叶山カノ@イラスト&漫画&小説💫

謎の物書き 色々描きます

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最近の記事

魔剣使いのリリィさん⑥

「みんな、大丈夫…?」 私は倒れているみんなに近づき、無事を確認した。 みんななんとか怪我もなく、ただサキュバスに精神を蝕まれたので少しだるそうだ。 「うん、なんとか」 ルルカが頭を押さえながら言った。 その横でミオンが厳しい表情をしている。 「でも、まだよ」 鋭い声だ。 「まだ本体が消えてない」 ミオンの魔力探知に引っかかっているのだ。 本体のサキュバスは倒れてはいなかった。 さっきのは分身か… 私はヒュンと魔剣を振ると、鞘に収めた。 魔剣は分身の魔力を吸ったおかげか、なん

    • 魔剣使いのリリィさん⑤

      「そうね…あんなことが起きてしまった後だとね」 私はポツリと呟いた。 そして、リビングに立て掛けてある剣を見る。 魔剣セルシスリード。 魔人ノイジーが合体した本物の魔剣だ。 私はこの剣を手に入れ、魔剣使いになった。 魔剣の力で色々なことができる様になった。 ライオットは一口コーヒーを飲むとゆっくりと私の方を向いた。 「俺も無理なことを言ってるのは承知だ。お前はまだダンジョンには入りたくないだろ?しかし…今回の冒険にはお前さんの力が必要なんだ、リリィ」 ライオットが真剣な表情で

      • 魔剣使いのリリィさん④

        「はぁ…はぁ…」 私は痛む腕を押さえながら足を引きずっていた。 ここはダンジョン内、第四階層。 最深部は第八階層、いわば今いるのはダンジョンのど真ん中。 こんなはずじゃなかった… 私たちは腕の立つパーティだ。 こんなところでここまでの深手を負うはずもなかった。 仲間たちとははぐれたままだ。 私は剣を片手に足を引き摺りながら歩いた。 とにかく誰かと合流しなければならない。 今の私ではまともに魔物とも戦えない。 私はあまりの痛みに、剣を取り落としそうになっていた。 ことの発端は

        • 魔剣使いのリリィさん③

          チュンチュン… 朝の光がカーテンの隙間から入り込んでいる。 小鳥の声がさえずり、私はゆっくりと目を開けた。 よく寝たなぁ…。 私はふと寝ているベッドに目を向ける。 さてフェーンはよく寝れたかな…ん!? なにやら大きなものがいる。 フェーン? 姿を変えたの? 私はモゾモゾと動いてその大きなものにかかっていた毛布を外した。 「!?」 そして私は思わず驚愕した。 声も出ない。 なんと私の横にいたのは、1人の男の子だった。 黒髪の獣人の少年。 歳の頃は17.6歳くらい。 私は慌ててま

          魔剣使いのリリィさん②

          その魔物と対峙している時、私は不思議な感覚を覚えた。 魔剣で魂を吸い取って仕舞えばただの抜け殻になる。 なのに私はそれをする気にならなかった。 「リリィくん、どうしたのかね?この魔物はそんなに強くないはずだが」 私は構えていた剣をゆっくりと下ろす。 そしてそのまま暴れ出しそうな魔物に近づいた。 「グルルルル…!」 魔物は私の喉元を噛みちぎらんばかりに唸り声を上げる。 私は剣を持ってない手でその魔物にそっと触れた。 ビクン!と魔物が驚いた様に身体を震わせた。 私は魔物の目を見た

          魔剣使いのリリィさん①

          「んー!今日も天気がいいなぁ」 私はゆっくりとベッドから出て窓のカーテンを開けた。 空の青がとても眩しい、暖かな光は今の季節だとほんの少し汗ばみそうだ。 初夏の朝…これから何かいいことが始まる様な、そんな予感さえさせる。 「ご飯でも食べようかなぁ」 私は寝室を出て、キッチンへと向かう。 食材を確かめて、朝ごはんを作り始めた。 ジュー 美味しそうな音である、目玉焼きの焼ける音に、私は思わず微笑み、出来た目玉焼きとトーストをテーブルに置いた。 コーヒーを淹れて、席に座る。 「いた