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対極にある意見が交わることがない理由

一言でいうと

判断が先、理論は後。

活用シーン

第一印象の演出、プレゼン

内容

2000年メリッサ・L・フニカーニ、アリ・アルハカミ、ポール・スロヴィック、スティーヴン・M・ジョンソンによる研究。

①被験者に「天然ガス」「食品保存料」「原子力発電所」について、どれくらい危険で、どれくらい有用だと思うか、それぞれを十段階評価をしてもらった。

②被験者を二つのグループに分けた。
A:これらのものの危険についてだけの資料を読ませた
B:これらのものの利点についてだけの資料を読ませた
その後、再評価をしてもらった。

③利点について読んだBグループの人は、最初の評価よりもこれらの技術は社会的に有用だという点数をつけた。ところが、危険の点数は前回より低くなり、差がさらに広がった。危険についての資料を読まされたAグループは、危険を大きく評価し、利点には前回より低い点数をつけた
さらに、回答時間を短く限ると、この両者の得点差は広がる傾向が強くなった。

④結論として言えることは、本来、利点と危険はまったく別の問題で、分けて判断するべきだが、人は論理的には判断しない。利点が大きく見えると、危険も小さく感じる。つまり、何かを良いものと判断した時は悪い点は目につかなくなり、何かを危険と判断すれば、良い点に目を向けることが難しくなる。これは、感情ヒューリスティックの影響と考えられる。

『思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方』
デイヴィッド・マクレイニー (著),

この実験で最も重要だと私が感じたのは、有用だという情報を読んで、「ああ有用なんだな」と思った人は、その自分の判断を後押しするかのように、その危険度を軽視する傾向があるという事。

逆もしかりで、「これは危険な技術なんだ」と思った人は、その自分の判断を後押しするかのように、有用度を低く評価する傾向があるわけです。

これを活用するとすれば、たとえばプレゼンをする際に、何をどの順番で話すか?という事の参考になるかもしれません。たとえば、ある商品の魅力にひかれたお客さんは「ただし・・・」という悪条件が出てきても、意外とそのままポジティブな決断を示す傾向が強いと思います。

たとえば、「フェラーリの魅力」に取りつかれれば、「故障の多さ」はむしろ個性に見えたりする人も多いようです。超高級ブランドの時計がメンテナンスに手間がかかるのも、それこそが高品質の証、と自分を納得させている人も多いでしょう。

圧倒的な魅力をプレゼンできるなら、その良さを先にプレゼンする、というのが鉄則だと思います。(ただし、何かしらの交渉ごとにおいては、悪い条件を先に話すほうが良い場合もあります。これは違う心理効果が働くようです)

違う話で言うと私は、親子で会社を経営する人と多く接する機会があります。そうすると、若い後継者にとっては「今のままで会社を存続させることこそがリスク」と考えるから、今まで通りの運営の良さを見落としてしまいがちかもしれません。一方で、熟練の経営者たる先代は、「未知のところへ打って出る事こそがリスク」と考えるから、変化の重要性を軽視するのかもしれません。

お互いは、自分が信じるものが全て。
となると、一番初めに「どんな信念をもつか」という事がとても大事なように思います。じつは、一度持った信念を変えるのは非常に難しいことが、心理実験で証明されていたりします。それでも変わりたいとするなら、相応のたくさんの刺激に触れる必要があるような気がします。そして、五感をフル活用して刺激(情報)を吸収するには、環境を変えるのが一番。

今まで知らなかった場所、したことのない経験、あったことのない人(今までなら会えそうもなかった人)といったことの出会いが重要な気がします。

ところで、こういった自分の「信念」は、無意識に持っていることが多いと思います。一番初めにお勧めするのは、自分を幽体離脱したようなところから第三者的に見つめてみる事。たとえば、自分が悩んでいるとしたら、悩んでる自分を上から見下ろしている自分の眼で、悩んでる自分を見てみる事。
これをメタ認知と言います。

たとえば、誰かと意見が一致しないで困っているなら、「あ、自分、人と意見が一致しないことで困っとるなー」と他人のように見る状態です。視野が広くなることで気づきが多くなるうえ、他人事のように見えるので冷静に慣れて、物事の解決策のバリエーションが広がることもあります。ぜひ試してみてください。


ワタシ、こんな本書いてる人です(^^)/

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