汐田海平(SHIOTA Kaihei)

広告とSNS(と映画)の仕事をしている映像分野の人間です。経営者7年生。シェイクトーキ…

汐田海平(SHIOTA Kaihei)

広告とSNS(と映画)の仕事をしている映像分野の人間です。経営者7年生。シェイクトーキョー株式会社(https://www.shake-tokyo.jp/)は4期目になりました。

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Shake,Tokyo株式会社を創業しました

この度「Shake,Tokyo株式会社」を創業しました。 これから"心を震わすシェイク屋さん"の代表としての活動を開始します。 (飲む方のシェイクだと思ってた方、ごめんなさい。胃袋を震わす方のシェイクは、「Shake,Tokyo」と検索すると上位に出てくるシェイクシャックさん等でお楽しみください...!) 思えば、父が医者、母も医者(後に弟も医者)という家庭に育ち、「自分もきっと医者になるんだろうな」と漠然と思っていた僕の心を初めて震わせてくれたのは、映画との出会いでした。

    • 『シティガール未満』を読むために新宿に行った話

      近頃花粉がひどいとみんなが言う。 僕は元来鼻炎持ちで、急な気温の変化はもちろん、気圧によって、飲酒によって、埃によってすぐに鼻水が鼻のキャパを超える。(飛行機の離着陸のときなんか目の奥が痛くなって鼻もぐずぐずになって毎回しんどい思いをしている) しかし、そんな僕が花粉症からのダメージをまったく受けてない。数年前までは毎年花粉に苦しめられていたのに。そんなはずはないと思うけど、どうやら治ったみたいだ。もちろん治療はしていない。鼻の粘膜を焼き焦がすような治療が有効だと聞くが、知ら

      • 高校生の切り取る世界で「映画をつくる方法」を考えた話

        音楽×映画の祭典"MOOSIC LAB 2023"で 『はじめての映画』(大崎章監督)と 『可惜夜(あたらよ)』(村田夕奈監督)を2本立てで観た。 『はじめての映画』 高校生5人組がはじめて映画に挑む様子、その顛末が全編即興で描かれる。 思わず赤面してしまいそうなくらいの瑞々しさを炸裂させながら生きる高校生たちの共同作業。その過程で、彼らなりの大切なものへのこだわりや葛藤が明るみになる。大切なものへの遠近感、は高校生特有の癖があって大人になるとよくこの頃のことを忘れてい

        • ドキュメンタリー映画「世界で戦うフィルムたち 」で描かれる絶望に逆に勇気づけられた話

          ユーロライブで”世界で戦うフィルムたち”(亀山睦実監督)を観た。 「世界」と比べたときの日本映画の現在地は、知れば知るほど絶望を感じざるを得ないような状況にも関わらず、一切の悲観に陥らずに描いたドキュメンタリー。悲しみに暮れるのは簡単で、明るく振る舞うのは難しい、人に元気を与えるのはもっと難しい。日本映画界の課題を知るための入門編でありながら作品の力でエンパワメントする難易度の高いチャンレンジに成功している力作。 前半から後半にかけてグラデーションで内容が変わる構成となっ

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        Shake,Tokyo株式会社を創業しました

          映画宣伝が慢性的に抱える問題“ジャンルウォッシュ”がいよいよ深刻な状態になっている話

          イギリス・香港の国際共同製作映画『モンスーン』の日本版ビジュアルが解禁されたのをきっかけにSNS上で大きな議論が巻き起こっていた。 『モンスーン』のオリジナルのビジュアルは主人公の男と同性の恋愛相手がふたり写ったものだった。しかし日本版ビジュアルでは相手の姿をわざわざ消してひとりのカットとして見せていることが発端となった議論である。 『summer of 85』の公開の際、ティザービジュアルにおいてバイセクシャルの男性キャラクターのピアスを修正し消したこともこれと似たよう

          映画宣伝が慢性的に抱える問題“ジャンルウォッシュ”がいよいよ深刻な状態になっている話

          人は解けないパズルを延々と解きながら死ぬ。

          (このレビューは映画コミュニティSHAKEにて5/25に投稿した内容を整えたものです) 噂に違わぬ傑作でした・・・! オスカー "goes to" アンソニー・ホプキンス主演の「ファーザー」。 凄すぎました。 映画の醍醐味のひとつに、知らない他者の人生に想いを馳せられるということがあると思います。映画館は追体験装置でもありますよね。 「ファーザー」には映画の持つその憑依させる力をまざまざと見せつけられました。 認知症を追体験できるかつてない映像体験ということで話題に

          人は解けないパズルを延々と解きながら死ぬ。

          『ノマドランド』がアカデミー賞有力と言われるワケ。〜アメリカの10年代を総括。そして20年代へ〜

          『ノマドランド』ようやく観てきました。噂に違わぬパワーを受け取ったので、観た勢いそのままに長文レビュー投稿します!(このレビューは映画コミュニティSHAKEにて4/10に投稿した内容を整えたものです) ⚠︎ややネタバレ含みます⚠︎ 称賛されている、実際にノマドの人たちをキャスティングすることによるリアリティはさすが、すごかったです。俳優と非俳優がこんなにも高いレベルで共存できることにも驚かされましたが、やっぱり中心はフランシス・マクドーマンド。彼女の芝居を通して本当にたく

