これが愛なんだ、これが僕らの夢なんだ
両手を高く天に突き刺して声あげて
僕たちは同じ方向をむいて笑っていた

目の前にワインメタリックのベース
見覚えのない傷がついた其れを手に取る
まごうことなき、僕の宝物だったもの
流れ歩いた道をたどったのは、君だった

なぁ、また……あれ、やろうぜ!

本当のことなんて誰にも解りはしない
何処まで行けるかなんて知るはずもない
それでも共に進むことが大切なんだって
希望を棄ててしまっちゃ駄目なんだって

あの日の僕たちが、……そう叫んでいる。

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