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数こそが正義という安易な民主主義がもたらしたもの。


『二大政党制を阻む者の正体とその目的。』の続きです。


問題ありありの岸田政権の屋台骨を支えている、安倍長期政権の遺産とはどのようなものか?

考えられるものはいくつかあります。アベノミクスでの企業や法人の継続的な優遇政策とか、異常な株価上昇なんかもそうですよね。
その目的は、票田…もとい自民党支持者の確保でしょう。
日銀も巻き込んでの異次元緩和と企業優遇の政策を実行し、株価を上げて、下がらせないことで自民党政権の支持率と組織票を確保。
例のカルト教団まがいの某宗教団体に便宜をはかって、「安倍政権じゃないとこうはいきませんよ〜」とか言って、ここでも票田を確保したんでしょうか?
自民党と連立して与党側にいるあの政党も、母体は某有名宗教団体だし、ひょっとするとアチラも常態的な票田扱いなのでしょうか?(あくまでも私的見解です) 

たまに思うのですが、仮にあの政党が与党でなく野党側にいたならば、現状はどうなっていたでしょうか? 
もし与党が連立政権でなかったなら、二大政党制についての議論や理解も、もう少し進んでいたんじゃないかと思うのですけどね。

それにしても、あの政党はなぜ与党の側にいるんでしょうか?
党代表の発言なんかを聞いてると、さして自民党寄りでもなさそうだし、勝ち組につくために自民党側に立っているだけみたいというか?
たしかに勝ち組につかないことには支持者のニーズに応えられないのですが、その辺りがあの政党を計算高く見せているような…。
今のあのポジションを得るためにどんな画策をしたのかとか、誰か上手く立ち回った人がいたんだろうなとか、わたしはどこかしらマイナスイメージを持ってしまいます。
だから、発言がもっとずっと露骨に自民党寄りの某野党政党が、あからさまに後釜狙いっぽい言動におよぶと、その余波でそちらのイメージも更に下落。後釜狙いの某野党政党のほうは、やりくちの小賢しさ小狡さが前面に出ていてどうにも鼻につくのです。
あの政党のいかにもなパフォーマンスに乗せられやすい人々は、かつて小泉元首相のそれにも同じように乗せられた人々だったりしませんか?


国民人気の高かった小泉さんでしたが、彼の政権が掲げた構造改革は、なにかと国民に負担を強いたり、後になって国民の生活に大打撃を与えたものも少なからずありました。
製造業の派遣解禁で非正規雇用者が激増。企業は当然、人件費がほぼ半減するこの政策を大歓迎しました。
当時はフリーターという会社や組織に縛られない働き方を好む層が一定数いて、彼らは正社員よりもアルバイト気分で派遣先を自由に選べるこの政策を歓迎しました。
小泉人気につられて政権支持率も上がり、票田も十分に確保できたことでしょう。
でも、じつはここから日本のGDPや日本人の賃金が下がり続けることになるのです。

小泉さんが今の事態を想定して製造業の派遣解禁におよんだとは思いません。当時のフリーターはこの政策を歓迎したようだし、その時点では派遣社員だからといって、生活に困窮するようなことはなかったようですから。
がしかし、この政策は、小泉さんや当時の自民党政権の考えの及ばないところで(本当にそうですか?)一人歩きをはじめ、それまでの日本の企業と雇用者の関係をぶち壊してしまうことになるのです。
これはやがて、フリーターが自由に仕事を選んで働くのではなく、企業の側が、正社員のような経費のかからない「使い捨て労働力」を、自由に雇えるという認識に変わっていったのです。

政策の一人歩きはそれだけでは終わりませんでした。
非正規雇用者の賃金や待遇面の悪化が表面化したことで、派遣法の改正などもおこなわれましたが、すでにあとの祭りという状況でした。
企業は派遣社員の扱いを多少は改めたものの、雇用者に対する認識が変化したことで、今度は正社員の待遇までも低下させてしまうのです。

非正規社員は正社員と同じ仕事をしても賃金や待遇面で差をつけられて、不満を言うと次の契約更新がなくなると遠回しに匂わされる。
正社員は彼らよりもマシな賃金や待遇を維持するために、休日出勤や残業過多に追い込まれ、こちらも不満を言えば辞めるか非正規雇用に代わりますかと言われる始末。
企業側の強者の理論の下、会社を支える一般の社員の扱いや待遇はどんどん低下していきました。
上がったのは国民負担ぐらいです。
今現在、岸田政権になって負担率はほぼ5割に💢ここへもってきて物価や光熱費の上昇も加わって、国民の生活を圧迫し続けています。
「失われた30年」という言葉を聞いたことがあるのなら、この辺りできちんと現実を直視したほうがいいです。
自民党政権を支持した結果が、今現在どうなっているのかを。