          『ノマドランド』がアカデミー賞有力と言われるワケ。〜アメリカの10年代を総括。そして20年代へ〜

          〜「夢は絶対に叶えなければいけないもの」では決してない〜 夢を掲げる私たちを最強にエンパワメントする映画「野球少女」が凄かった。

          ドラフトの結果が告げられた日。薄暗い廊下に並ぶ、顔を俯くユニフォーム姿の生徒たちのシーンからこの映画は始まる。 プロ野球選手になったと告げられるのは、チームメイトの幼馴染・ジョンホだった。天才野球少女と讃えられたスインではなく。 ジョンホは男、スインは女。 これまで韓国野球の歴史で、女子がプロ契約した事例はない。それどころか高校野球のチームに入部したのも、スインが史上はじめてである。 彼女は有名人だった。野球もプロになった彼より上手かった。中学までは。 いつのまにか筋力に

          〜「夢は絶対に叶えなければいけないもの」では決してない〜 夢を掲げる私たちを最強にエンパワメントする映画「野球少女」が凄かった。

          #2020年映画ベスト10 のタグを観ながら振り返った今年の話。

          Twitterで #2020年映画ベスト10 のタグを眺めながら振り返っていた。 今年の新作では「はちどり」と「ジョジョ・ラビット」が心に深く突き刺さり、忘れられない。 いずれの映画も、苦境や逆境におかれてもなお人間の可能性を肯定する作品だった。 「はちどり」は1990年代の男性優位で女性が抑圧される韓国を舞台に、「ジョジョ・ラビット」は第2次世界大戦下のドイツを舞台に、不条理な弾圧や不遇を子供の視点を通して描かれる。 少年少女を主人公とすることで「私の世界」と「本当

          #2020年映画ベスト10 のタグを観ながら振り返った今年の話。

          いま思えばあの頃、僕が壊れていた原因はパワハラだったのかもしれない。

          僕は大学時代、映画評論を学びながら、大好きな友人たちと自主映画を作っていた。座学に実践に、とにかく映画を知り、つくる日々が楽しくて、昼夜問わず、遊ぶみたいな感覚で没頭していた。我ながら、夢に向かって楽しみながら努力する毎日は輝いていたと思う。 当時YouTubeの広告はまだなかったけど「好きなことで、生きていく」と、何の疑いもなく信じていた。 学生時代にたくさん動き回ったことが功を奏してか、在学中に業界の大人の人たちと知り合い、そのまま仕事に繋がったりして、大学卒業後、企

          いま思えばあの頃、僕が壊れていた原因はパワハラだったのかもしれない。

          この夏がミニシアターで映画を観る最後の夏になるかもしれない

          6月から都内の映画館も再開する見通しですが、 「本当に安全なのか?劇場に行って大丈夫なのか?」 そんな声をよく聞きます。 そのあたりの疑問を解消するために、お医者さんに聞いてきました。 《お医者さんに聞いた"映画館でのコロナ対策大全"》みたいな感じです。 色々調べたり、話を聞いていっても、 当たり前ですが、どこにも確実な安全はないんですよね。 ただ、今回お医者さんに聞いて改めてわかったのは、映画館はリスクが低いということ(いまだクラスタ感染例もゼロ)。 だから

          この夏がミニシアターで映画を観る最後の夏になるかもしれない

          「佐々木、イン、マイマイン」という映画を作るまでの話

          こんなご時世なので、突如として大きな不安に襲われるようなこともありますが、色んなところで、それぞれが大切にしているものに対してたくさんの支援の輪が広がっているのを見聞きするに、折れそうな心が何度も建て直されます。 僕も、大切な作品のクラウドファンディングをしておりまして募集期間が明日(4/30)までと迫っています。 「佐々木、イン、マイマイン」と少し風変わりなタイトルに似合わず、若くて、才能と信念を持った作り手と出演者による、とても熱い作品になると思います。 (よかったら

          「佐々木、イン、マイマイン」という映画を作るまでの話

          難解だなんて嘘!5分でわかる『アンダー・ザ・シルバーレイク』

          ズルいかなとは思ったのですが、正直に白状すると、『アンダー・ザ・シルバーレイク』は5分でわかるというような類の映画ではありません。 あえて言うなら、この映画を捉えるために必要な時間はぴったり140分です。 でも、この映画を楽しむための肝を「5分でわかる」というタイトルに込めたつもりですので、その意味を考えながら読んで頂けますと幸いでございます。 《騙し絵を、動かした。》 動く騙し絵のような映画でした。人が何百年、何千年と追い求めてやまない物語=フィクションの欺瞞を暴くという

          難解だなんて嘘!5分でわかる『アンダー・ザ・シルバーレイク』

          制作会社って何する会社なの?知っておいてほしい映像制作の話。

          制作受託業務において、誰の満足を目指すかというジレンマが常にあります。 目指すべきは、クライアントの満足度なのか、最終的なユーザーの満足度なのか。 クライアントのオーダーの中でユーザーの満足度を高めるべし。というのが模範解答なのだろうけど、前提のオーダーの仕方が、ユーザーのニーズに合致しないケースもあるため、こじ開ける作業が必要になることもしばしば。 このあたりの着地点を探るバランス感覚が、プロデューサーの個性だし、センスなんだと思います。映像制作会社のプロデューサーは

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