山上 亮

やまかみりょう。整体ボディワーカー。野口整体とシュタイナー思想をベースにした講座やボデ…

山上 亮

やまかみりょう。整体ボディワーカー。野口整体とシュタイナー思想をベースにした講座やボディワークなどを各地で行なっています。 著書に『子どものこころに触れる整体的子育て』『整体的子育て2 わが子にできる手当て編』『子どものしぐさはメッセージ』(すべてクレヨンハウス刊)など。

マガジン

  • 人のこころとからだ まとめ

    私たちの「こころ」や「からだ」について書いた文章をまとめています。こころとからだは、一つの現象の二つの現われであると思っています。人という営みは、個人のこころとからだを通して、多くの人とつながっていき、そして社会を形成していきます。

  • お金と働き まとめ

    私たちのあいだを巡る「お金」や「働き」について書いた文章をまとめています。お金の原理は、からだの原理や整体の原理に深くつながってくると、そんなことを思って書き連ねています。

  • 子育て まとめ

    子育てについて書いた文章をまとめています。野口整体とシュタイナーの入り混じった、子どものからだ育てとこころ育て。ちょっと独特な視点から語っているかも知れませんが、根っこは一緒だと思っています。

最近の記事

  • 固定された記事

6/23『野口整体の方法講座』第2弾開催

6月23日(日)に一日集中講座『野口整体の「方法」講座』第2弾を開催します! 集中講座をやるなら他の人がやらないような講座をやりたいと思って、昨年開催した『野口整体の「方法」講座』ですが、おかげさまで好評のうちに終えることができまして、今回満を持しての「第2弾」を開催することとなりました。 整体の創始者である野口晴哉(はるちか)は、人体の調整のポイントを「調律点」と呼びました。「調律」という言葉はそもそも音楽用語ですが、そんな言葉を採用するあたりに野口晴哉の身体観が現われ

    • 夢見のダンス

      私たちは普段さまざまにからだを動かしていますが、改めて考えてみると、ほとんどのからだの動きについて私たちは何も知りません。 「指一本動かすこと」についてすら、どのような仕組みで、どのようにその機能が果たされているのか、私たちは何も知りません。 スマホがいったいどんな仕組みで動いているのか何の知識も無いままに使っているように、からだについても私たちはほとんど何も知らないのです。 私たちは、成長する過程で身に付けた「何となくこうすると指が動く」というきわめて感覚的で習慣的な

      • 思考が成ろうとするカタチ

        1.シュタイナー自伝を読むシュタイナーの文章を読んでいると、「いったいこの人の頭の中はどうなっているんだろう?」と思わないではいられません。 シュタイナーの描き出す表象世界はとにかく壮大かつ緻密で、なおかつそれを普段まったく聞き慣れない神秘学用語で構築してゆくものだから、慣れない人は一瞬にして置き去りにされてしまいます。 私もシュタイナーを読み始めたときには、何度置いてけぼりにされたことか知れません。 一つのセンテンスを何度読み返しても、書いてあることのイメージがまった

        • ただ居るということ

          ただ居るということは、私たちが思っている以上にけっこう難しいことだと思います。 さして用のない場所で、ただポカンとした時間を過ごす。ただ居るだけ。ひょっとしたらそこにはいろんな人が居て、みんな忙しそうに働いているかも知れない。でもそんな環境の中、ただ居るだけ。 そんな光景をありありと想像してみると、ただ居るということも意外と難しそうだと思えてくるのではないでしょうか。 とくに日本人というのは、そういうときに周りの人に対して何だか申し訳なく思えてしまって、ソワソワしちゃっ

        • 固定された記事

        6/23『野口整体の方法講座』第2弾開催

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        • 人のこころとからだ まとめ
          43本
        • お金と働き まとめ
          11本
        • 子育て まとめ
          18本

        記事

          いつかの言葉【マザー・テレサ】

          「愛憎」などという言葉があるように、「愛」と言うとその反対の感情として「憎しみ」というものを思い浮かべがちですが、愛の反対は「無関心」だとマザー・テレサは言います。 人間は複雑な感情を抱く生き物ですから、愛といってもいろんなカタチを取るのでなかなか捉えどころがありません。 ですが自分の感情の記憶を呼び起こしてみても、愛と憎しみが絡み合って混在するようなことはあっても、愛と無関心が混在するというようなことは、ちょっと想像できません。 愛も憎しみも、その対象に対して非常に強

          いつかの言葉【マザー・テレサ】

          暮らしの体育

          野口整体は「療術」ではなく「体育」というのがその立ち位置なのですが、創始者である野口晴哉(はるちか)は、たびたび「女子の体育」ということを提唱していました。 現代の日本で「体育」あるいは「運動」と言ったときに、多くの方がイメージされるのは「競技体育」のイメージではないかと思います。 「競技体育」というのは、それぞれが持てる体力や技術を出し合って競い合い、その優劣をつけて愉しみ、そして切磋琢磨し合う、そのようなからだを育てようという体育です。 それはある意味「競うからだ」

          暮らしの体育

          より大きな何かのために

          ライアル・ワトソンの『未知の贈りもの』という本に、インドネシアの夜の海でのエピソードが出てきます。 真っ暗な夜の海に船で浮かんでいると、さまざまな色に変化する不思議な光のパターンが現われ、やがて船をすっかり取り囲んだ。 それは無数のイカの群れだった。 その光は、船のデッキを歩く人の動きに沿って波打ったり、一人が咳をすると驚いたかのように脈打ち始めたり、まるで全体が一つの生命体であるかのように、デッキ上の人間の動きに合わせてセンシティブに反応していた。 その不思議な光景

