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トリシュナーの声

18
ここでは「愛を知る」ことを 最後に告げて終わる詩をお届けします。 ちなみにトリシュナーは サンスクリット語で“渇望“となっています。
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記事一覧

トリシュナーの声 No.18

トリシュナーの声 No.18

「おかしな人だな」

そういわれて傷になって
諦めていた恋

普通な恋愛なんて
夢のことだよって
諦めていた恋

趣味が変わっていて
したいことが変わっていて
人としては面白い人だね
そういわれるほどの個性

でもともに居たくはない
そういわれる気がして
傷が痛んでいた

「素敵なことだし憧れるよ」
諦めて隠してできた恋の途中の告白

本当にそう思っているのだろうか

不安そうな顔をしたら
「だっ

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トリシュナーの声 No.17

トリシュナーの声 No.17

変化を嫌うばかりで
望まなかったけれど
一人は不安で
もう一人一緒になることは
責任が取れないと思って
いつも
恐れて遠ざけていた

君に出会って
好きになって
これからを思うと怖くなる

責任感のない男だ

自分一人すら守れない男に
君もいいと言ってくれる

これから二人になっていく
きっと難しいことだというと
君は
私だって怖いけど
一緒に居たいなんて言うんだ

だからそのために

僕は君と

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トリシュナーの声 No.16

トリシュナーの声 No.16

流れるまま生まれたこの関係
一時の雰囲気任せでした行動

好みではあるけれど
恋愛というものでは表せなかった

理解されない感情だし
人によっては
腐り切ったゲス野郎なんていわれるな

それでも
話をしていくうちに
互いに好き嫌いを知っていくうちに

かけがえのない人になって

俺は
ゆっくりだけど
愛を知っていく

トリシュナーの声 No.15

トリシュナーの声 No.15

自分のためになるから始めた
小さな生活習慣

体操したり
料理したり
掃除したり
化粧したり

当たり前のこと

綺麗になりたいから
美味しいと感じたいから
目について仕方ないから
自分らしくいたいから

そんな些細なこと

すべて自分のために
始めたこと

なのに
「いいお嫁さんになりそう」とか
「こんなかわいい彼女がいたら幸せ」とか
そんな風に言わないでほしい

私らしくいるために始めたことだ

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トリシュナーの声 No.14

トリシュナーの声 No.14

一瞬の気の迷いに近い

ちょっとしたゲーム感覚で
始めたナンパ

通りかかった君の見た目は
俺の好みにあったから

俺より小さくて
いじりやすい少し長めの垢抜けた髪
流行にそこそこあった服装

そんな目でわかる程度の基準

それくらいの情報から
行く手を阻むように
連絡を交換して
食事して

純粋な君は
けして気を許さない

いままでのようにはいかないことが
もっと
愛しく感じるのだと
初めて知っ

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トリシュナーの声 No.13

トリシュナーの声 No.13

ヴァージンロードを歩く視界は

薄い幕に包まれている

これは親からの愛だと

大切にされてきた証だと

父の腕に

母の背に

導かれてあなたの元へ行く

友達からの優しい笑顔

弟からの少し寂しげな拍手

その真ん中を歩いて

私はあなたの元へ行く

離れていく両親のあたたかさが

もの悲しいけれど

私の前には

それ以上にあたたかい手が

薄い愛情の幕に手をかける

私はこの瞬間

愛を知

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トリシュナーの声 No.12

トリシュナーの声 No.12

井の中の蛙大海を知らず
その言葉は俺にお似合いだと思う

異性のいない中で生活してきて
親と教師くらいしか
異性と関わることはない

でもまぁ
多少写真を見て
ああだこうだ言うくらいはした
いつだって
遠い存在だから
テレビに映る女優と同じ

初恋というものすら
うろ覚えだがたぶんあの子だったか
あんなのは大概幻想だから違う

その場のノリさえ幻想に感じる

それでもいつか
いつかで構わない

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トリシュナーの声 No.11

トリシュナーの声 No.11

思い描く理想は大きくて
でも
そんなのは
描いているからには
削ることで掴めるのもだと知っている

「理想の人物はどんな人ですか?」
「年齢は?」
「身長は?」
「胸のサイズは?」
「特技は?」

アンケートページを進めていく

それから紹介されて
会ってみて
理想と近いとも近くないとも言えない
君にあって

気になり始めるのだろう

そこから理想を削っていって
君として好

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トリシュナーの声 No.10

トリシュナーの声 No.10

求めている訳ではない
だけど拒んでいる訳でもない

これが駆け引きなら
受けてたとう

負け試合は性に合わない

だからといって挑んだけれど
理解はしていない

「好きだから付き合って」

そう言われたのが始まり

恋愛と言うものを理解していないだろう
そう何度言われただろう
正直に言えばその通りだ

好いた
好かれた
そんな幻想に囚われる方が
負けた気がしていた

でもどうして

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トリシュナーの声 No.9

トリシュナーの声 No.9

胸が熱くなった

ただの吊り橋効果だろう
心の誤差じゃないか
分かれよ、自分

昔から
「結婚は人生の墓場だ」
と言い聞かせただろう

なのに
いまの自分はなんだ
見ず知らずの異性にぶつかって
人として当然のように
手助けしただけで
脈拍を高めてしまっている

一目惚れだと
恋愛思想に染まったやつは言うだろう

だが
俺は信じない

俺はこれを

愛を知ったと思わない

トリシュナーの声 No.8

トリシュナーの声 No.8

目標がある
夢がある
だから見ないようにしていた

本当は心惹かれたことなんて
何度もある

好きを認めて
その気持ちと共に歩く未来を描く
それは
とても幸せだろう

相手も同じ気持ちで
幸せの形を産み出せたなら
それは
とても微笑ましいだろう

でもそれは
望んだ幸せだろうか

夢がある
でも生半可では
できないことだと理解している

だから今は

愛を知らないフリをする

トリシュナーの声 No.7

トリシュナーの声 No.7

ぬくもりがおそろしい
やさしさにとまどう

「もう恋なんてしない」

一度つらく苦しい恋をして
澱みのような涙と一緒に消えていった

あのときから
一人で生きていく決意をした
一人で生きていく努力をした
もう何が起きても
立ち上がれるくらい
生きていくと決めて進んでいた

なのに
不意に触れた人のぬくもりに
涙がこぼれそうで振り払った

こわい

どうすればいい

本当は
包まれたい
溺れるほどに

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トリシュナーの声 No.6

トリシュナーの声 No.6

愛は平等だ

誰が言ったかはしならい
でも時よりそれは真実だと思う

愛と言う液体があったなら
人それぞれ量も質も違う
心と言う概念の中にそれらを注ぐ
それも本当にあるかわからない

だけど
人は満たされた瞬間
幸せを感じるらしい

わからない現象だ

愛し合い
満たされて
幸せになる

人間とは
なんと難しいことをしているのだろう

そんな愛に興味がある

だから

愛を知ろうとする

トリシュナーの声 No.5

トリシュナーの声 No.5

「君が大人になったら
付き合ってもいいよ」
子どもの私をなだめるように
あなたは言った

あなたは歳の離れた近所の人
私のことを気にかけて
いつも遊んでくれた

あなたといることが幸せで
同じ歳の子なんて眼中にもなく
子どもながらあなたに告白をした

困ったように言った約束が
忘れられずに
あなたに似合う人になろうと頑張った

育ったところさえ離れて頑張ってたのに
「あの子、結婚したのよ。」
親か

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