景気後退懸念を懸念する


8月に入ってから市場のぶれが大きくなっています。背景としては、必ずしもトランプ大統領の中国への関税引き上げ拡大だけではなく、漠然とした市場の景気後退懸念の再来があります。これまでもお伝えしてきたように、景気後退とは後ろに下がる、つまりマイナス成長が長い期間続いてしまうことをいいます。例えば成長が2%から1%に減速するということと-1%に陥ることとは違います。2018年10~12月ごろにも似たような後退懸念がありましたが、今年に入っていったんはなくなり減速懸念になっていました。しかしまた漠然と弱気のセンチメントが強まって後退懸念と言われるようになっています。米連邦準備制度理事会(FRB)が利下げしたこともあって、昨年12月ごろよりも米国の長期金利は低く、景気には暗い見通しに見えます。しかし現状の経済を示すさまざまな指標はそれほど景気後退を示していません。つまり市場のセンチメントが先行して暗くなっています。FRBはそれを気にして利下げをしたとすらいえます。トランプ政権も中国への課税のおよそ半分程度を12月まで先送りして、クリスマス商戦への期待を壊さないようにしました。中国も政策発動を続けるとみています。市場はいつも心配と懸念で満ち溢れていますが、大事なことは長期の視点を失わないことです。政府や人々の努力は続くと思います。 

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
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