          より大きな何かのために

          贈与の霊がつなぐもの

          マルセル・モースの『贈与論』の中に、ニュージーランドのマオリ族の人たちが「ハウ」と呼ぶ不思議な力についてのお話があります。 それはどんなものかと言うと、例えば自分が誰かから何かの贈り物をもらい、そしてそれをまた誰か別の人に贈ったとします。 しばらくして今度は逆に、贈り物をした相手から御礼として何か別の物を贈られたとしたら、それは自分が贈った贈り物の霊であり、それを「ハウ」と呼ぶのです。 そのハウは、自分が贈った物の霊であるのと同時に、自分が初めにもらった贈り物の霊でもあ

          贈与の霊がつなぐもの

          愉気とはともに同じ夢を見ること

          私の話はいつもそうなのですが、思いついたままにつらつらと話していくので、どんな話になっていくかはあまり意図しておらず、私自身も予想をしていない方向に向かっていくことがほぼ常のことです。 今回も愉気(ゆき)についての話をしていたら(2016年のこと)、「愉気とはともに同じ夢を見ることなのです」という言葉が口をついて出てきました。 (※注:愉気とは整体のお手当てのこと) 自分でもそんな言葉が出てくるとは思ってもいなかったので、我ながら「おお…そうだったのか」と新鮮な驚きがあり

          愉気とはともに同じ夢を見ること

          いつかの言葉【世阿弥】

          世阿弥(ぜあみ)といえば、言わずと知れた室町時代の能(猿楽)の大スターですが、彼は後進のために多くの能の伝書を書き残しました。現在でも使われる「初心忘るべからず」とか「秘すれば花」といった言葉も、世阿弥の言葉です。 彼の伝書は、能の稽古について書かれたものですが、そこで説かれていることはあらゆることに通じるとして、現代でもさまざまな芸事や運動の稽古においてよく引用されています。 伝統芸能の世界では、きわめて幼少の頃から稽古をしていくこともあって、伝書の中には小さな子ども

          いつかの言葉【世阿弥】

          乾くということ

          1.冬の乾きこの季節、非常に空気が乾燥していますが、私たちのからだも思っている以上に乾いています。 肌が荒れたり、指先がひび割れたり、唇が切れたり、目が疲れやすかったり、頭が重かったり、気持ち悪かったり、痰が絡んだり、鼻水が出たり、手足が冷えたり、足をつったり、風邪を引きやすかったり…。 もし最近そんな変動があるのなら、乾きの影響が出ているかも知れません。 冬の乾きというのは、何故か私たちはあまり自覚できません。 夏に汗をかいて水分が足りなくなるのは「ノドが渇いた」

          乾くということ

          カナリヤの歌

          1.敏感で繊細な人「HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)」という言葉をしばしば目にするようになりました。 非常に感受性が高く、さまざまな刺激を敏感に受け止める「とても敏感で繊細な人」のことを差しますが、昔はそういう人は「からだが弱い」というような言い方をされてきました。 周りの刺激を敏感に感じ取るので、何かあるとその影響を強く受けすぎてしまって、その処理が追いつかずにしんどくなったり、動けなくなってしまったり、場合によっては体調を崩して寝込んでしまったりするからで

          カナリヤの歌

          新年のご挨拶2024

          1.防災のために「あけましておめでとうございます」と、新年のご挨拶をしようと思うまもなく、能登半島で大きな地震が起こり、さまざまな被害が出ているようです。これ以上被害が広がらぬよう、被災された方のご無事を祈ります。 昨年も、世界中でさまざまな事故や災害が起こりましたが、その原因がどんなモノであれ、人々のささやかな幸せや笑顔が失われるのは大変心が痛みます。 人の業では止められぬことも多々ありますが、人の業で少しでも軽減できることや回避できることであるならば、そのために協力

          新年のご挨拶2024

          ローズメリアの冬至のワーク

          先日、安城でシュタイナー教育の学びを中心に20年間活動を続けてきた「ローズメリア」という活動のファイナル企画に参加させていただきました。 私も野口整体の子育て講座や、魔女修行なんていう不思議な講座をしながら10年ほど関わらせていただきまして、熱心な参加者の方たちに支えられて、とても充実した講座を積み重ねていくことができました。 その20年の活動の締めくくりとなる本年は、いままで繰り返されてきた季節を祝福するように、夏至と冬至の2回の集まりをすることになり、その最後となる冬

          ローズメリアの冬至のワーク

          直感を活かす

          人間の直感に関する研究で、アイオワ大学の研究グループが面白い実験をしています。 どんな実験かというと、裏に「○○ドルの勝ち」「○○ドルの負け」と書かれたカードを被験者に一枚ずつ引いていってもらって、 最終的に儲けが出れば勝ちというゲームをやってもらうのです。 カードには赤いカードと青いカードの二種類があって、 それぞれの山が二つずつ、合計四つの山が用意してあるので、毎回その四つの山からどれか一枚のカードを引くような形になります。 赤いカードの方は大勝ちもあれば大負けのカ

          直感を活かす

          冷えと反感、熱と共感

          「共感」と「反感」という2つのベクトルは、私たちの営みのあらゆるところで働いていて、そのどちらも非常に大切な働きを担っています。 たとえば私たちが何かを「食べる」ということは、食べ物を吸収して自分自身に取り込んでいるのですから、それは食べ物に「共感」していると言えます。 たいして私たちが何かを「考える」ということは、私たちの中にある漠然とした概念を、言葉として吐き出し、外側から客観的に捉え直すことですから、それは「反感」の働きと言えます。 シュタイナーの考えでは、幼少時

          冷えと反感、熱と共感