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センス・オブ・ワンダーは、人生の黄昏時の重荷か、それとも灯りか。

いつか介護になろうと、センス・オブ・ワンダーは荷物にならないと、信じて書きます。

おかげさまで、「ハナレイ・ベイ」は、鑑賞出来ています(挨拶)
SFの文体・表現・題材に魅力を感じない、うちの鈴木薫さん(仮名)に、センス・オブ・ワンダーと出会うための接点として、9冊選び、Kindleオススメセットとして、送りつけました。『幼年期の終わり』『夏への扉』『竜の卵』など、選びたい本は多いのですが、SF精神・SF的視点を体験することを念頭に、個人的な好みで選びました。
『ディアスポラ』が入っていることから明らかですが、難易度の高い作品も入れました。『ディアスポラ』を鑑賞出来るなら、どのSFもだいたい読めるでしょうし。
というわけで、ブックリストを共有します。お気に入りの作品が、有るといいのですが。

①『アシモフの雑学コレクション』

星新一の翻訳でアシモフのエッセイに触れられるから。エッセイということもあり、とても面白がって読んでいます。

②カズオ・イシグロ

SFの「人工的な感じ」や「文体」が無理な可能性もあるので、文学的に世界的な評価を受けた作家の代表作と、SFでもある『わたしを離さないで』を選びました。

③星新一

 やがて坊やが戻ってきた。
「パパ、なあに」
「ここにいっしょにいなさい。うちにいるんだ」
「もうすぐ夜になるからなの……」
「そうだよ。夜になる。長い長い夜にね」
  妻が聞きとがめ、口を出した。
「それ、どういうことなの」
「なんでもない。わからなくていいんだよ」

午後の恐竜

『午後の恐竜』は星新一作品としては、具体的な描写が多く、印象的です。『白い服の男』も表題作を読ませたくて。『おせっかいな神々』は、13歳頃に、とくに好んで読んだから。

ショートショートの第一人者で、国語の教科書でも取り上げられ、多くの人が触れた可能性があること。また、星新一はミニマルを探求し、具体的な描写をとことん落とし、N氏などと表現することで普遍に至った前衛性を持つこと。加えて、400字詰め原稿用紙10枚程度の長さで、寓話のように読むことも出来るし、センス・オブ・ワンダーも体験出来るから。SFの視点やアイデアを愛でる文化の、良い例とも言える。
(アニメや漫画に抵抗が無ければ、『ドラえもん』を推すのですが、漫画とアニメの選択肢が無いなら、星新一だよなと)

④『パプリカ』

筒井康隆のアイデアや表現力は、SFを扱うと最も輝くと思うから。また、アニメ映画化もされた『パプリカ』は、題材もイメージしやすいと思うから。何より、分からない点は調べるか、詩だと思って(高度に抽象的と受け止め)、作品全体の流れを把握する練習が出来るので。

⑤『われはロボット』

ロボット工学の三原則
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りではない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
――『ロボット工学ハンドブック』、
第五十六版、西暦二〇五八年

われはロボット

言語生成AIのガイドラインにも影響を与えた、「ロボット工学の三原則」に触れることが出来る。また、アシモフの代表作でもあるので。

⑥『ディアスポラ』

イギリスとアメリカが牽引したSF界に、オーストラリアから物凄い才能が現れた例。SFが好きな人たちでさえ、分からないことが多すぎて、用語の共有や「分からないことは飛ばして流れを掴む」(=前出の詩として読む)ことが推奨された作品。工夫して読み終えれば、おそらくどのSFも味わう基礎体力は身につくはずです。宇宙に拡散していく「人々」を、まるで飽和潜水で水深100mに挑むような深いイマジネーションで描かれた冒険を踏破し、結末へ至る時の静謐はSFだからこその読書体験。


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