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カンタン・デュピュー『Daaaaaali!』幼稚なダリがいっぱい

カンタン・デュピュー長編12作目。一昨年から1年に2本というホン・サンスみたいなペースで作品を撮りまくっており、昨年は『Yannick』をロカルノ映画祭で上映した数週間後にヴェネツィア映画祭で本作品を発表している。冒頭からダリの絵画"Necrophilic Fountain Flowing from a Grand Piano"、ピアノとそこに開いた穴から水が流れ出る絵を雑に再現した画が登場する。ダリの描いた不条理空間が雑に実体化しているのだ。物語はジャーナリストのジュディットがダリにインタビューをしようとするが、気分屋のダリに翻弄されて毎回失敗するというもの。インタビューを経るごとにダリを演じる俳優が変わっていくのは、ダリの言う"絵画に現れる様々なペルソナ"の具現かと思われるが(髭が本体だったりする?)、正直どれも幼稚すぎて閉口。ジュディットを主役にした不条理劇かと思いきや、途中から謎の神父の夢オチ展開を天丼するという誰目線の映画なのかも迷子になってしまった。それ自体が不条理であると言ってしまえばそうなのかもしれないが、不条理を盾に客から逃げんなって感じしかしない。ダリの名声を利用しようとする上級市民たちやアートに値段をつける業界への批判なども含まれるが、ジジイのダリと男性プロデューサーが若い女性レポーターを不機嫌に振り回してパワハラするほうが気になってあまり響かず。終盤で『インセプション』みたいになってからは若干盛り返すが、そこまでが冗長すぎた。劇場で観るカンタン・デュピューはどれも好き(鹿革&煙草)なのに、家で観るカンタン・デュピューはどれも好きじゃない(タイヤ&ヤニック&ダリ)現象って名前付いてたっけ?

・作品データ

原題:Daaaaaalí!
上映時間:77分
監督:Quentin Dupieux
製作:2023年(フランス)

・評価:50点

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