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奇縁堂だより28【本の紹介:鎌倉】

 今回は「鎌倉」に関係する本を紹介します。


はじめに

 先月,鎌倉へ行って参りました。9月は例年になく厳しい残暑が続き,10月に入り大分秋の気配も感じられるにようになったと思ったら、また暑くなったりと。もうすぐ紅葉ですが,今年の見頃はいつ頃になるのでしょうか?


 この日は早々に所用を済ませ,段葛の周辺をぶらついた後,久しぶりに通称“おんめさま”と呼ばれる大巧寺(だいぎょうじ)を訪れてみました。この寺は安産祈願で有名で,寺庭は小さくても植栽は豊富で,それでいていつも静かな佇まいを呈しています。

寺庭の花
寺庭の花

 鎌倉駅東口を出て直ぐの若宮大路に山門(裏門)が面しているにもかかわらず,静かさ感じることができるので,まだお参りされたことのない方は,機会があれば一度訪れてみてください。

山門(裏門)

 通称の“おんめさま”は『大巧寺第五世・日棟が,難産の末命を落としたものの,成仏できず苦しんでいた秋山勘解由の妻の霊を法華経で成仏させました。この妻は成仏三日後に現れて,日棟に宝塔を建てて供養してくれるよう頼みました。その代わりに,妊婦がこの宝塔に法華経を唱えて祈願すれば,必ず安産となるよう恩返しをすると伝えた』とする故事に端を発するそうです。

本堂

 この宝塔には“産女霊神”が祀られ,お産女様(おうめさま)と呼ばれるようになり,この“おうめさま”がいつしか訛って“おんめさま”になったと伝えられています。

寺庭
寺庭の花
寺庭の花

 前置きがかなり長くなりましたが,ここからがこの記事のメインどころです! これから紹介する小説等を道標に,秋の鎌倉を散策するのも一興かと思いますので,読んでいただけたら嬉しいです。

紹介作品一覧

・『つわものの賦』
・『月と蟹』
・『ウツボカズラの甘い息』
・『時計館の殺人』
・『東慶寺花だより』
・『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ(全7巻)
・『週刊古寺をゆく18 建長寺 円覚寺』
・『Vista 鎌倉』

作品紹介

・『つわものの賦』 永井路子 四六判 ¥450
 著者・永井路子は,『吾妻鏡』を何度も読み返し,鎌倉幕府成立の時代の中核にあるのは “外からの力でも,源頼朝個人の挙兵ではなく,東国武士団の行動”として捉え,そこに歴史的な意義を見出しました。
 本書は鎌倉武士の姿を描き出した歴史評伝であり,永井路子が鎌倉時代を扱った一連の小説の原点であり,帰結でもあります。

・『月と蟹』 道尾秀介 文庫 ¥250
 小学生の慎一と春也は“ヤドカミ様”という願い事遊びを考え出した。「100円欲しい」,「いじめっ子をこらしめる」…
 他愛ない儀式はいつしかより切実な願いへと変わり…子供たちのやり場のない“祈り”が周囲の大人に,そして彼ら自身に暗い刃を向ける……。
 鎌倉の海,鶴岡八幡,建長寺,十王岩などが登場します。
 第144回直木賞受賞

・『ウツボカズラの甘い息』 柚月裕子 文庫 ¥250
 家事と育児に追われ,かつての美貌を失った高村文絵。趣味の懸賞でデイナーショーのチケットを手に入れた。参加した会場で,見覚えのない美女に声をかけられた。彼女は文絵と同じ中学で同級生だというのだ。そして,文絵に恩返しがしたいとある話を持ちかける。
 一方,七里ヶ浜に建つ豪邸で殺人事件が起きる。神奈川県警捜査一課の刑事・秦圭介は鎌倉署の美人刑事・中川菜月と捜査にあたる…

・『時計館の殺人』 綾辻行人  文庫 ¥250
 鎌倉の外れに建つ謎の館。この館には108個の時計コレクションが収蔵され,時計館と呼ばれている。ここで10年前一人の少女が死んだ。
 江南孝明は,“オカルト雑誌の取材班”の一員としてこの館を訪れる。館に棲むという少女の亡霊と接触した交霊会の夜,忽然と姿を消す美貌の霊能者。閉ざされた館内では殺人劇の幕が上がる!犯人は…

・『東慶寺花だより』 井上ひさし 文庫 ¥250
 江戸時代,女たちが不幸な結婚から逃れるための駆け込み寺であった北鎌倉の東慶寺。救いを求めてこの寺に身を寄せるさまざまな女たちを,門前の御用宿で居候を決め込む戯作者志望の青年・中村信次郎の目を通して描かれた物語です。

・『ビブリア古書堂の事件手帖』シリーズ(全7巻) 三上延 文庫セット¥1,650
 北鎌倉駅近くにある「ビブリア古書堂」の若き店主・栞子(しおりこ)を中心に展開される“古書にまつわる事件” を,栞子の名推理で解き明かす物語。
 舞台は鎌倉市全域におよび,古書に関する蘊蓄が“これでもか!”と語られています。古書の好きな方にも,推理の好きな方にもお薦めできる作品です。

・『週刊古寺をゆく18 建長寺 円覚寺』 小学館 300×230mm ¥250
 鎌倉五山第一位の建長寺と第二位の円覚寺。武士の都・鎌倉に伝わる禅の心を,現代にも残す建長寺と円覚寺を紹介する雑誌です。

・『Vista 鎌倉』 JTBパブリッシング A4判 ¥350
 花の古寺,花の散歩道。散歩の途中で「おいしい昼膳」。隠れ家的カフェでひと休み。などのテーマで鎌倉を満喫できる内容です。
 JTBらしく,有名どころから穴場スポットまで取り上げているので,鎌倉に行き慣れた方も,層でない方も持っておきたい一冊です。

最後に

長くなりましたが,ここまでお読みいただきありがとうございました。

皆様の興味を引く作品はあったでしょうか?
気になる作品がありましたら,是非サイトにアクセスして,商品の状態を確認してみてください!

その際,気になることやもっと知りたいことがありましたら,サイトの問合せページから,ご気軽にお問い合わせください。

次回もよろしくお願いいたします。

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