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Cohanaというブランドの成り立ち -第1回

はじめに

2016年秋に新しいブランドCohana(コハナ)が立ち上がりました。Cohanaは、日本の地域産業の素材や技術を活かしてつくったハンドメイドの道具シリーズで、これまで、岩手の南部鉄器、長崎の波佐見焼、岐阜県関市のはさみ、三重の伊賀の組紐、などとコラボレーションして、商品をプロデュースしてきました。

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Cohanaの個々の商品や製造のストーリーなどについては下記の公式サイトに委ねるとして、私のnoteの趣旨から、より経営学的な視点からCohanaの成り立ちについて説明したいと思います。

Cohanaブランドサイト
https://cohana.style/


Cohanaオンラインストア
https://shop.cohana.style/

KAWAGUCHIについて

私が経営をする株式会社KAWAGUCHIは、1953年に私の祖父が創業した手芸や裁縫道具のメーカーです。創業以来、はさみ、針、ミシン用品のほか、最近では、おなまえテープ、衣類の補修用品、ステーショナリー雑貨などを手掛けています。

市場が成熟したいま、新たな事業を始めようとプロジェクトチームを立ち上げたのが2015年秋、商品を発売したのが2016年秋なので、企画立案からリリースまでちょうど1年かかったことになります。

マーケティングプランの実践

実はこの事業は、恥ずかしながら、当社として初めて、しっかりとしたマーケティングプランに基づいて進めました。おそらく大企業であれば当たり前に行われているSWOT分析(自社分析、市場分析)、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)、マーケティングの4P、3C分析などのフレームワークを使い、プレゼンとディスカッションを重ねプロジェクトを進行しました。

使用したフレームワークの例
SWOT分析、STP、マーケティングの4P、3C分析

このような教科書的なアプローチを実践することは、当社にとって極めて実験的であったかもしれません。もちろん、このようなアプローチは古い、役に立たないという意見があることは承知していますが、実践した結果、うまくいったと今では考えています。

プロジェクトの詳細はまた別の機会にしようと思いますが、今回は、ポジショニングについてお話しします。

ポジショニング

当社のポジショニングという言葉の定義は、「ターゲット顧客の視点から、競合商品と比べて、自社商品がどのように思われたいか考え、そのイメージを明確にすること」です。そして、それを顧客に共感してもらい、そのイメージを顧客の頭に強く焼きつけることをブランディングと考えています。つまり、他社のブランド・商品と徹底した差別化を行い、その違いを明確にして顧客にしっかり伝えることが大切です。

ポジショニングとは、ターゲット顧客の視点から、競合商品と比べて、自社商品がどのように思われたいか考え、そのイメージを明確にすること

ポジショニングを検討するにあたり、下記のようなマトリックス図を描きました。

Cohanaのポジショニングとマトリックス図

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縦軸が実用性(機能性)で、横軸がデザイン性です。これまで当社を含む多くの道具メーカー(他業界もそうではないでしょうか?)は、マトリックス図の左上(実用性が高く、デザイン性が低い)で競争していました。切れ味がいい、軽い、正確など実用性が高いものの、デザインがかっこいいとか、カワイイというように、心に響かない商品が多かったのです。

また、反対に、デザインはオシャレだけど使えない(マトリックス図の右下)のようなグループも多く見受けられます。いわばアート(美術品)のようなプロダクトがここに当てはまります。デザインはかっこいい椅子だけど、座りにくくて腰が痛くなるとか、可愛いスマホケースだけど、装着すると滑って落としやすいとか。

そこで、プロジェクトチームが着目したのは、マトリックス図の右上(デザイン性が高く、実用性も高い)のポジションです。デザインがよくて使えるプロダクトはどうしても高価になりがちです。そこで、コストを抑える発想ではなく、もっと付加価値をつけて顧客に受け入れてもらおうと、デザインだけでなく、素材や製造技術(デザインに影響する技術)にも目をつけました。

地域産業とのコラボレーション

そして、たどり着いたのが、伝統工芸を含む地域産業とのコラボレーションです。日本には古来から培ったモノ作りの技術があり、これは世界に誇るべきことだと考えたのです。

このプロジェクトのお話は今日はここまで、次回に続きます。


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