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カイ書林 Webマガ Vol 14 No5

このメルマガおよびWebマガ は、弊社がお世話になっている先生方に毎月配信します。 毎月「全国ジェネラリスト・リポート」と「マンスリー・ジャーナルクラブ」を掲載しています。

【新刊案内】

筒井孝子・東光久・長谷川友美編集:看護必要度を使って多職種協働にチャレンジしよう ジェネラリスト教育コンソーシアム Vol.18  4月7日発売

【好評発売中】

  1. 杉本俊郎編集:内科専門医が教えるジェネラリスト診療ツールキット

  2. 医療者のためのリーダーシップ30 の極意 Sanjay Saint&Vineet Chopra,翻訳:和足孝之

  3. 長瀬眞彦著:東洋医学診療に自信がつく本

  4. 梶 有貴、長崎一哉 編集:ジェネラリスト×気候変動― 臨床医は地球規模のSustainability にどう貢献するのか? ジェネラリスト教育コンソーシアム Vol.17

  5. 筒井孝子著:必携 入門看護必要度

  6. 筒井孝子著:ポケット版 看護必要度

  7. 鎌田一宏・東 光久編集:再生地域医療in Fukushima (ジェネラリスト教育コンソーシアム vol. 16)

  8. 東光久編集:「患者力」を引き出すスキル・ツールキット (日常診療ツールキットシリーズ③)

  9. 金子惇・朴大昊監訳「医療の不確実性をマッピングする」

  10. 島田長人編集:急性腹症チャレンジケース―自己学習に役立つ18症例(日本の高価値医療シリーズ⑦)


■2023年度 第20回ジェネラリスト教育コンソーシアムのご案内です。

オンライン・レッスン「わかる・使える 看護必要度を使った多職種協働」を開催します。 新刊「看護必要度を使って多職種協働にチャレンジしよう」を深く学ぶオンライン・レッスン! 看護必要度を使って多職種協働を実践している講師陣による貴重な症例検討会です。 この機会にぜひご参加ください。

講 師:坂田 薫  京都民医連中央病院 看護部長
    松原 健治 株式会社デザインケア みんなのかかりつけ訪問看護ステーション神戸
監 修:筒井孝子  兵庫県立大学大学院 教授
時 間:6月11日(日)14:00-16:00
方 法:オンライン(ケースディスカッション)
参加費:2000円 対 象:全医療職
主 催:株式会社カイ書林
お問合せ:generalist@kai-shorin.co.jp
お申し込みは下記よりお願いします。


■2023年度 第2回Choosing Wisely Japan オンラインレクチャーのご案内

「コロナ2019(COVID-19)医療情報〜混乱の検証〜」
Choosing Wisely(賢明な選択)は、医療者と患者が対話を通じて、科学的な裏づけ(エビデンス)があり、患者にとって真に必要で、かつ副作用の少ない医療(検査、治療、処置)を「賢明に選択」することをめざす、国際的なキャンペーン活動です。 Choosing Wisely Japan は、日本でChoosing Wisely を推進するため、2016 年より活動しています。今回のセミナーでは、「コロナ2019(COVID-19)医療情報〜混乱の検証〜」と題して、Choosing Wisely の観点から、適正な医療の推進のための医療情報について徳田安春先生が講 演します。この機会にぜひご参加ください。

講 師:徳田安春 先生 群星沖縄臨床研修センター
時 間:6 月3 日(土)14:00 ~ 15:30
方 法:オンライン(Zoom)講演と質疑応答
主 催:Choosing Wisely Japan
参加費:1,500 円