日本が世界での競争力を失っていった「失われた30年」という言葉の本質を、一体どのくらいの人々が理解しているでしょうか。
これを「30年間の断絶」と言い換えたらどうでしょうか?
この30年の期間に子供から学生、大人に成長した世代には、かつての学生運動やバブルに踊った世代の認識は通用しません。
身近な例だと、この30年で、明白な理由で、かつてのジャパンクオリティは劣化し、崩れかけています。
世代交代が進めば、あれは白昼夢だったのかと言われるようになるかもしれません。
でも、頭の中が昭和のままだとそれに気づかないんですよね。

終身雇用の制度が可能にしていた企業単位での高い仕事のクオリティと同じものを、安い賃金でこき使われ、いつ契約を切られるかわからない派遣や契約社員に求めるのは無理だと思わないのでしょうか?
正社員も、正社員でいたければ無理をするのが当たり前という扱いでとことん追い込むなど、そんなことばかりやってるから日本がどんどん落ち目になっていったのでは?
いくら個人単位で能力の高い人材がいても、その能力を活かせる場を提供する側の認識がそもそも崩壊しているのに、それでどんな結果を期待しようというのでしょうか?
会社のために身を粉にして働いても生活は困窮したままだったり、何も得られず、認められず、やりがいを搾取されるだけなのに?

問題は終身雇用の制度の喪失ではなく、それによって守られていた人々の安定した収入と生活です。
派遣や契約社員でも、その部分がきちんと守られていれば、こうまで酷い事態にはなっていません。
少子化問題にしろ、それを議論する前に、それを悪化させている原因が自分たちにあることを、企業も政治家ももっと自覚すべきです。
この現状は、ぶっちゃけ「代わりならいくらでも見つかる。使い捨ての労働者に余分な金をかけられるか」という企業の姿勢と、雇用者を守るための規制を怠った政治の怠慢が招いた結果なのですから。

なのに政治家は、いまだに億の金額を中抜きして下請けにまわすのがわかりきっているような電通なんかの企業を優遇することをやめません。
それは政治家にとって、そちらのほうが大事な存在だからでしょうか?
選挙に勝つための票田として…?

でもですね、電通あたりが仕事をまわす下請けや孫請けでも、おそらく多くの現場が賃金の安い派遣や契約労働者を使っています。
ろくすっぽ仕事もしない輩がピラミッドの上のほうで大金をせしめて、収入も待遇も酷い底辺の層に大量の仕事を押し付けているのです。これでは不具合やミスが多発しないほうがおかしいくらいです。
建築現場で頻発する事故や手抜き工事も、製造業やサービス業での品質の劣化や低下も、起こるべくして起きているとは思わないのでしょうか?

バブル期以前まで、外国人の仕事に雑だなんだとケチをつけては日本人の優秀さと高いクオリティを散々自慢してきたくせに、この事態を招いた政治家は「何が」それを支えていたのかまるで分かっていないようです。
気分も頭もいまだに昭和のままだから、これまで通りに要求すれば同じ結果が得られると思い込んでいるのかもしれません。
製造業でもサービス業でも、建築業や配送業でも、不具合や事故が連発しているそれが理由で、原因をつくったのは政治なんですけどね。

加えて日本の企業の多くは、縁故採用や年功序列のどこが悪いという意識のもと、長年にわたって既得権益が何よりも優先されてきました(政治家も同じく)
この仕組みからは簡単には抜けられないし、やめられません。
やめるのなら「これまでその仕組みを支えてきた自分の利益確保が終わってから」だと、関係者はみんなそう思ってますからね。
そして次の世代も、その次もみんな同じ主張をするわけで、これでは改革も進まないし、いつまでたっても終わるわけがありません。

そうした企業のトップや政治家には、どこの田舎の集落の長かというレベルで非常に排他的な者が多い。
余所者や若い世代には圧力をかけて抑え込み、既得権益についてごちゃごちゃ言うような輩は徹底的に排除する。出る釘は叩きまくり、既得権益と身内第一主義という者もさほど珍しくありません(あくまで私的見解です)

彼らは戦後の日本を生き抜いてきた当時の日本人の慣習や考え方を子供の頃から刷り込まれています。
わたしは“それ”も進展しない日本の移民制度や難民受け入れ、女性の社会的地位の向上を阻む原因のひとつだと考えています。
性差別や外国人の人権無視を、おそらく本心では悪いことだとも思わず、古臭い慣習を重んじることで互いに自意識と既得権益を守っているのではないでしょうか。
すなわち「一家の主人に逆らうな!」だの「女子供は引っ込んでろ!」という独善的なやり方や支配が21世紀の今も通用すると思いこんでいるか、ある種の特権として自分はそれを行使する階級にあるとでも考えているのかもしれません。
派遣社員の待遇も、正社員の扱いも、そうした心理から生じた上から目線なんじゃないでしょうか?

