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001_坂

坂がある。
A町から大学病院方面へ抜ける坂がある。

日中は学生がよく通る、平凡でありふれたちょっと薄暗い坂。

日が沈むにつれて人の往来はなくなり、
脇に茂る竹藪が風で擦れ合う音だけが耳に残る。


先輩からこんなことを聞いた。


雪が積もる夜にこの坂を二人で降りてはいけない。
一人で降りても三人で降りても良い。
二人で登っても良い。

二人で降りてはいけない。
二人の間にもう一つ足跡がつくから。


友人Nと坂を降りていると、ふとこの話を思い出した。
信じていなかったけれど、なんとなく気になったので振り返る。





僕らの両側に足跡が続いていた。




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