■全国ジェネラリストリポート

島根発!地域医療現場と大学を結ぶNeural GP Network
坂口公太
総合診療医センター助教 

 「島根から本気で日本の医療をより良くする」私たちのミッションは、へき地・離島を含むすべての地域住民が安心して過ごせるよう優秀な総合診療医を養成し、持続可能な医療を提供することです。
 高齢化率が35%に達しようとする日本有数の少子高齢化県である島根では、多併存疾患の診療、介護を含めた包括的医療の提供が必須であり、総合診療医の育成が急務です。しかしながら、高度先進医療を提供する大学病院のみでは、よくある疾患をみる、家族をみる、地域をみるという総合診療医の育成は容易ではありません。そこで、私たちは地域の総合診療医を大学の教育に呼び込み、医学生を地域に出し、地域の病院で教育することにしました。
 ミッションを達成すべく、島根発で育てる「総合診療医養成プロジェクト」(Neural GP Network)を2021年島根大学医学部附属病院に立ち上げました。17の医療機関そして150人近いメンバーが年齢や役職、出身大学を問わず連携できるネットワークを構築し、未来の医療体制のあり方を全国そして世界へ提示していくために動き出しています。
 結果として、大学と地域の有機的な繋がりが生まれ、現場を知る総合診療医が教育へ関わることが可能になり、地域医療を支える県内総合診療医割合は全国的平均約2%の中、島根県では約10%と突出し、県内専攻医における総合診療医割合は3年連続で日本一を達成することが出来ました。島根大学内でも教育に対する取り組みが評価され、2年連続優良教育実践表彰を受けることが出来ました。さらに、私たちの取り組みは、島根に住む人の安心・安全を心理的にサポートし、地域に住みたい人を増やす公共的なインフラ価値を提供しているとして2022年度にはGood Design賞金賞も受賞することができました。
 これからも日本のみならず、世界が迎える少子高齢化の先進地として、地域住民と協働しながら総合診療医の育成を軸に新しい医療の形を提示し続けていきます。

■マンスリー・ジャーナルクラブ

複数の生活習慣改善の介入による高齢者の心血管リスクへの影響(FINGER trial)
新道 悠

マウントサイナイ病院 老年医学&緩和ケアフェロー/米国内科専門医  
Lehtisalo J et al. Effect of a multi-domain lifestyle intervention on cardiovascular risk in older people: the FINGER trial. Eur Heart J. 2022 Jun 1;43(21):2054-2061.

内容の要旨: フィンランドで行われた先行研究である「Finnish Geriatric Intervention Study to Prevent Cognitive Impairment and Disability (FINGER)」と呼ばれる、心血管/脳血管系リスク軽減のための介入(食事指導、運動指導、認知機能トレーニング、心血管系/代謝内分泌疾患マネジメント)を同時に複数行うことで、経年的な認知機能低下が認知機能検査上ではやや緩やかになるという研究に端を発した研究です。同様の介入(食事指導、運動指導、認知機能トレーニング、心血管系/代謝内分泌疾患マネジメント)が、高齢者における心血管系/脳血管疾患リスクにどのような影響を与えるかを調査したものです。

結果: フィンランドにおいて、60-77歳までの被験者を生活習慣改善介入群631名と通常管理群628名とに年齢/性別/心血管系リスクなどが均等になるようにランダム振り分けが行われ、2年間にわたって心血管系イベント、脳卒中の発生をプライマリアウトカムに設定して介入試験が行われた。結果として脳卒中/TIAの発生率が介入群において有意に低下を認め(ハザード比: 0.71、95%信頼区間:0.51–0.99、P= 0.043)、特にこの傾向は心血管系疾患の既往がある群においてより有意に認められた。心血管疾患の既往のある群では脳卒中/TIAがハザード比: 0.4(95%信頼区間:0.20-0.81、P= 0.011)心血管疾患がハザード比:0.5 (95%信頼区間:0.28–0.90、P= 0.022)であったが、心血管疾患既往のない群では介入群とコントロールで有意差なしという結果であった。

コメント: 高齢者を対象に、脳血管リスク軽減のための介入を同時に複数行うことが、実際に脳卒中/TIAの発生率低下につながること、さらに既に心血管系疾患の既往がある患者において再発予防の意義が大きいことをデータで示した研究です。単体の介入を調べた先行研究が多い中で、複数の介入を複合した介入試験はより実臨床に近いためその意義は大きいです。

■カイ書林図書館

 CWJ第1回オンライン・レクチャー「COVID-19の教訓と Choosing Wisely Japanの新しいチャレンジ」(演者:小泉俊三先生) の参加者の声をご紹介します。

  • 総論的な内容が理解できて有用であった。

  • 患者の立場のものです。患者が自ら学んでいけるテーマであり、引き続き学んでいきたいと思います。次回以降も楽しみにしております。

  • 医師憲章など良心的な医師の学問的な裏付けが総合診療の普及に繋がると考えており、役に立ちました。

  • 歴史、展開、展望にわたり、欧米のさまざまな潮流の背景も含め大変勉強になりました。自分としては、こうした勉強会に積極的に参加するわけではない層へのアプローチが重要と最近考えており、その点についてもいろいろヒントになる内容が含まれていたと思います。

  • 起承転結に別れた講義は、どれも聞きたい内容ばかりで、あっと言う間の時間でした。ありがとございました。

  • 小泉先生に感謝いたします。包括的なお話でたいへん勉強になりましたし、参加者にも伝わったと思います。

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