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Eczema:アトピーの話【2】

前回からの続きで私のアトピー話と治療の話。今回は試した治療法や効果のあった治療法について。前置きと化したその1はコチラ。

アトピー性皮膚炎とはごく簡単にまとめていうと「ずっと繰り返す湿疹」である。でもどうして湿疹が繰り返すのかわからない、これがアトピー性皮膚炎という病気であり、命名した博士はアトピーの名称を異常な過敏反応を指して使い、病原体や病因が不明で眼、鼻、気管支、皮膚など多彩に発現し、奇妙、不思議であるということであるとした。

そもそも発見時から「よくわからん」と言われていて、今でもよくわからんのだから、人間の体というのは複雑怪奇なものであるなぁなどと思う。

そのため、人によっては、水を変えて治ったとか。食事制限が効いたとか、色んなアトピー治療、対策法があると思う。だから、いわゆる『アトピービジネス』なるものまであると思うのだけど。アトピーという名称の由来は、「特定されていない」「奇妙な」という意味のギリシャ語「アトポス」(wikiより)なのだ。なので人によって色んなやり方があるし、これが絶対!なんてものは存在しないから、なんともかんともなんである。

クリームを塗るとか、食事やストレスコントロールをするとか、保湿をするとかそのような一般的治療法以外に、入院する前、私がこちらで試すことになった治療法の例をご紹介したい。

■ 臓器移植をした人が飲む免疫抑制剤の非ステロイド系の処方。これは、めちゃくちゃでっかい錠剤(3センチくらいあった)の内服。錠剤をみた友人は、Horse Pill(馬用の薬)かよ!と驚愕していた。医者曰く、これが効いたという患者の報告が上がっているからというものだった。臓器移植をした人は、他人の臓器を入れるわけで、拒絶反応のコントロールが必要となる。そのための薬である。処方された原理は、自分の身体の中の免疫力が自分の身体を攻撃している状態なのでそれを抑制することで収まる…人もいる。自分で自分を攻撃するとはなんたるドMなのであるのかと思ったが、結果は、少しだけ落ち着いたけどすぐ元通り、それどころか状況が悪化した。でかい錠剤を飲み込むのが上手になっただけの結果であった。

■  紫外線による治療。これは、マシーンのある病院に毎日通い、日焼けマシーンのようなものに入り、特別な紫外線(ナローバンドUVB)を浴びるというもの。これは、外用療法のみではどうしても改善されない症例に対して、これを併用することにより、かなりの改善を見ることが明らかになってきているからという理由で薦められた。

通っていた病院のマシーンは最先端のものだった。ゆえに、時に見学にくるよそのお医者さんや医療関係者が何人かいたのだが、これが恐ろしく恥ずかしく、間抜けな恰好であった。見学を断ることもできたのだけれど、この最新マシーンに加えて、私の症状が極めてヤバいレベルであるので是非ともと頼まれたのである。むむむ、恥ずかしいが医療の発展のためであると思い私は承諾したのであるが。

なんせマシーンに入る間は、全裸。そして紫外線によって目にダメージを受けないように顔にはすっぽりと紙袋を被らなければならないのである。全裸で顔には紙袋なのである。因みに紙袋の下には、乾燥を防ぐために水泳用のゴーグル着用なのである。そんな姿を他人に見られるなぞ、自分は紙袋で回りが見えないけれども、まったくトホホなお話である。この療法はものすごく有用であると言われているが私には何の効果もないどころか、紫外線を浴び、体が乾くことで症状が悪化した。まったく全裸+紙袋の見られ損である。ひどい!

冒頭に書いたけど、何が効くかとかは本当に人それぞれ、ということを決して忘れないで欲しい。これらの治療法は私にはまったく効かなかった、でも同時に、治ったと言う人もかなりの率なので、やってみようかなぁという人はお医者さんと相談するなり、調べてみるといいと思う。

そんなこんなでじゃんじゃん治療をしたものの、症状はじゃんじゃん悪化し、喘息発作も同時併発で私は入院し、最終的には、体中にサランラップのようなものをぐるぐる巻きにされ(強制保湿)6時間おきにステロイド注射を受け、数週間を病院で過ごすことになった。皮膚の状態も相当だったのだが、同時に喘息の方もひどかったので、大抵の場合は入院を渋るアメリカ保険会社も払わざるを得なかったのであろう。

退院してからは、ステロイド内服薬を処方され、それでようやく動けるようになった。退院時に紹介されたのが、現在、私のアトピー、アレルギー、喘息の主治医をしてくれているお医者さんである。彼女はすごい先生なのだが、見た目がサザエさん。実写版のサザエさんのような感じなのである。いや、髪の毛は金髪なので、アメリカにサザエさんがいたら、こんな感じやろなぁとそんな感じなのである。

新たに出会った主治医は、徹底的に検査をした。私の状態、病歴を見たうえで、これだけのことをやってもひどくなる、でもそれには絶対に原因があるの、と彼女はウインクした。一緒に探していきましょう。と。彼女に出会えたことは、私の人生の中のラッキーなことでかなりの上位にランキングされる。サザエさん呼ばわりしているが。

ここまで書いてようやく、本題というか、このNoteのキモである(長すぎる前置き)

アレルゲンの検査を徹底的にしてみることで、私はようやく治療らしい治療への一歩が踏み出せた。そして今の回復している状態である。ので、どうにもこうにも良くならないという人は試してみていただきたい。

