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JW217 皇太后と呼ばれて

【開化天皇編】エピソード2 皇太后と呼ばれて


第九代天皇、開化天皇(かいかてんのう)の御世。

即位(そくい)の翌年、紀元前157年、皇紀504年(開化天皇元)1月4日、開化天皇こと、稚日本根子彦大日日尊(わかやまとねこひこおおひひ・のみこと)(以下、ピッピ)は、ある発表をおこなった。

先代の大后(おおきさき)を皇太后(おおき・おおきさき)と尊んだのである。

尊ばれたのは、ピッピの母、鬱色謎(うつしこめ)(以下、ウッチー)であった。

系図(鬱色謎)

ウッチー「そうだす。私が、初めてだす。」

ピッピ「母上? いや、皇太后・・・。何が初めてなのです?」

ウッチー「私が、本邦初の単独で尊ばれた皇太后なんだす。」

ピッピ「い・・・言われてみると、それまでは諸説有りの様相を呈(てい)しておりましたな・・・。」

ウッチー「そうなんだす。私が、初の単独・・・。なんや、晴れがましい気がしますなぁ。」

ピッピ「おめでとうござりまする。」

ウッチー「褒(ほ)めても、何も出てきませんよ。」

ピッピ「分かっておりまする。されど、妃が出て参りまするぞ。」

ウッチー「妃?」

ピッピ「新たに、妃を迎えることに致しもうした。では、紹介致しまする。丹波竹野媛(たにわのたかのひめ)にござる。『たかの』と、お呼びくだされ。」

たかの「お初にお目にかかるがね。『たかの』だがね。私の父は、由碁理(ゆごり)だがね。」

ピッピ「左様。丹波(たにわ)の県主(あがたぬし)・・・すなわち、地方豪族にござる。丹波と誼(よしみ)を結ばんがため、妃に迎え入れもうした。」

地図(丹波)

ウッチー「ピ・・・ピッピ? な・・・何を言うてはるんです? 由碁理と言うたら・・・。」

するとここで、尾張建諸隅(おわり・の・たけもろすみ)(以下、ケモロー)が現れた。

ケモロー「やっとかめだなも(お久しぶりです)! エピソード205以来だがや!」

ウッチー「隠れてはったんだすか?」

ケモロー「隠れとったわけじゃねぇで。待機(たいき)しとったんだがや。」

ウッチー「せやけど、まさか、汝(なれ)の娘を妃に迎え入れるやなんて・・・。」

ピッピ「む・・・娘?」

たかの「じ・・・実は、父の由碁理というのは・・・。」

ケモロー「我(われ)と同一人物っちゅう説が有るんだがや。」

ピッピ「なんじゃと!?」

ケモロー「海部氏(あまべ・し)の系図では、同一人物とされとるでよ。そういうことで、この物語でも、同一人物っちゅうことになったんだが!」

系図(尾張氏)

たかの「申し訳ありませぬ。早く言おうと思うとったんだけど、父上が、今日まで、黙っとけと言うもんで・・・。」

ピッピ「では、結局、尾張氏(おわり・し)から、妃を迎え入れたようなモノではないか・・・。」

ケモロー「尾張氏と海部氏は、どっちが本家か、諸説紛々の状況だで。だから、同一人物の可能性も有るんだがや。」

ピッピ「限りなく黒に近い灰色ということか・・・。」

ケモロー「ほんでもよぉ。我(われ)の娘という設定なら、エピソード213で紹介された、我の嫁、葛城諸見己姫(かずらき・の・もろみこひめ)との間に出来た子供とも、考えることが出きるんだがや。」

ウッチー「ほんなら、なんで、諸見己姫が登場せんのだす?」

ケモロー「仕方ないのう。では、紹介するがや! 嫁の諸見己姫だがや! 『ロミ子』と呼んでちょう(ください)!」

ロミ子「お初にお目にかかりまするよ。『ロミ子』にござりまするよ。よろしゅう御願い申し上げまするよ。」

系図(諸見己姫)

ウッチー「こちらこそ、よろしゅう・・・。」

ピッピ「されど、これで目論見(もくろみ)が外れたのう・・・。」

ケモロー「目論見?」

ピッピ「そうじゃ。さきほども申した通り、我(われ)は、丹波と誼を結ばんがため『たかの』を妃に迎え入れたのじゃ。それが、ケモローの娘であったなら、その意義を失うではないか・・・。」

たかの「ほんでも、尾張氏&海部氏と誼を結べたんだがね。良かったでねぇの!」

ロミ子「左様にござりまするよ。尾張氏&海部氏から妃を迎え入れるのは、今回が初めてにござりまするよ。」

ピッピ「い・・・言われてみたら、そうじゃのう・・・。」

ケモロー「これからも、よろしく頼むでよ。婿殿(むこどの)・・・。」

ピッピ「お・・・おう・・・。」

そのとき、もう一人の妃、包媛(かねひめ)(以下、カネ)がやって来た。

系図(包媛)

カネ「ピッピ様ぁぁ!! これは、どういうことです!?」

ピッピ「カ・・・カネ! 『どういうこと』とは、こちらが言いたいぞ! なにゆえ来たのじゃ!?」

カネ「だって、気になるではありませぬか! それで・・・汝(いまし)が、新しい妃?」

たかの「そうだがね。よろしく御願い申し上げます。」

カネ「よ・・・よろしく・・・。嗚呼・・・。私より美人・・・(´;ω;`)ウッ…。」

ピッピ「カ・・・カネ・・・。汝(いまし)も充分、可愛いぞ・・・。」

カネ「えっ!? 本当に!? も・・・もう! ピッピ様ったらぁ・・・(〃▽〃)ポッ」

ウッチー「手慣れてはりますなぁ・・・。」

ピッピ「ま・・・まあ・・・。お恥ずかしい限りにて・・・。」

ウッチー「それで・・・誰を大后にしますのや?」

ピッピ「は?」

ウッチー「せやから、『カネ』、『たかの』、あと、今回登場してへん、『鸇比売(わしひめ)』と、三人の妃がおりますやろ? 誰にしはるんです?」

ピッピ「その儀については、遷宮(せんぐう)や先代の陵(みささぎ)が造営されてからになりまするな・・・。」

ウッチー「そうだすか・・・。」

誰が大后となるのであろうか・・・。

次回につづく

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