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『動物意識の誕生~生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化~/シモーナ・ギンズバーグ著』の感想とレビュー

『動物意識の誕生~生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化~/シモーナ・ギンズバーグ著』読了!

ーーー・・・以下書籍レビュー・・・ーーー

➤面白さ
★★★★☆

➤知識量
★★★★★+MAX

➤難解度
★★★★★+MAX

➤オススメ度
★★★☆☆

*
*

上下巻あわせて、とんでもない情報ボリュームと濃い内容の本

胸を張って言いますが、理解率としては6割くらいかもw

簡単に要約すると、生命の系統発生的な進化過程で、いつ、そして何が意識的経験の発端になったのか?がこの本のメインテーマになります

で、「無制約連合学習」がその答えってのが著者の結論

具体的に言うと、脊椎動物、節足動物、軟体動物の一部には、意識があるのだそうです(その質にはダイナミクスがあれど)

これまでのことろ意識の研究は、様々な角度(認知科学、心理学、行動科学、哲学など)からされてますが、コンセンサスは未だに得られていません

そんな中、“学習”にスポットをあてて、考察していく本書は、かなり斬新で秀逸だと思いました

進化の過程で、上記3つの動物門含めた大型の左右相称動物は、複雑なロコモーション(移動運動)制御が求められるようになります

つまり、複数の筋肉を遠隔から協調させる必要性が生じます

しかも一瞬一瞬変化する外部の環境に、その場で適応しつつです

この芸当(≒無制約連合学習)には、中枢神経系、すなわち脳が必須なんですね

また運動によって起こる内部受容と、外界からもたらされる外部受容の両感覚を、区別(弁別)できなければいけません

その為、外の世界とは隔てられた自己(主観性)が生まれることになるんです

つまり、これが意識の誕生

この意識的経験の獲得によって、最も生存確率が高い動作を、内外の情報を感情という要素で感じながら、促すことができるようになったのだそう

もちろん、その後の哺乳類(さらには人類)へと向かう進化過程で、複雑な表象の構成要素(例えば高度な記憶システム、ストレス反応系、言語、想像力など)が加わり、私たちの豊かな心に至ることになるわけですが

ま、こんなところでしょうか…🤔

面白かったのは、この本の1個前に読んだマーク・ソームズの「 #意識はどこから生まれてくるのか 」とは真逆の結論を主張しているところですね

同じテーマを追求している著名な天才2人が、現代の最新の知見を駆使しても、真逆の結論に行き着くくらい、分からないことが多いってことですよね

これこそ僕がこのテーマに惹きつけられ続ける、1番の要因なのだと感じる、そんな本でした

動物意識の誕生
~生体システム理論と学習理論から解き明かす心の進化~
シモーナ・ギンズバーグ著

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