マガジンのカバー画像

心理学・脳科学の実験や知見をご紹介

273
使える心理学・脳科学の知識を集めました。
運営しているクリエイター

2019年11月の記事一覧

マズローの自己実現15箇条

一言でいうと欲求五段階説で有名なマズローが観察した自己実現を成し遂げた人に共通する15の特徴 活用シーン成功哲学 内容マズローが欲求五段階説の最高位にある「自己実現」を果たしたと、マズロー自身が見なした多くの歴史上の人物と、当時存命中だった人物の事例研究を通じて、自己実現を成し遂げた人に共通する15の特徴を以下の通りまとめている。 ①現実をより有効に知覚し、それとより快適な関係を保つこと 未知なものやあいまいなものにおびえたりせず、むしろ好む ②受容(自己・他者・自然)

人は「不確実」のほうが夢中になる?

一言でいうと結論が見えないものに魅せられる 活用シーンマーケティング・人間関係 内容アメリカの心理学者バラス・スキナーによる研究。 レバーを押し下げるとエサが出る箱(スキナーボックス)を作り、ネズミが最もレバーを押し下げる条件を調べた。 ①レバーの押し下げに関係なく、一定時間間隔でエサが出る。 ②レバーの押し下げに関係なく、不定期間隔でエサが出る。 ③レバーを押すと、必ずエサが出る。 ④レバーを押すと、不確実ににエサが出る。 結果は、 ④→③→②→① の順番だった。

高価なものは良いものである?

一言でいうと思い込みは味をも変える 活用シーンマーケティング 内容2001年フレデリック・ブロシェが行った実験。 ボルドー大学でぶどう酒学(ワインの鑑定と醸造を研究する学問)選考の学部生54人に対しワインのテイスティングをさせた。 A:白ワインを着色し、赤ワインに見せたもの B:普通の赤ワイン 結果、54人の学生のうち、一人もAを白ワインだと見抜けなかった。 さらに次の実験では、専門家に赤ワインの日本のボトルを評価してもらった。一本は高価で、一本は安いワインのパッケ

「信じたこと」は実現するのか?

一言でいうと人間の行動に依存することであれば、起きると信じるだけで起こせる場合もある 活用シーン成功哲学・社会の常識に関する理解 内容1982年社会学者W・I・トマスはこう主張した。 「人がある状況を現実と定義すれば、その結果としてその状況は現実になる」 つまり、信じれば、信じたことが実現するというわけだ。 それより前の1968年には、社会学者ロバート・K・マートンが「自己成就予言」という言葉を作った。 それは、 第一段階:今起こっている状況の誤った解釈 第二段階:その

褒められることに疑いを持つ人々

一言でいうと理由の分からない成功を体験すると、次には失敗の言い訳ができる状況を無意識に作る。 活用シーン成功哲学・セルフハンディキャッピング 内容1987年 心理学者のスティーヴン・バーグラスとエドワード・E・ジョーンズによる実験。 まず、学生たちに難しい試験を受けさせる。 この出来がどうであっても、本人には「満点だった」と伝える。 そこで、彼らに「能力を落とす薬」「能力を高める薬」(いずれもにせもの)と称するものを、次の試験前に選んで服用するよう指示した。 すると

重い履歴書は、エモい。

一言でいうと身体的感覚としての手ごたえは、心理的意味においても影響を及ぼす 活用シーン印象操作 内容2010年ジョシュ・アッカーマン、クリストファー・C・ノセラらによって行われた実験。 被験者は模擬の就職面接試験で面接官を務めた。 その際、「重いクリップボードに挟んだ履歴書を手にした時」自分の役目をより重要と感じ、履歴書の中身を立派なものだと評価した。 逆に、「軽いクリップボードに挟んだ履歴書」をみると、その応募者は資質的により劣ると判断された。 『思考のトラップ

アイスコーヒーを持つ人は、付き合いにくい!?

