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【In雪洞】スマホ・時計なしで21時間、一人きりで過ごして思ったこと


先日、大学の実習で
周りに誰もいない雪山で、一人で雪洞を掘ってそこで一晩過ごすというサバイバル感強めの実習に参加した。


実習は4日間の日程で、1日目はクロスカントリースキーツアーをして、2日目は雪洞の作り方を学んで実際に作ったり、雪崩対策の講習を受けたりした。

そして3日目の13時ごろに歩いて宿舎を出発し、決められた場所に一人ひとり配置され、雪洞を掘って一晩過ごす。翌日の午前10時に出発した宿舎に各自で集合するという流れだった。


雪洞泊での装備は
・寝具(寝袋やブルーシートなど)
・行動食(高カロリーのお菓子がたくさん)
・コンパス(方角を示すもの)
・スコップ(雪洞を掘るため)
・ビーコン(雪崩で埋没したときに探してもらう/埋没した人を探すための道具)
・ヘッドライト
くらいだった。


先生曰く、時間に縛られずに過ごしてほしいとのことで、スマートフォンや時計機能のついた電子機器類は全て回収された。


↓装備の確認をしている時の様子

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↓出発前に撮った集合写真

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出発後、一緒にいた仲間は、お互いどこにいるかわからないという状況で、時間もわからないまま「体内時計」と「自然」に頼って生活するしかなかった。


私は、フィルムカメラを持っていって、周りの景色やつくった雪洞を写した。
天気が良くて、とても気持ちよかった。

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雪洞は崩れないようにするため、屋根部分を厚くするのが鉄則で、まず真下に2mほど掘り進めた。

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そして奥に寝床を掘っていった。

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なかなかの重労働だった、、


雪洞を作っている時、周りには誰もいないのに、どこからか誰かの声が聞こえる気がして、何度も後ろを振り返った。

一人になって、ふと自分は常に周りの誰かとの関わりの中で成り立っていたことに気づいた。一人は自由で楽だけど、誰もいないとなると、やっぱり寂しい。


雪洞ができた頃には、もう日が傾いていた。
行動食としてもらったお菓子を食べながら、
周りの景色をぼーっと見ていた。


ここからの時間はあっという間に感じて、気づいたら周りが暗くなって星が見えていた。

夜から雨の予報だったけれど、そんなことを感じさせないくらい、月も星もキレイに見えた。


月明かりだけで、ノートに文章を書けたので、その一部をまとめてみる。

月の明かりだけで文章を書ける。夜はもっと暗いと思っていたけれど実はすごく明るい。照らされたものすべて、青く、白く光って見える。
(雪洞泊に)行く前は、死にたくないとか、無事に帰ってきたいとか思ってたけど、今は、別にどうでもいいかなと思ってる。自分に執着しなくなった気がする。自分という入れものにただ意識が入っているだけ。
別に自分がいなくなったってこの世界は変わらないし、いなくなったって少しの人が悲しんでまた元の世界に戻る。
ちょうどよく、自分がどうでも良く感じる。
ちょうど良さっていうのは、心地よさなのかなと思う。



大自然のなか、一人きりになって、自分がいなくなっても世界は変わらないんだろうなと、自分がちっぽけに思えたときに、少し気持ちが軽くなった。

上手く言い表せないけれど、今までは、自分が大事で、自分はこうなりたいとか、こうしたいとか、自分や自分の未来に執着していたような感じがなんとなく苦しかった。

でも、自分の知らなかった自然の在り方を感じた時に、もっと自由でいい気がして、肩の力が抜けていったように思う。


スマホにも、時間にも縛られず、あらゆる情報に振り回されることのない時間は、とても有意義だった。

ああ、来れてよかったなと思った。



眠たくなったころに雪洞に入った。雪洞を掘るのを頑張ったせいか、腕がだるかった。少し寒かったけれど、意外と寝ることができた。


翌朝、目覚めると外は明るくて雪洞から出ると雪が降っていた。

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太陽が出ていなかったので、何時なのか予測できなかった。体感的には7時くらいかなぁと思って、配られた行動食の中に入っていたフルグラを食べた。そして持っていった本を少し読んだ。


10時に宿舎に集合なので、9時くらいかなと思ったところで雪洞から出て、掘った雪洞を雪で埋めた。(他の人が落ちないように)

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そして雪の中、宿舎に向かって歩いて行った。着くと、先生方が「おかえり」と出迎えてくれたのが嬉しかった。


時間を聞くと


「まだ7時57分だよ」



...


えっ

体内時計は2時間もずれていた。

部屋に入ると、私より先に戻って来ていた人が1人いた(笑) 彼は7時38分に戻ったらしい。


久しぶりに人に会えて話せた気がして、すごく嬉しく感じた。

この実習で、人と関わる喜びを改めて感じることができた。コロナ禍だからこそ、より強く感じたのかもしれない。

そして、自然の壮大さを感じて自分の価値観が変わった。
もっと色々なことにチャレンジしてみたいと思えたし、さらに自分の世界も、価値観も広げてみたいと思うようになった。

(あともう少し体内時計を正しくしたいかな、、)



おわり

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