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私の気持ちを楽にしてくれた本〜「普通がいい」という病〜

自分を支えてくれる考え方を持つこと

私が体のセルフケアと同じように大切にしていることがあります。
それは自分の心の支えとなるような考え方を持つことです。
心のセルフケアという感じで、自分に合った精神面を支えてくれる考え方を持つことを心がけています。

普段から自分の生き方の指針となるような考え方であったり、自分の特徴に合っていて気持ちを楽にしてくれる思考法を持っておくことで、気持ちの面でも安定します。

私はそういう考えを自分一人で編み出すよりも、本からたくさんアイデアをもらってきました。
本を読むことで自分の心の整理ができたり、行き詰まった時も、本は自分の生き方に大事なヒントをくれます。
また普段から自分の中にある考えを代弁してくれる本を見つけておくと、迷った時や弱った時に再び読み返すことで気持ちが落ち着きます。

本を読むのが苦手な人は、YouTubeなどで自分に合った考え方の動画を見つけるのもよいと思います。

「普通」に生きることは人を幸せにするのか

私が精神的な不調になった時に読み返す本が何冊かあります。
そのうちの一冊が精神科医の泉谷閑示(いずみやかんじ)さん著作の『「普通がいい」という病』です。

現代人が陥りがちな、みんなと一緒の「普通」に生きることが幸せな道に違いないという価値観に対して、泉谷さんは鋭い指摘をしています。

クライアントにはじめてお会いした時に「どう変わりたくてここにいらしたのですか?」と尋ねますと、「普通になりたいです」と答える人がかなりいらっしゃいます。
その気持ちは分からなくもありませんが、私はそこに、とても寂しいものを感じます。特に日本人がそうなのかもしれませんが、「普通」になりたい人がとても多いのです。
「普通」という言葉には、平凡で皆と同じことが良いことなんだとか、「普通」に生きることが幸せに違いない、という偏った価値観がベッタリとくっついています。
つまり、「普通」になれば「普通」に幸せになれると思い込んでいるわけです。

「普通がいい」という病/泉谷閑示

しかし、私たちが抱いている「普通」という価値観はとても曖昧なものです。

私も長い間「普通」に憧れて、でも「普通」に暮らせない自分を責めて、少しでも「普通」に近づけるようにしなければと思って生きてきました。

でもどんなに頑張っても自分の描く理想の「普通」にはなれなくて、それどころか「普通」に合わせて自分を無理やりコントロールしていたことが、私の苦しみの原因だったんだと気づきました。

疲れやすい自分、繊細で気を使いすぎてしまう自分、何事も何倍も努力しないと人並みにこなせない不器用な自分、などなど。
私が自分のことを「普通」からかけ離れた存在だと決め付けて、自分の性質を否定してばかりで、人並みになるために常に自分をコントロールしていました。

「普通」になれば幸せになれると信じて。

追い求めていた「普通」というのは、社会の大多数の人がしている生活スタイルや価値観なだけであって、それが自分の特性とマッチするのかを考えることをしてきませんでした。

人は一人ひとり性格や体力、得意不得意分野など全てが違うはずなのに、社会の大多数の生活スタイルや価値観に合わせて生きようとすること自体に無理があるのではないかと思うようになりました。

例えば世の中的に週5日働くのが普通だとしても、人によっては体力や体調でそれが合わない人もいます。

この本でも「普通」という価値観に合わせるとその人らしさを捨ててしまうことになる、と教えてくれています。

 マジョリティの大通りは、不自然で窮屈な道です。
人間はそれぞれユニークな存在なのですから、本来一万人いたら一万通りの道無き道があるはずです。
にもかかわらず、大勢の人が通る大通りというものがあること自体、とても不自然なことです。
 大通りを歩くということは、いろんなことを諦めたり、感じないように麻痺していたり、すなわち去勢された状態で歩いているということです。
<中略>
 ですから、本当の平和とはどうしたら実現するのかと考えてみると、みんなが一人一人の小径を歩くマイノリティになることしかないのではないか。

「普通がいい」という病/泉谷閑示

自分の特性を活かす生き方を探す

私がこの本を読むことで得た考え方は「社会の大多数の人と同じ生活スタイルができなくても、自分を責めたり追い詰めたりしなくていい」ということです。

自分を無理やりねじ曲げて社会に合わせてすり減らすのではなく、大事なのは自分の特性を活かせる道を社会の中に探すこと。

これには試行錯誤が必要で、すぐには見つからないのかもしれないけど、「普通」とは違うからと自分を否定しないで、自分だけは自分自身の一番の味方であってほしいと思います。

心に残った参考になる考え方

最後に、この本を読んで心に残った参考となる考え方を紹介します。
泉谷さんは臨床の現場で、たくさんの患者さんと接していくうちに気づいたことをこの本に書いています。

・病気や苦しみとは、天からのギフトのようなもので、その中にとても大切なメッセージが入っている
人は悩みや苦しみの体験を通して、その人の根本にある価値観や生き方自体を見直して、大きく自分の人生を軌道修正できる。

・「喜怒哀楽」の感情を差別しない
一見ネガティブに思える怒りや悲しみも大事な感情。
人間が深いレベルで変化を始めていくときに、「怒り」が最初に現れる。
「怒り」や「哀しみ」が出てこない限り、深い「喜び」や「楽しさ」も出てこない。

・心の吐き出しノートに自分の気持ちを書く
心のモヤモヤやイライラなども文字化することで、心が軽くなっていく。
自分の中に意識として留めておくのと、文字にして自分の外に出すのとでは大きな違いがあり、書いているうちに感情が整理されて浄化されていく。

みなさんもぜひ自分の心の支えとなるような考え方を見つけてみてください。


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