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芸能人のSNSにアンチコメを入れる人の心境~公正世界仮説

一言でいうと

世界は公正であってほしい・・・と多くの人は考えている

活用シーン

世の中を良くする方法

内容

1966年、メルヴィン・ラーナーとキャロリン・シモンズの実験。
72人の女性を対象にし、一人の女性が問題に答えていき、間違うと電気ショックで罰せられる様を見せる。(ちなみに、電気ショックは演技だけで実際にはうけていない)

電気ショックを与えられた女性について感想を求められると、見ていた女性たちの多くが彼女を悪くいった。
人柄や外見をけなし、口々に自業自得だと評した。

さらにラーナーは別の実験を行った。
2人の男性がパズルを解いていき、最後に一方が無作為に選ばれて多額の賞金を受け取る。それを見る人たちには、受賞者は完全に無作為に選ばれると教えてあるにもかかわらず、あとでこの二人の男性を評価してもらうと、賞金を受け取ったほうが頭がよく、才能があり、パズルを解くのもうまく、仕事もできると人々は評価した。

これを「公正世界仮説」といい、世界は公正な場所であってほしいと人は思い、だから公正な場所だというふりをするのだそうです。


スウェーエデンのリンショーピン大学のロバート・ソーンバーグとスヴェン・クヌートセンが2010年に発表した研究によると、学校でのいじめの原因についてティーンエイジの生徒に訊ねたところ、
・大半はいじめっ子が威張り屋で意地が悪いからと答えた
・42%はいじめられっ子にも原因があると答えている
という結果になった。

これもいじめられる子は、イジメられるにふさわしい理由があるべきだとする、公正世界仮説と考えられる。

『思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方』
デイヴィッド・マクレイニー (著),

人は世界は公正な場であると信じたい。だから、良くない仕打ちを受けている人は、その人自身に問題があるし、運がいい人はそれなりにその人自身に理由がある。そう思い込みたがる性質を公正世界仮説というそうです。

たとえば、女性のレイプ問題になると必ず出てくる「露出の高い服装をしていたから」という話。「いじめられる子はおとなしすぎるとか、わがままとか、その子自身に原因がある」というのもよく聞く話です。

「イジメにあう」「レイプにあう」という嫌な結果が前提にあった時、そのひとはそういった不幸に会うにふさわしい人間だ、その人自身に原因がある、という解釈をして人はバランスをとろうとします。

ここからは私の考えですが、そうすることで自分の心を守っているんじゃないかと思います。いいふるまいをしていれば大丈夫、と思いたいのですね。そうやって自分の正義を保ち、正義を通しているうちは、悪いことはおこらないと信じたいのです。


しかしこれが厄介なのは、たとえば、自分の正義から外れた行動をしている人を見かけた時です。そういう人が幸せそうだと、ムカつくんです。自分の判断基準で言う正義を侵している人がいるならば、その人は不幸であるべき、というのが人がもちがちな思考です。

そんな思考を持つ人が、芸能人のSNSに強烈なコメントをさしはさむんじゃないかと思います。自分の感覚から見た「悪い行動をしている芸能人」が幸せそうでいると、世界の公正を保てない。だから徹底的に相手を傷つけるコメントで、ツラい思いをさせてやりたい、となるのでしょう。悪い奴だから、悪いできごとに出あうべき、と。

けど、正義なんて人によって違います。
そのことを考え付く程に、アンチコメ大好きな人は成熟していない。
自分を客観的に見ることができない人である傾向が強いと思います。(だからひどいアンチコメを入れてる自分の正義を疑うことがない)

また、世の中の映画や物語でありがちなパターンは、いじめられっ子が変化することで、イジメっこを撃退するドラマばかり。つまり、いじめっ子が変わる、という話はほとんど聞いたことがありません。あのドラえもんも、そういった骨組みですね。

大人しいからイジメられるとか、オタクだからとか、やせすぎてるからとか、太りすぎてるからとか、まあ今風に言えばそれも個性と言えなくもないことを理由にいじめられていても、やっぱり世の中は「イジメられる方だって悪い」という話になってしまいます。

個性が生かされる世の中を目指すなら、いじめっ子が変化するストーリーを世の中に広めなければならないのかもしれません。



ワタシ、こんな本書いてる人です(^^)/

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