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創作小説(19) ハバネロババヘラ
単身赴任の旦那の英彦が夏季休暇のため帰ってきた。
娘の桜も夏休みだ。
ということで一家三人、久々に川の字で寝ている。
娘の桜は明日、ショッピングモールに連れてってもらうので大はしゃぎだ。
一向に寝る気配がない。
すると、英彦が「そんなに寝ないのなら、いっそのこと怖い話でもするか」と言い出した...。
ババヘラというアイスをご存じだろうか。
秋田県の道端でお婆さんがヘラでアイスをすくって、花の花
創作小説(17) 血液型占い
宏美は雑誌を読んでいた。
すると桜が寄ってきて「血液型占いが見たい!」と言い出した。
宏美は、今度の桜の興味は血液型か、子どもの好奇心は無限に広がっているな、とこの時はぼんやりと考えていた。
加えて、ははーん、さてはまた何かオリジナルの血液型でも作って、騙そうという魂胆だな?とも。
「お母さん、AB型のRhマイナスは?どこに書いてあるの?」
「え?」
宏美はドキリとした。何を言い出したの?
創作小説(15) 蚊!子!丑!寅!卯!辰!巳!
「6月17日土曜日っと。」
娘の桜が日記を書いている。
「ちなみに今年の干支は何か知ってる?」
母親の宏美が尋ねる。
「今年は、寅年!」
桜が元気よく答える。
「残念でした、今年は卯年。」
意地悪そうな、それでいて優しい目をして宏美が答える。
「え、そうかな?蚊!子!丑!寅!卯!辰!巳!でしょ、午!羊!…。」
え...?
「え、何か変なの混ざらなかった?
もう一回言ってみてよ。」
「蚊
創作小説(11)「変わらないね」
「変わらないね。」宏美が言った。
「当たり前だ。1ヶ月くらいで変わる訳ないだろ。」夫の英彦が答えた。
元気そうだ。
お互いにそう思った。
宏美は紅茶を啜る。
そしてチーズケーキを頬張る。
1ヶ月前、英彦の単身赴任が決まった。
地方都市に1年間の任期で赴任する。
単身赴任といっても、住んでいる街から新幹線で2時間程度の地方都市で割と近く、宏美は1ヶ月経って英彦の様子を見に来たのだった。
「久し
創作小説(9)「ハンバーガーと侵撃」
「宏美の手料理が久々に食べたいな。」
英彦は宏美が作る手料理が大好きだ。
付き合っていた頃、宏美の手料理に胃袋を掴まれたといっても過言ではない。
しかし、宏美はというと「ハンバーガーで良いじゃない。桜も好きなんだし。」という。
安くて手頃で子どもも大好きなハンバーガーは、家事に追われる主婦の身としてはうってつけなのだ。
宏美と桜が寝静まった頃、英彦は考えた。
英彦はライターの仕事をしている。
「
創作小説(8) 妖怪の名は「歯茎歯抜き婆」
「歯磨きせずに寝たら、歯茎歯抜き婆がくるよ。」宏美は小さい頃から当たり前のように、そう言われて育った。
結婚し、娘の桜を授かった。
桜に歯磨きを教える時、宏美は当たり前のように「歯磨きせずに寝たら、歯茎歯抜き婆がくるよ。」と桜に言い聞かせていた。
するとある日、「何だよそれ」と旦那の英彦は言った。
「え、歯磨きせずに寝たらくるお婆さんの妖怪。歯茎歯抜き婆。知らない?」
「知らないよ。どんなのだ