徹底的、というのは、本当に徹底的なのである。ゲンナリするくらいに!何種類も受けたのだ

彼女が行った検査は、アレルギーの検査。パッチテストと、血液検査。パッチテスト、これは通常、両腕に液体状のアレルゲンをのっけて、数分おいて、反応を見るというものだが。私はそのクリニックに存在するすべてのアレルゲンを検査したため、両腕、太もも、そして背中の皮膚を使っての検査になった。検査したものは、環境的(ハウスダストとか)なものから、食物、自然、動物のもの。

それから化粧品や化学物質へのアレルギーの検査。こちらもパッチテストで背中を使った。そして金属などに対するアレルギーの検査。またもパッチテスト。

ちなみに、これらの検査は一気にはできないので、数か月にわたり検査した。正直、これらのテストは時間がかかりすぎる故に、なんでよ!なんで!だるいし!という気持ちも非常に強かった。

もろもろのテストは、それだけでは終わらず、胃と腸の検査も行った。スコープ入れるあれ。その1で少し触れたが、この検査により、血液検査、パッチテストでは異常なしとでた小麦。私はこれを消化しにくい体質(小麦アレルギー)であることが判明。

で、全部の結果がでるまでに半年ほどかかっている。そして、全部の検査の結果。じゃじゃん。アレルギー反応が出たもの。

動物の毛もろもろ(げっ歯類、猫、犬、馬、牛、うさぎ)羊毛、羽毛、ラテックス、ハウスダスト、カビ(3種類。ペニシリンも含む)、ナイロン系のもの(服)、ノミ、ダニ、木(白樺、杉、ヒノキ、ケヤキ、イチョウなど)、イネ科と菊科の植物、草(芝生など)、蜂、ナッツ類(特にマカデミアナッツ)、栗、甲殻類、貝類、芥子の種(アンパンとかの上にのっているあれ)、ラム肉、ライ麦、そば、キウィ、バナナ、マンゴー、桃。金属系はニッケル・コバルト・クロム・パラジウム・アマルガム・スズ。

…こんだけでれば、そらアレルギーも満載になるわね…と主治医は言った。

ちなみに他の病院に行ったりするとき、いちいち、これらのアレルギーを記すのが面倒なので、名刺大の紙にこれらのものをプリントアウトし、それを渡している。アレルギーリストは、緊急用のために財布にもいれてある。

改めて徹底的に調べて初めて知ったものもいっぱいあった。主治医は私のアトピー、喘息はおそらくこれらのアレルゲン由来がメイン。そこにストレスという負荷がかかって悪化。胃と腸の状態から察するに、胃酸が多めなのでそれもまた今の症状の原因であり、そして小麦アレルギー、これは正しくはアレルギーではなく、不耐性である。

驚かれるかもしれないが、豆類やチョコレートなど、多くの食品には金属類のものが含まれているものも多い。その1にも書いたけど赤ワインのこともあるし、本当に油断ならない。

検査をする前は、何も考えずにダウンコート(羽毛)着て、羽毛布団と枕を使い、ブルーチーズやカマンベールを赤ワインと共に食し、ゴルゴンゾーラチーズソースのパスタやライ麦ウイスキーなぞ大好物であった。そら痒くなるわ。

逆に滅多に口にしない芥子の種、ラム肉、などは、ほ~ん、というものだし、甲殻類(エビ、カニ。これらは幼い頃から嫌いだった。本能なのか?)は気にならないが、牡蠣が狂おしいほどに好きなのでそれは大ダメージだった。まぁでも、芥子の種って油断してるとベーグルとかマフィンとかにも潜んでいるので知っていてよかったとは思う。

ちなみに犬であるが、ヨークシャーテリア(うちの3匹)の毛はシングルコートと言われるものでその毛は人間の髪の毛と同質。Hypoallergenic Dog(低アレルギー性)と呼ばれる種類の犬なのである。犬を飼い始める時に夫アルゴはなんの考えもなくリンゴを連れてきたと思っていたが、彼は私のアレルギーをよくよく考え、その辺をお店の人に徹底的に聞いたそうである。私はちょっと夫アルゴを侮りすぎているのかもしれない。

というわけで、色んな治療を試しても治らない、という人には私的には、徹底的なアレルゲンの検査をお勧めする。また、アレルギーは年を取ることで治ることもあるが、逆に発生してしまうこともある。少しでも、あれ?と思えばチェックしてみるといいと思う。予防策を知ることで生活のクオリティはうんと上がる。

お子さんがいらっしゃる方。パッチテストなどはなかなかに難しいかもしれないが、できることがあれば、気になることがあれば、調べてみるといいと思う。例えば、私はずっと小麦粉がうまく消化できない人間であったのに、なんの制限もなく暮らした結果、大きくなってひどくなったのである。調べてみることで洋服や、食生活、家の環境など、案外、簡単に改良できる。

自分でも知らないうちに、謎のアレルギーがあるわけで。で、私の場合は喘息、そして大腿骨壊死のための手術も控えていたので、こんなにもモリモリテストをうけたけれど、通常の血液検査とパッチテストだけでも、アレルギーがある人は受けてみて損はないと思う。

各種、アレルゲン検査をした後から回復へ向けて、そしてそんな私を支えてくれた夫アルゴの様子などをその3のNoteとして書いていきたい。

(その3に続く)


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