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【演劇】オセロー(滋企画)

 2024年2月1日(木)、こまばアゴラ劇場で、滋企画主催の演劇『オセロー(OTHELLO)』を観ました。記録を残します。
 観始める前と観終わった後は、「どうだろう?う~ん。」と思った部分があったのですが、翌日、翌々日ぐらいからじんわり効いてくる舞台でした。

■公演概要

(1)日時・場所

  • 日時:2024年1月31日(水)~2月7日(水)

  • 場所:こまばアゴラ劇場@東京

  • 上演時間:2時間5分(休憩なし)

 上演時間について少し記載します。舞台『オセロー』を忠実に再現すると、3時間以上かかるようです。今回、2時間強ということで、短縮版なのかなと思っていたのですが、小劇場で出演者の人数も限られており、登場人物たちの内面に重点を置く作りとなっていました。

(2)キャスト等(一部だけの記載です)

  • 作:ウィリアム・シェイクスピア(松岡和子訳による)

  • 演出:ニシサトシ

  • 出演:伊東沙保、中川友香、永井茉梨奈、佐藤友、佐藤滋

 佐藤滋さんは、青年団所属の俳優です。その佐藤滋さんが立ち上げたプロデュース公演企画が「滋企画」です。「滋企画」のHPには「大好きな仲間と、やりたいことをやる。しあわせな冒険です。」と記載されていました。
 今回の『オセロー』は滋企画2回目の公演で、1回目は、パトリック・メイヤーズ作の二人芝居『K2』だったそうです。(3回目は、来年、テネシー・ウィリアムズ作の『ガラスの動物園』が予定されているそうです。)

■あらすじ

地中海の海洋都市国家ヴェニス(ベネチア)のムーア⼈将軍オセローが、「嫉妬」(=“green-eyed monster”・緑の⽬の怪物)に狂わされて、愛する妻デズデモーナを殺す。密かに彼を憎む部下イアゴーに策略を弄されて。「でっちあげられた浮気」の動かぬ証拠となったのは盗まれた一枚のハンカチ。それは夫から最愛の妻への最初の贈り物だった。
愛し合う⼆⼈は、いかにして殺し殺されたか?

滋企画HPより

 あらすじだけでも迷いました。記載の仕方次第で、オセロー、デズデモーナ、イアゴーの三角関係が、異なった形で切り取られるように思うのです。それだけ多様な解釈が出来る作品に思います。結局、滋企画のHPからそのまま引用しました。

■感想

(1)感想①:「イアゴー」と演じる伊東沙保さんについて

 はじめに、私は「イアゴー」という役が好きです。興味がある役と言った方が適切でしょうか。
 なぜ、イアゴーは上司である将軍オセローを憎んでいたのか。役職の問題か、人種が異なることの問題か、女性関係か。そして、イアゴーはオセローを尊敬する部分を持っていたのか、など疑問点は様々浮かび上がります。
 シェイクスピアの原作を読み込んだり、解釈を加えてみたり、演じる人の役作りであったりで、深堀り出来る役のように思うのです。

 今回、イアゴーを伊東沙保さんが演じられていました。しかもデズデモーナと1人2役です。一言でいうと、「(役柄として)イヤ~なイアゴー」でした。
 鑑賞後にじわじわ効いてきたのですが、イアゴーがオセローにデズデモーナの浮気をほのめかす場面など、伊東さんの演技が耳や目に残りました。ほのめかすだけでなく、躊躇しながら、オセローの気を引きながら、話します。(あまりこれまで他の舞台では経験なかったのですが、観た日の夜や、睡眠不足だった翌日に効いてきた感じです。)
 他方で、素朴な感じで役が作られていたデズデモーナの話し方や動きも印象に残りました。

 後から思ったのですが、伊東さんは、演技力がある方なのだと思います。(あまり詳しくないのにすみません。)
 私は「演技(役作り)」について、どんなパターンがあるのか、きちんとした本を読んだことはありません。思いついたものをいくつか挙げてみます。憑依型、形から役を作りこんでいくやり方、演じる人の性格を活かすやり方などなど。伊東さんが、今回どんな役作りをしたのか、いつもはどんな風に役作りされるのか、インタビューしてみたくなった位です。
 観ていて、印象に残る「イアゴー」と「デズデモーナ」でした。

(2)感想②:「性」への斬り込み

 今回の滋企画ですが、佐藤滋さん以外の出演者は、4名とも女性でした。
 (1)の流れを踏まえて記載すると、まず、男性の部下であるイアゴーを女性の伊東沙保さん演じられています。これは面白い試みで効果的であったように思います。伊東さんの衣裳は、スーツのベストにスラックスという形でした。
 上記したイアゴーがオセローに、デズデモーナの浮気を密告する場面で、両者ともスーツだったこともあり、私は自分が会社員であることもあることから、現代の上司と部下にも通じるところがあるように受け止めました。(そもそも軍服という設定があるのでしょうが。)

 そして、(イアゴーに利用される?)紳士のロダリーゴ―を3人の女性(中川友香さん、永井茉梨奈さん、佐藤友さん)が、3人1役で演じられていました。(勿論、他の役も演じられています。)
 3人で会話したり、愚痴をこぼしたりする場面があるのですが、これはこれで私の頭に残りました。冒頭に「どうだろう?う~ん。」と、鑑賞後の感想を記載したのですが、3人がこんな雰囲気で話すので、それに引っ張られてしまうというか。(言い訳っぽくてすみません)

 こちらも後から効いてくる感じでした。役の性別を超えて演じるというのも、面白いなと思います。演出のニシサトシさんに意図なども伺ってみたいです。

(3)感想③:デズデモーナの最期

 最後、オセローは、デズデモーナをどのように殺害するのか。私はすごく関心を持っていました。刺殺か、絞殺か、圧殺かなど。将軍という立場で、愛極まった殺人です。
 今回一つの舞台(描かれ方)を観ることが出来てよかったと思います。

■最後に

 今回、『オセロー』を観て、シェイクスピアの四大悲劇(他には、『ハムレット』『リア王』『マクベス』)を少し身近に感じることが出来ました。『オセロー』は入りやすく、最初に鑑賞するのによい作品のように思います。

 追記:『オセロー』を通しで観たのは初めてでしたが、他の演出、他のキャストの作品も見比べてみたいです。また、佐藤滋さんやみなさんが他の舞台ではどうなのかも観てみたいと思いました。(追記ここまで)

 そして、本日はここまでにしたいと思います。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。また、舞台上で、椅子が上手く使われていたので、冒頭の写真はカクカクブックスさんの『椅子』の写真を使用させて頂きました。こちらもありがとうございました。

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