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代謝ノート②解答系-クエン酸回路□基礎栄養学

前回の糖質の消化吸収では、消化管での管腔内消化→小腸の微絨毛膜の膜消化→それぞれの単糖類の吸収といった解説を行いました。
前回の記事は下記を参照してください。

今回は食物が人間の体内に入り、消化吸収された後に行われる【糖質代謝】についてを学んでいきたいと思います。
まずは、こちらの図をご覧ください。

代謝ノート 全体像

こちらが代謝ノートの全体像になります。
これからの記事はこちらの図をベースとして進めていきますので、要チェックですね。これから何度もこの図が出てきます。
教科書上ではなかなか、このように全体像が乗っている図がなく知識がつながっていかないことが多いと思います。そのため、全体像を把握したのちに知識をつけてつなげていく、という方法を行っているのが代謝ノートになります。

解糖系-クエン酸回路

まず、細胞内に糖質が入りますが、基本はグルコースが糖質代謝のスタートだと覚えましょう。もちろん、フルクトースやガラクトースも糖質代謝に合流しますが、基本形を抑えておきます。
グルコースは細胞内でグルコース-6-リン酸を経て【ピルビン酸】が生成されます。グルコースがリン酸化されることで、グルコース-6-リン酸となりました。

グルコース→グルコース-6-リン酸→ピルビン酸

この過程を【解糖系】というのです。糖を分解すると書いて、解糖系です。
この解糖系はグルコースからピルビン酸を生成するために行われますが、この過程でエネルギーの素である2分子のATPも生成されます。
グルコースをピルビン酸にするだけでなく、2ATPの生成も行われるのです!!

この下の切り取られている部分で
線を引いてもらっています。

いつもはこの部分に線を引いてもらっています。この線を引いた部分より上が細胞質で行われています。
線より下の部分はミトコンドリアで行われています。
つまり、解糖系は細胞質で行われているということがこのイラスト1つでわかりますね。

ピルビン酸がミトコンドリア内に入る際に必要なものがあります。イラストには記載してありますが、ピルビン酸脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)という酵素です。また、糖質代謝の補酵素ビタミンB₁が必要です。酵素と補酵素の関係ですが、酵素+補酵素が共同して代謝を円滑にしていると覚えておくとよいでしょう。補酵素がなければミトコンドリア内に入ることはできない!と現段階では覚えましょう。
ここには記載していませんが、もう一つ重要なものがあります。
それは酸素です。
実は、細胞質内で行われる代謝は嫌気的条件でも好気的条件でも関係なく進みます。ただし、ミトコンドリア内での代謝は好気的条件でしか進みません。

つまり、ピルビン酸がミトコンドリアに入る際には、

ピルビン酸脱水素酵素 ビタミンB₁ 酸素

この3つの条件がクリアできることで次の反応に進むということになります。条件クリアができない場合は、別の記事で載せていきたいと思います。
まずは、通常の代謝のみをマスターしましょう!

さて、ピルビン酸がミトコンドリア内に入った後の話になります。
ミトコンドリア内に入るとピルビン酸はアセチルCoAに変化します。
アセチルCoAはそのまま下に向かっていきますが、クエン酸から円になっている代謝経路を【クエン酸回路】といいます。
クエン酸回路のスタートとして、【オキサロ酢酸】【アセチルCoA】の2つが反応してクエン酸回路を回ります。この2つから一緒に!スタートするというところを押さえておきましょう!

さて、クエン酸回路では何が行われているか、というと、
主に、NADH、FADH₂を生成しています。
NADという船に乗っている水素H
FADという船に乗っている水素H
これらを生成することが主の目的になります。

Hは何に使われているかというと、のちに電子伝達系でATPを大量に生成する際に使用される材料になります。電子伝達系の材料を作っているのがクエン酸回路です。※電子伝達系についても別で解説します。
また、解糖系同様に2分子のATPが生成されるのです。ラッキーですね。

電子伝達系では、1分子のグルコースから、34分子のATPが生成されます。
グルコース1分子の代謝で、

  1. 解糖系 2ATP

  2. クエン酸回路 2ATP

  3. 電子伝達系 34ATP

と合計38ATPが生成されるというところも追加で頭に入れておきましょう。
ただ、本来の目的は

  1. 解糖系 グルコースからピルビン酸を作る

  2. クエン酸回路 ピルビン酸からアセチルCoA→オキサロ酢酸と一緒にクエン酸回路を回り、電子伝達系の材料であるNADH、FADH₂を生成する。

この流れはマスターしておきましょう。細かい話は次回以降で少しずつ補足したいと思います。

代謝ノート② 確認事項

□細胞内に入った後はグルコースが材料として利用される。
□グルコースは細胞質にてグルコース-6-リン酸を経てピルビン酸となる。
□グルコースからピルビン酸までの流れを解糖系といい、2ATPが生成される。
□ピルビン酸はミトコンドリアに入る際に酸素とVt.B₁が必要となる。
□ミトコンドリアに入るとアセチルCoAに変化し、オキサロ酢酸と一緒にクエン酸回路を回る。
□クエン酸回路では、2ATPを生成し、NADH、FADH₂の生成を行っている。
□NADH、FADH₂は電子伝達系の電子供与体として働く。

代謝ノート② 管理栄養士国家試験

下記は既出の管理栄養士国家試験問題の一部になります。
こちらの記事の分野が出題されている問題は下記になります。
管理栄養士国家試験 第33回71問目の場合・・・(33-71)と記載。

  1. 解糖系は、ミトコンドリアに存在する。(28-27)×

  2. 解糖系では、二酸化炭素が生じる過程がある(H29 模試)×

  3. 解糖系によるATP産生は、有酸素運動では起こらない。(27-81)×

  4. 解糖系では、1分子のグルコースから1分子のピルビン酸が生成する。(R2 SGS模試)○

  5. 解糖系によるATP産生は、有酸素運動では起こらない。(R2見込み予備75)×

  6. グルコースが解糖系によって嫌気的に代謝されると、クエン酸が生成する。(20-27)×

  7. ピルビン酸は、クエン酸回路の中間体である。(21-29)×

  8. 解糖系では、グルコース1分子当たりATPが38分子生成される。(21-29)×

【解説】
解答系は、好奇的条件でも嫌気的条件でも反応は進みます。ミトコンドリア内に入った後は好気的条件での反応のため酸素は必要となります。有酸素運動は、好気的。無酸素運動は嫌気的と覚えてしまいましょう。
どちらも呼吸をして酸素を取り入れていることには変わりませんが、細胞内での酸素を利用がされるか…というところになりますね。

回答は問題番号の隣の通りになります。


そのほかは記事を見て復習してみてください!!

ご愛読ありがとうございました。
次回は糖質代謝(解糖系の側路)についてになります。
ぜひ継続して勉強を進めていきましょう♬

今回の記事でのご不明な点、指摘事項等がありましたらこちらの質問箱までお寄せください!また、解説が欲しい分野についてもご要望をお待ちしております!!

★はにわ

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