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その他小説系まとめ

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反魂香

反魂香

夜、23時を少し回った頃。
年度末恒例のサービス残業を終え、終電に飛び乗った帰り道。
深夜を迎えようとする街並みはどこかひっそりと息を潜めていて、どことなく物寂しい。
もう3月も終わりだというのに、昼間に雨が降ったからか、やけに冷え込んでいた。吐く息が白く凍る。
改札を抜けて帰途を急ぎながら、ふと兄のことを思い出した。

我が兄は、ヘビースモーカーであった。
兄の部屋も、車も、服も、煙草の独特な匂

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朝顔の君へ

朝顔の君へ

Twitterの『#深夜の真剣文字書き60分一本勝負』。
お題は、ピントのずれたこたえ・「なんでもやってみることが大切だぜ?」・教室のカーテンの裏で・作戦大成功・朝顔、の中から一つ以上。

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朝顔がどうして咲くか、知ってる?

 どうしようも

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  世界最後の日

  世界最後の日

ねえ、もし、もしも、さ。
今日が世界最後の日だったら、君はどうする?

『え、どしたの。なに急に。
珍しいじゃん、お前がそんな仮定の話するなんてサ』

たまにはそんな話も良いかなと思って。
いつも、そういうのは君の領分だったからさ。

『領分て。
好きなんだよ、そういう、答え出ないコト考えるの。』

君がそういう話してさ、子供みたいな顔して。
なに言ってるんだ、そんなのあるわけないじゃんって。

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日帰り旅行で会いましょう

日帰り旅行で会いましょう

#深夜の真剣物書き120分一本勝負 にて。
未来がちょっと楽しみになる、そんなお話。
お題は『三半規管』『軽自動車』『櫻』。

「さくらの?」
 耳慣れない地名に、思わず聞き返した。午後八時五十三分。電話口の相手は、やけに上機嫌に頷いた。
『そう! 栃木県さくら市櫻野! さくら市の『さくら』は平仮名で、櫻野は旧漢字の櫻に野原の野』
「なんだそれ、ややこしいな。それで?」
『だぁから、さっきからずっ

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荷造り

荷造り

タイトルセンスがなかった。
ちょっと不思議なお話。
3000字くらい。朗読にどうぞ。

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 近くに寄ったから、という何ともちっぽけな理由で上がり込んだ学生時代の後輩のワンルームは、その性格に反して散らかっていた。
 片付いてなくてスンマセン、と謝罪しつつ段ボールを隅に押しやる男に理由《わけ》を聞けば、近く此処《ここ》を離れるのだと言う。そう

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ベテルギウス、我が父よ。

ベテルギウス、我が父よ。

キーワードは『家族』と『星』。
友達のリクエストにお応えして。
1000文字も行かないSSです。

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 星を眺めていた。
 なんてことはない、自由研究というやつだ。
 毎日決まった時間に決まった場所で星を観測して記録する、単純明快かつ単調な事務作業。
 本来は息子の仕事であるはずが、いつの間にやら私の仕事になって早一ヶ月。親バカ、なんてのは

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仮面

仮面

2019.9.7 300字SS お題「演」

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朝起きて、顔を洗って、食事をとって、歯を磨いて、いってきますと家を出る。
雑踏のなかを駅まで歩いて、満員電車に詰め込まれ、さながら会社へ出荷される如く。
上司の顔色を窺い、同期の会話に相槌を打って、後輩に優しく声をかけつつ尻拭いをしてやる。
いつもどおり残業までこなし、終電ギリギリ

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モブ谷モブ男は恋をした。

モブ谷モブ男は恋をした。

そして告白することにした。
リクエスト「恋愛小説」を受けて。そして力尽きた。
2019.5.26

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「僕と付き合ってください!」
 絞り出した言葉が、地面に落ちた。勢い良く下げた頭を上げられずに、自分の靴を睨み付ける。ああ、言ってしまった、やってしまった、という、何か後悔と達成感の混じり合ったような数秒。永い永い沈黙の後、彼

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君に笑顔が咲くまで僕は

君に笑顔が咲くまで僕は

2019.4.6 300字ss お題「咲く」で書いたもの

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いつからだったか
彼女は笑わなくなった
理由は簡単なのだ、大人たちが
「普通でないモノ」をひとつ残らず
汚い笑顔で棄てていったから
心の優しい彼女は笑わなくなった
僕は彼女をただ見ていた
彼女は棄てられた「普通でないモノ」を
細い両腕にかき集め
冷たい涙をそっと落とし

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