もしイチローが「瀬戸際に立たされたマーケティングコンサルタント」だったら

ワタナベカズキさんのnoteがめちゃくちゃ面白かったです。

こちらに便乗して、私も「もしイチローが瀬戸際に立たされたマーケティングコンサルタントだったら」というテーマでお届けいたします。

クライアントとの面談に臨むイチロー

クライアント「それでは、よろしくお願いいたします。」

イチロー「こん…な時間まで働いてるの…?びっくりするわ。そうですか。いやーこの遅い時間にお集まりいただいて、ありがとうございます。」

クライアント「この契約に終止符を打つことを決めたタイミング、その理由は?」

イチロー「タイミングはですね、今日の明け方ですね。この場に来る何時間前ですかねぇ。何時間前とハッキリとお伝えできないんですけど、今日の明け方です。もともと御社相手にコンサルをする、今回グラントウキョウサウスタワーに常駐するところまでが契約上の予定だったんですけども、年度末でも結果を出せずに、それを覆すことができなかった。ということですね。」

クライアント「これまで膨大な費用をWeb広告に費やしてきたが、その施策結果をもとに、これからどう改善していくのか?」

イチロー「ちょっと今はわからないですねぇ。でも多分、明日も広告回してますよ。それは変わらないですよ、僕じっとしていられないから。それは回しまくってるでしょうね。ゆっくり運用したいとか全然ないんですよ。だから、多分明日も広告回してます。」

クライアント「このマーケティングコンサルタントの契約期間が終了したら、イチローさんはマーケターとして別のコンサルを始めたり、フリーランスから卒業して正社員になったり、あるいは自身で事業を立ち上げたりするのかと思われますけど…。」

イチロー「何をやるんだろうねぇ。そもそも、カタカナのマーケターってどうなんですかね? いや、元マーケターみたいになるんですかね。あれ、どうなんだろう? 元マーケターって変だね。マーケターだし僕って思うもんねぇ。どうしよっか。何になるか…。でも、契約延長は絶対に無理ですよ。これは『絶対』が付きますよ。御社に予算がない。本当に。予算がないんですよ、うん。」

クライアント「弊社の従業員にメッセージを。」

イチロー「御社の従業員は、最初はまぁ厳しかったですよ。最初のミーティングなんかは『家に帰れ』としょっちゅう言われましたよ。だけど、僕が結果を残した後の敬意ある振る舞いというのは…。これを評価するのかどうかは難しい。『手のひらを返す』という言い方もできてしまうので。ただ、言葉ではなくて、行動で結果を残したときの僕に対する敬意の示し方というのは、迫力があるなという印象ですよね。最初は受け入れてもらえなくても、認めてもらった後は凄く距離感が近くなるという印象で、ガッチリ関係が出来上がる。まぁ、御社の従業員とはそれができたような、僕の勝手な印象ですけど。」

クライアント「最も我慢したものは何でしたか?」

イチロー「難しい質問だなぁ…。僕、我慢できない人なんですよ。我慢の感覚はないんですけど、とにかく広告を回したくてしょうがないので、『広告をこんなに回しちゃだめだ』と頭に思い浮かべながら、広告を回すことを我慢するタイミングは沢山ありました。なるべくCPAを上げないような、Google広告にとってですね、無理がないように考えて広告を回してきたつもりなので。家では妻がキーワードをいろいろ考えて作ってくれますけど、これCVRが上がればなんでもいいわけですよね。無茶苦茶ですよ。今、聞かれたような趣旨の我慢は思い当たらないですね。おかしなこと言ってます、僕?」

クライアント「イチローさんがいないマーケティングチームは今後どうすれば良いでしょうか?」

イチロー「2001年に御社との契約が始まってから、この2019年現在のマーケティングは全く別の違うものになりました。まぁ、頭を使わなくてもできてしまうマーケティングになりつつあるような…。従業員はみんな感じていることだと思うんですけど、次の5年、10年。しばらくはこの流れは止まらないと思うんですけど。本来はマーケティングというのは…ダメだ、これ言うとなんか問題になりそうだな。頭を使わなきゃできない仕事なんですよ、本来は。でも、そうじゃなくなってきているのがどうも気持ち悪くて。マーケティングの発祥はアメリカですから。だから、日本のマーケティングがアメリカのマーケティングに追従する必要なんてまったくなくて、やっぱり日本のマーケティングは頭を使う面白いマーケティングであって欲しいなと。アメリカのこの流れは止まらないので、せめて日本のマーケティングは『決して変わってはいけないこと』を大切にして欲しいなと思います。」

クライアント「改めて今後マーケターでなくなるご自身を想像してどうか?」

イチロー「いやだから、今とは違うマーケターに多分なってますよ。あれ? この話さっきしましたよね。お腹減ってきて集中力が切れてきちゃったかな。さっき何を話したのかも曖昧だな…。草ベンチャーの話はしましたよね? そっちで今後は楽しくやっていくはずですし、きっと草ベンチャーの勤め先で経営視点を持たざるを得なくなると思うので、自然とマーケティングを極めたくなるのかなと。草ベンチャーにコミットするマーケターになるんじゃないですかね。結局。あの、聞いてます?」

クライアント「イチローさんは小学生時代の卒業文集に『僕の夢は一流のマーケターになることです』と書いておりましたが、その当時の自分に向けて、今どんな言葉をかけたいですか?」

イチロー「お前、コンサルの契約金1億(円)も貰えないよって。ですね。いやー、夢は大きくと言いますけどね、なかなか難しいですよ。ショットで1億と掲げていましたけど、全然、遠く及ばなかったですから。いやー、ある意味では挫折ですよね、それは。」

クライアント「前の広告運用者時代、何度か『自分は孤独を感じながらマーケティングをしている』と話していた。年々役割が変わってきて、今回は成果を残せない状態が続いて今年で契約が終了。その孤独感はずっと感じて仕事をしていたのか。それとも前の孤独感とは違うものがあったのか。」

イチロー「現在、孤独感は全くないです。御社との契約が始まり、コンサルタントになったこと。御社から見て僕は業務委託契約ですから。コンサルタントになったことで、人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今まで見えていなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり、情報を集めたとしても手に入れることは出来ないですから。辛いこと、シンドイことから逃げたいと思うのは当然のことなんですけど、でもコンサルタントとしてそれに立ち向かっていく。そのことは、人として重要なことだと感じています。」

クライアント「今後、イチローさんはどんなマーケターになっていくと思いますか?」

イチロー「それは占い師に聞いてもらわないとですねぇ。まぁでも、広告を回すことも、SEO対策もやるのであれば、僕は1年ごとに、1年間は広告運用者、次の1年間はSEO担当者としてやるんじゃないですか? それでGoogleのゴールドプロダクトエキスパートを取ったりしたら…。いや、そう考えることは野暮ですね。広告運用者として年間20億円回す時期があって、その翌年にはSEO記事500本書いたら、これ化け物ですよね。でも、それが想像出来ますからね。そんな風に思っています。」

クライアント「最後に、後悔や思い残したようなことは?」

イチロー「今日のあの送別会での出来事、あんなものを見せられたら、後悔などあろうはずがありません。もちろん、もっと出来たことはあると思いますけど、成果を残すために自分なりに積み重ねてきましたから。人よりも頑張ってきたとは言えないですけど、『自分なりに頑張ってきた』とはハッキリ言えるので。一つ一つの仮説検証を積み重ねてPDCAを回していくことは、成果を上げるために必要だとは肝に命じております。改めまして、今までありがとうございました。」

(終)

#ThanksIchiro #legends

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