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脱ステロイド、やりました

こちらの記事は、アトピー性皮膚炎治療にまつわる脱ステロイド記を書いています。そもそもアトピー性皮膚炎って何?という方はこちらから↓




2023年10月半ばより、脱ステロイドを始めた。
小学生頃から肘の内側にアトピーがあったものの10代20代はあまり深刻にならず過ごしていたが、2~3年ほど前から顔と首に症状が再発するようになった。そこから皮膚科通院をしステロイドを処方してもらっていた。

脱ステに至るきっかけは単純で、保険証切り替えの都合で、通院のタイミングと保険証が無い期間が一時的に重なってしまったからだ。ただ、通院しながらもステロイド治療と診療に疑問を抱いていたことは十分に影響を及ぼした。

通院していた皮膚科の医師ミネ子(仮)はおばあちゃん寄りのおばちゃんだった。サザエさんのようなヘヤースタイルで初診にはどでかい虫眼鏡を携え、ケント・デリカットを彷彿とさせる虫眼鏡ごしのまなざしでしっかり皮膚を観察し、治療方針を話してくれた。

が、皮膚科は経過観察が主である。
プロ医師ミネ子は回数を増すごとにチャキチャキ診療を進めていく。

「はいこんにちは、どんな感じですか~?」
「どこそこがこんな感じで、ここは治まっています」
「あ、そう。今日何本にする~?」
「う~ん、、じゃあ4本で!」

ミネ子からはもう、ケント・デリカットネタは見られなくなっていた。
代わりにわたしが想像したのは『ウシジマ君』の世界である。ウシジマ君は2話くらいしか読んでいないので、もしかしたら『ハスリンボーイ』だったかもしれない。

ともかく、「クスリ何本いっとく?」の世界を感じてしまったのだ。
これがずっと続くのかと思うと大変ゲンナリした。クスリ(ステロイド)が無いと生きていけない身体になっていくのは怖かった。

そんなこともあり脱ステに関心が向きYouTubeや書籍を漁ってみたら、なんだか自分でもできそうと感じたのでオラいっちょ脱ステやってみっか!とキメ込み今に至る。

参考書籍によると、脱ステとは「ステロイド塗布をやめてアトピーを治すこと」ではなく、「ステロイド塗布をやめることでステロイド依存の状態から脱却し、本来の症状や皮膚状態を顕現させること」のようだった。
つまりアトピー完治が目的ではない。ステロイドによってサボっていた体内の自己修復システムを正常に稼働させましょうね!という方針で、要は自己治癒力に全力BETである。

脱ステのリスクは途中経過がひどくなることだった。
今までステロイドで抑えていたものを放置するわけだから、それはそれは大変なのだ。わたしの場合、脱ステの翌日から顔がパンパンに腫れあがった。アンパンマンといい勝負の張り具合だ。
2~3日腫れたあとは薄いかさぶたが地割れを起こしたような形状でじわじわごわごわ広がっていき、脱ステから7日ほど経過した頃には、みかんの皮を裏返して貼り付けたような大きくて分厚いかさぶたが顔全体を覆っていた。

この時期が最もつらかった。バイオハザードならクリーチャー側に立つほうが違和感が無いほどで、頬を擦れば本当に人間の皮膚なのか疑う質感だった。外出の際は必ずつば付きの帽子とマスクをしないと、人の目が怖くて出られなかった。『金田一少年の事件簿』で昔ヤケド負いまして系のキャラクターは軒並みゴムマスクや包帯をしているが、その気持ちがすごくよくわかる。
一方で、眉を書かなくても外に出られる知見を得、また人に非ずと形容すべき皮膚を観察することが面白くなってきていた。好奇心あれば万事好転である。

生活習慣を中心に色々取り組んだ結果、みかんの裏皮(人皮製)は2週間ほどでパラパラと剥離が始まり、1か月後にはややひび割れを伴いつつも、「この人は極度の乾燥肌でお悩みかもしれない」と思われそうなレベルまで落ち着いてきた。

約2か月半が経ち、2023年12月現在。
顔は普通に、むしろステロイド塗布前より調子が良くなっている。人間の自己治癒力は計り知れない。外出時に帽子を被る主な理由は眉がめんどいからとオフ時の芸能人めいたものになったし、掻いても傷が出来なくなったのはとても嬉しい。時折夜中に汗をかき痒みが出て睡眠不足になるが、痒み発作レベルも低く傷にならないので心の負荷が明らかに軽減された。

脱ステロイドを経験しわかったのは「健康第一」に他ならない。具体的には食と栄養、簡単な運動、ストレスフリー!という本当にごくごく当たり前のことを、当たり前に実行していくこと。

これを読んで下さっている皆様も、創作や執筆ばかりでなく健康に気遣う楽しさを味わってほしい。もう皆様すでに味わっていてわたしが乗り遅れているのかもしれないけど、本当に体の変化を実感できるし、人体って面白い。支えてくれる人にも感謝できる。創作ができる土台はいのちであり、心と身体の健康だ。

まだところどころ重症な箇所はあり、服で覆われたところは浸出液や薄いかさぶたや痒み、微量の掻き傷が残っている。小学生の頃にあった肘内側に症状が出るようになったから、本当に元来の皮膚状態になってきているのだと思う。

肌年齢も小学生に戻ってはくれまいか、くれないか。

みかんはヘタから剥く派です

アトピー脱ステライフの欠片


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