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ブックレビュー「自由と成長の経済学 「人新世」と「脱成長コミュニズム」の罠」
本書は2月5日にブックレビュー「人新世の「資本論」」をUpした「人新世の「資本論」」への反論本である。
こちらは従来の資本主義を徹底的に擁護する立場にあるだけに至って論旨はシンプルだ。
著者の基本的な主張は、コミュニズム、社会主義はすべて全体主義に陥ったことは歴史の事実であり、資本主義との優劣ははっきりしている、したがって「「人新世」の資本論」が主張する脱成長コミュニズムは民主主義と相いれるは
ブックレビュー「私労働小説 ザ・シット・ジョブ」
私が著者のブレイディみかこ氏を知ったのは2019年作『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』が評判になったからだった。同書はまだ読んでいないのだが、本書はタイトルからしてPunk精神を感じたのでこちらを先に手に取ることとした。
著者は1965年生まれなので私と同世代と言って良く、日本在住時からPunk Music、特にJohnny Lydonに影響を受けたらしい。
著者は、福岡県立修猷館
ブックレビュー「シナリオ・プラニング 未来を描き、創造する」
企業が予算作成のプラニングをする際には、だいたい今の状況の延長線上を前提にしていることが多い。予算の時間軸はせいぜい1-3年だろうし、このため「今日と明日はだいたい同じ」という前提になってしまう。
しかし色々な業界で、過去の延長線上でしか戦略を準備して来なかったがために消滅してしまった企業がある。ポラロイド、サン・マイクロシステムズ、ボーダーズ、ナップスター…
私の好きな格言に”Hope fo
ブックレビュー「DAOの衝撃」
本書で”Web3”関連書籍を読むのは5冊目となり、流石に斜め読みできるようになってきた(気がする)。本書の発行は2022年11月。
著者は「Web3総合ビジネスサロン」を主宰する人で、これまでの経験を活かしてリアルとWebの融合を得意としているらしい。
タイトルはCatchyだが、内容は意外とオーソドックスで、コンパクトにかつ平易な表現なので入門書としては大変読みやすい。特にDAOの代表例のC
ブックレビュー「鑑識レコード倶楽部」
本書が発行されたのは2022年4月で、当時友人が読んだ、と言っていたのを覚えている。
それからすぐに自分のBook to readに追加していたのだが、なかなかAmazonでは中古で手に入らなかった(せこい話ですみません)。仕方が無いので一度は海外の出品者から洋書の中古を注文したのだが、値段が安いな、と思っていたら、どうも全うな業者では無かったようで、待てど暮らせど到着しなくて、結局キャンセルし
2023年 年間アルバムベスト10
2020年から始めた年間アルバムベスト10も今年で4年目(2020年はこちら、2021年はこちら、2022年はこちら)。
なかなか新譜を聴くだけの時間が確保し辛い今日この頃ですが、各種Mediaや評論家の方々の推薦アルバム、お気に入りのMusiciansの2023年発売アルバム合計237枚から私の好みの10枚を選んでみた。
1. ”Folkoracy” by Rufus Wainwright
ブックレビュー「メタバースとWeb3」
昨年来続く流れで、本書で”Web3”関連の書籍を読むのは四冊目、その内ブックレビューを公開したのは二冊目(一冊目はこちら。まだnoteのドラフト段階のものが二つほどある)。
本書はWeb3がバズった2022年4月に第一版が発行されている。他の書籍も同年の末までに発行されたものが多く、Google Trendで見てもWeb3のピークは2022年7月なので本書発行のタイミングは適切だったと思われる。
ブックレビュー「すべては一人から始まる ビッグアイディアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力」
本書の原題は”Work with Source”で副題は”Realize Big Ideas, Organize for Emergence and Work Artfully with Money”。
著者はTom Nixonという英国在住の起業家・コーチ・アドバイザーだが、元のSourceという考え方は既に一線を退いたPeter Koenigが10年以上の探求を通じて得た洞察をTomが自ら取
ブックレビュー「人新世の「資本論」」
日経新聞に「リーダーの本棚」というコラムがあって、各界のリーダーが自分の推し本を毎週紹介している。
通常あまりこういったビジネス関連の推し本は余程のことが無い限り参考にしないのだが、群馬県知事である山本一太が次のように述べていたので興味を持った。
この山本氏という政治家自身に特にシンパシーがある訳では無いが、二つの相対する意見を比べるという姿勢は好感が持てた。
ということでまずは「人新生の「
ブックレビュー「ロビー・ロバートソン自伝 ザ・バンドの青春」
昨年8月に亡くなったRobbie Robertsonだが、長年の親友だったMartin Scorseseの映画”Killers of the Flower Moon”の音楽担当として初めてAcademy AwardのOscarにNominationされたらしい。
何と言っても「初めて」というのに驚く。と言うのも今回取り上げた本書では彼が映画に大変興味を持っていたことがうかがい知れるからだ。同じM
ブックレビュー「欲望という名の音楽 狂気と騒乱の世紀が生んだジャズ」
今年最初のブック・レビューは音楽モノから。
本書は、昨年7月に出版されたもので、日米の二十世紀のジャズの「裏面史」を掘り下げ、ジャズの毒を絞り出すことを探求した本だ。
米国では、ニューオリンズの地方音楽だったジャズがシカゴ・ニューヨークを皮切りに全米に広がっていったことで20世紀を代表とする大衆音楽になっていったのがいわば表の歴史だ。その裏には戦争、売春、ドラッグ、酒、犯罪、人種差別、民族差別
ブックレビュー「ロック・ギター異人館」
最近職業関係の本が多かったので、久しぶりの音楽本で。
Rolly寺西がヤング・ギター誌に2016年1月号から2019年1月号まで連載した「Rollyのロック・ギター偉人伝」の内容に加筆・修正を加えて再編集したもの。
この手の「ギタリスト」本の多くがメインストリームの有名ギタリストを並べたものであるのに対して、Rollyが自らの音楽史を紐解く中で、異色のギタリスト(本人弁「あまり有名ではないけど
ブックレビュー「科学的な適職」
まずタイトルがEye-catchingだ。「4021の研究データ」に「科学的」、そして「最高の職業の選び方」。今やデジタルメディアに押されて肩身の狭い紙メディアで生き残るにはこういうProduce力は必須なのだろう。
タイトルがEye-catchingだとは言え、今や残りの就業人生は短く、自分自身がキャリアを悩む可能性はほとんどない。それでも本書に興味を持ったのは経営人事コンサルタントという職業