一言でいうと体感的な「冷たさ」と心理的な「冷たさ」はつながっている 活用シーン印象操作、第一印象、 内容2008年、ローレンス・ウィリアムズとジョン・バージの研究。 被験者を初対面の人物に会わせる。 Aグループ:ホットコーヒーのカップを持つ人物と会わせた Bグループ:アイスコーヒーを持つ人物と会わせた Aグループでは、その人物の人柄を ・感じの良い ・心の広い ・優しいひと だと評価した。 Bグループでは、 ・付き合いにくく ・よそよそしく ・話しづらい 人物だと評価

なぜ、人は独自のスマホケースを選ぶのか?

一言でいうと自由がなければ疲弊する 活用シーン組織マネジメント、人材育成、モチベーション 内容1976年エレン・ラガーとジュディス・ローディンが行った研究 同じ老人ホームにおいても ・従順さや受け身の姿勢が奨励されるところでは入所者は気力も体力も急激に低下する ・一方、責任や選択権が与えられているところでは、健康で活動的な状態を保つところができる。 同様の傾向は刑務所でも診られた。 ・備品を動かしたりテレビのチャンネル選びを許されるだけでも、健康問題が起こりにくくなり

みんなでサボれば怖くない!?(社会的手抜き)

一言でいうと人は集団にいると無意識にサボる 活用シーンマネジメント・行動管理・評価 内容1979年オハイオ州立大学のビブ・ラテイン、キプリング・ウィリアムズ、スティーヴン・ハーキンズによる研究。 被験者に大声を出してもらう実験をした。 ①集団で ②ひとりで 声量を測定すると、②に比べて①は小さかった。 さらに、集団の人数が大きくなればなるほど、その人の声量は小さくなっていった。 しかし、本人はそのことにまったく気づいていなかった。 『思考のトラップ 脳があなたをダ

78%が無罪の人を犯人にしたという実験

一言でいうと意外と記憶はあいまい 活用シーン記憶の信ぴょう性・思い込み・好みの変化 内容ワシントン大学エリザベス・ロフタスの研究。 被験者に「あなたは子どものころそれを食べてはいたそうですよ」とうそをつかれた人々は、数週間後にその食物を出された時手を伸ばそうとしなかった。 被験者に犯罪(の演技)を目撃させて、面通しに並んだ中から犯人を選ばせる実験をしている。警察はこの中に反荷がいるというが、それは嘘。 それなのに被験者の78%が無実の人々の1人を指さし、「この人がやる

誰もあなたを見ていない!?

一言でいうと他人は言うほど自分のことを見ていない 活用シーン自己啓発・人間関係・スポットライト効果 内容1996年コーネル大学のトマス・ギロヴィッチによる研究。 学生にバリー・マニロウ(1980年代に大ヒットしたポップミュージシャン)の笑顔がでかでかと書かれた“変な“Tシャツを学生に着せ、教室のドアをノックさせた。教室内の学生はその時、静かにアンケート用紙を書かされていた。 被験者(Tシャツを着せられた学生)は教室に入り、教室内の学生に近づいてしばらく話をし、また立ち上

成功するのは自分の能力。失敗したら、誰かのせい。

一言でいうと自分のことを過大評価しがち 活用シーン自己評価、人間関係 内容1990年代には成功と失敗にまつわる多くの研究が行われた。 ・人は成功すると自分の力だと思う ・失敗すると運が悪かった、ルールが不利、指導者と相性が悪かった、上司が悪い、相手にインチキされたなどと言い訳をしがち であることが分かった。 2001年にアン・ウィルソンとマイケル・ロスが行った調査によると、人は 「昔の自分はバカなへまばかりしていて趣味も悪かったと思う一方で、今の自分はたいした人物で、少

150人限定。

一言でいうと人は150人以上との付き合いは難しくなる 活用シーン組織の設計 内容霊長類において、グルーミング(毛づくろい)において、社会的関係は維持される。 人間はさすがにグルーミング行動は行わないものの、一定頻度の連絡を取り合うことである程度の社会的な関係性を保とうとする。 しかし、人類学者のロビン・ダンパーは人間がその関係を保てる限界は、150人~230人と指摘している。 また、マルコム・グラッドウェルは会社の規模が150人を超えると生産性は急激に低下し、組織を小