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明日には昨日となる今日を生きる【永遠の途中】読書感想文#1

久しぶりに本を読みました。
漫画であれば時々読んでおりましたが、それすらもとても毎日とは言い難く、まして活字のみの本を読む機会なんてそうそう無くなってしまいました。その機会を自ら作ろうとしなかったことがそもそもの問題なのでは…というのはさておき、今回は著:唯川恵氏『永遠の途中』を読了致しましたので、記録として思ったことをここに記しておこうと思います。

あくまでも私自身の考え方や人生の価値観と重ね合わせて感じたことを綴るのであって、丁寧な考察や感想などには成り得ないだろうということは先述しておきますね。ご了承いただければ幸いです。


『永遠の途中』

本作に登場する二人の主人公、薫と乃梨子。二人は職場の同僚であり、時には食事に出掛けたりなどもする所謂友人でもあります。表面上では互いを尊重しているように取り繕っているが、各々が自分に無いものを持っている相手のことを心のどこかで羨む一面も。そんな二人が同じ男性に好意を抱き…と、物語は動き出していきます。

この作品は、二人の主人公が歳を重ねていく過程をそれぞれ丁寧に描写されています。物語は二十七歳から始まり、ラストは六十歳。女性ならではのよろこびやかなしみ、怒り、苦しみ…言葉にした途端何だか陳腐に感じてしまいますが、それぞれの場面や年代毎に起こり得る心の機微を余す所なく表現されているところが魅力のひとつだなと感じました。

私は作品の登場人物に対して、あまり感情移入をしません。そんなことをしようものなら、きっとすぐに「私の考えはこうなのに」「この人はどうしてそんなことを言ってしまうのだろう」などといった具合に、反発的な視点になってしまうからです。それよりも私には、それぞれの登場人物たちが持つ感性を感じ取りたい気持ちが強くあります。彼らは大概、まだまだ人生経験の浅い私の中には存在すらしていないような価値観を持ち、その考え方を基に行動を起こします。私にとってのそれは、どのような物語においても新鮮で、それを知ることでまたひとつ世界が拡がったような、そんな気がするのです。 

『永遠の途中』を読みながら私は、もし自分が薫のように家庭を持つことを選んでいたら?或いは、乃梨子のようにキャリアウーマンとして仕事に専念することを選んでいたら?今頃どうなっていたのだろう…と、容易く追体験をすることが出来ました。今のところいずれにも当てはまらない人生を送る自分にとっては、同時に二人分の生き方と考え方を覗くことがシンプルにとても面白く、世の中を勉強する一助にもなったようにも思います。


物語の終盤、二人の主人公が各々のタイミングで悟ることになるのですが、同じように私の心にも引っ掛かったこと。

どちらかがどちらかよりも幸せだったり不幸せだったりするということはなくて、事実として大切なのは自分の中にある"幸せ基準"に則って、「今の自分は幸せか?」という問いに対する答え。そして、これまでの人生を歩む最中に自らが選んできた道程、及び自らが下してきた大小様々な判断。それらを肯定してあげられる自分で在るか否か。

一冊を読み終えた時、私の頭に強く残っていたのは、単純なようで果てしない、自身への問い掛けでした。

人生においての幸せとは、他人の物差しで推し量れるようなものではないし、まして誰かと比較して良いものではないのは言うまでもないですね。自分の人生は自分で責任を持つのだということの重みを改めて感じました。

とはいえ、日々の小さな幸せをひとつひとつ、せっせと寄せ集めたり積み重ねたりして、その結果が今に繋がることもまた確かな事実。

私の人生は私だけのもの。
時には失敗したり躓くことも有れど、なるべく後悔のないように生きたいものです。

明日には、今日が昨日になっているのだから。

明日も、私を生きよう。


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