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私と「うつ」とチワワのジャスミン② ~スキンシップの重要性~


子供の頃、両親との間にあまりスキンシップがなく寂しい思いをしていました。幼少期までは「抱っこ」してもらう事が出来たのが、体が大きくなるにつれて頭をポンポンと撫でられるだけになり、小学校高学年になる頃には、スキンシップが完全になくなった記憶があります。中学二年生の時、母にくっつこうとした私は母に気持ち悪がられてしまいました。


スキンシップがなくなったと感じ始めた小学校高学年、私は洋画に夢中でした。中学時代も高校時代もたくさんの映画を見て過ごしました。父におねだりして「ロードショー」や「スクリーン」といった名前の映画雑誌を買ってもらうと何度も何度も繰り返し読んでいたのを覚えています。特にハリウッド映画が好きで、映画を通じて知ったアメリカ文化に強い憧れを持ちました。


映画を観て、アメリカ人は親子や家族間で頻繁に「ハグ」をするのだと知りました。子供だけじゃなく大人も抱きしめてもらえる事に驚きました。この「ハグをする文化」に強い憧れを抱いた私は大人になり留学する機会を得ました。

そして初めてお世話になったホームステイ先で、ホストマザーから強く抱き締めてもらえた時、「安心感」に包まれた事が印象に残っています。当時は英語もよくわからず、アメリカという異国の地で日々緊張しながら生活していたので

"It's ok to cry. Let it all out." =
「泣いていいのよ、全部出し切っちゃいなさい。」

と言われ抱き締められた時、ふっと肩の力が抜けるのを感じました。

ホームステイを終え、数年の留学生活を経て私は日本に帰国しました。そこには今までと変わらない「スキンシップのない日常」が待ち受けていました。けれど私には強い味方がいました。

それは私の愛犬です。愛犬のジャスミンと出会ったのはアメリカで留学生活を送っている頃でした。私とジャスミンは飛行機に乗り一緒に日本に帰国しました。

私は愛犬に頻繁に声をかけ、たくさん抱きしめることを日課にしています。愛犬に「安心感」を与えてあげたいという思いから、たくさん抱き締めていたのですが、「安心感」をもらっていたのは自分の方だと気が付きました。

犬との触れ合いが、私の心を穏やかにし、安定させてくれるのを感じたのです。犬のふわふわした毛並みや心地よい体温、そして鼓動。それらを感じると、幸せな気分に包まれます。これは脳内で分泌される「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシンが原因だそうです。愛犬との時間は、私にとって究極の癒しとなりました。


心理学を学んだ時に知ったのですが、幼少期に両親との間にスキンシップが多かった子供は大人になってから「不安」になりにくいそうです。その理由がいくつかあります。

●安全な愛着形成: スキンシップや身体的な触れ合いは、安全で健康な愛着を形成するのに役立ちます。安定した愛着は、子供が自分の感情や他者との関係を理解し、適切な対人関係を築く上で基盤となります。これが大人になっても持続し、安定感をもたらします。

●ストレスへの対処能力: スキンシップは、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルを抑制することが示唆されています。幼少期に親との触れ合いが多かった場合、ストレスへの対処能力が向上し、大人になってもストレスに強く対処できる可能性が高まります。

●感情調整の発達: 親とのスキンシップが豊富だった場合、子供は自分の感情を理解し、他者との感情を適切に読み取るスキルを発展させやすくなります。これが大人になると、感情の調整が得意であり、心の安定感をもたらす一因となります。

●自己価値感の形成: 親との触れ合いは、子供に対する愛情の表現として受け取られ、自己価値感を向上させる効果があります。安定した自己価値感は、大人になっても自信を持ち、他者との関係を築く基盤となります。


残念ながら私は「不安を感じやすい大人」になってしまいました。日々、とてつもない不安と闘いながら生きています。大人になった今、時間を巻き戻して両親に抱き締めてもらう事は出来ません。

けれど、愛犬と共生する事で私は「心の安定」を保っています。毎日心に「平安」をもたらしてくれる愛犬はもう16歳、人間の年齢で言うと80歳を超えました。


複数の病気を抱えながら日々を精一杯生きる愛犬が、最近私の顔をペロペロと舐めなくなったのです。彼女は耳がよく聞こえないので、なるべく耳元で話しかけるようにしました。

「ジャスミンはいい子。ママはジャスミンが大好き。生まれて来てくれてありがとう。」

何度も何度も耳元で話しかけます。そうするとジャスミンは勢いよく私の鼻や口を舐め始めました。「ペロペロと顔を舐める」行為は犬が相手に「君の事が好きだ」と伝える愛情表現の一つだそうです。

これも大事なスキンシップ。顔はベタベタになりますが、彼女は老犬になった今でも一生懸命を「愛」を表現してくれているのだなと思うと胸がいっぱいになりました。


↑YouTubeに愛犬との日々を記録しています🐕



Keilani



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