そのように考えると、派遣社員の扱いのみならず、ブラックすぎる入管法の問題なんかも、なんとなく説明がつくような気がします。
彼等にとっては、多様性なんてとんでもない。だから移民もLGBTQも増えると困る。「そんなの」が増えて生意気に権利だなんだと勝手なことを言いだすなど到底看過できない。
有権者が乗せられて安易に政権交代なんかが起きては困る。万民平等などとんでもない。国民の幸福よりも特権階級の既得権益と政党の維持が優先。
それが、小泉や安倍の自民党政権による政策によってもたらされた結果の行き着くところです。

これらは別に偏見でもなんでもなく、そういう感覚の連中が多数存在していることは、不用意な発言をする議員だの秘書官だののおかげでバレバレだと思うのですけどね。
まぁ自民党に限らず、公明党の後釜狙いが露骨なあの政党の議員なんかも多分に意識はそちら側みたいですが。


価値観が異なれば互いに相容れないのは当然です。
コロナ禍でも行動に不自由したくらいで済んだ者や、巧みに儲けた者、身体的金銭的に多大な被害を受けた者とでは、コロナ禍や政府対応に真逆の意見をもっていて当たり前です。

毎日一生懸命はたらいても生活してゆくのに手一杯で、政治も選挙もどうでもいいという人達がいます。
もう一方には、困窮してるけれど時間だけはある。だから鬱憤ばらしにネットで政治批判をしてストレス解消をする。でも現実の選挙には行かないというひともいるでしょう。
ネットで発信するだけなら誰でも無料で出来るし、匿名だから無責任に知ったかぶりや過激な意見も言える。そしてもうそれで満足してしまう。だから選挙には行かない。刹那の満足のその先までは考えないし、そこまで気持ちの余裕も余力もない。
おそらく、こうした層が増えているのも投票率が上がらない一因なのではないでしょうか。

政治を変えないと何も変わらないと言われても、それを考えたり実行にうつすだけの時間的余裕がない。時間はあっても金銭的精神的余裕がなく、貧すれば鈍するような事態に陥っている場合もある。
格差社会はそれを助長します。そして、今の政治もまたその格差を助長しています。
けれど、国民を見下すような言動におよぶ一部の政治家は、みずからを特権階級の側に置いて、こうした事態を歓迎しているのではないかと思われるふしがあります。
投票率の低さがわかっていれば、投票する有権者というターゲットをどれだけ自陣営に引き込むかという算段も成り立ちますからね。
つまり、投票しない層は最初から切り捨てているのでは? 
たしかにそんな感じもなきにしもあらずですが、もし本当ならば酷い話どころではありません。
政権維持のための選挙で役に立たない国民なら、自分たちの都合で切り捨ててもいいという考え方ぐらい、民主主義とかけ離れたものはありません。
だったら意地でも「ソイツと逆の意見」の人物や政党に投票してやる、というのが人間の心理だし、二大政党制とはそうするための選択肢です。
たとえ政権交代したところでどっちもどっちのいい勝負だったとしても、「それでもコイツらには任せられない」という選択肢ぐらいはあって然るべきです。


その選択肢たるべき野党ですが、国民の支持を得られない理由のひとつに、彼等は「自民党の対抗勢力であり続けることに満足している」というものがあります。
選挙で勝てなくても、政権交代できなくても、対抗勢力という存在意義さえあれば、それを飯のタネにできますからね。
与党のやることなすことにイチャモンをつけていれば、それで多少の支持者も得られるし、結構な報酬をもらってそこそこいい生活ができる。その現状に甘んじているという見方です。
いくら自民党のやりたい放題を許さないと声を上げても、一部の野党のその声は、本当に国民のためだとは思えないし信じられません。
単に自分たちもやりたい放題したいのに出来ないから文句を言ってるようにしか見えない。
ようするに「本気度が感じられない」わけです。
そんな相手を応援したり支持する気にはなれませんよね。
野党が選択肢にならない理由は野党のあり方そのものにもあるのではないでしょうか。

それでも、あてにならないからと諦めて現状を放置すれば、自分たちの長年のツケを国民に押し付けてくる岸田政権のような連中が、このままずっとやりたい放題を続けることになります。

現状、たしかに反自民にとっての野党という選択肢はあるものの、今はそこだけで終わっています。
小さく分裂したままバラバラの野党には、反対派の受け皿となる以外ほとんど何もできません。
二大政党制が実現可能なぐらいまとまってはじめて、現政権とは異なる政権という存在が、「現状を変える力」が意味を持つのです。

今すぐはまだ難しいかもしれません。
でも、異なる政権という国民が選べる選択肢と、自民党のやりたい放題を抑制するストッパーとしての役割を合わせ持つ存在として、二大政党制が必要だと思うのです。



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