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カンタン・デュピュー『Yannick』つまらんゲージュツは俺が変えるんだ!

カンタン・デュピュー長編11作目。昨年から1年に2本というホン・サンスみたいなペースで作品を撮りまくっており、今年も本作品をロカルノ映画祭で上映した数週間後にヴェネツィア映画祭で次の新作『Daaaaaali!』を発表している。今回は凡庸な舞台劇を鑑賞していた男ヤニックが、そのつまらなさにブチギレて、自分で脚本を書いて云々という物語である。曰く、毎日働いてようやく取れた休暇で、1時間かけて自宅からここまで来たのに、全く楽しませるような演劇じゃない、と。確かに彼の言う"演劇は観客を楽しませるものではないといけない"という理論と、俳優の言う"芸術はそういう次元にない"という理論は興味深いが、演劇自体はオーバーアクトで繰り返しの多いつまらないものなので後者の説得力には欠ける(一応、後に回収される)。一度は追い出されたヤニックは銃を持って再入場し、劇場に立てこもり、以降は銃の"強さ"くらいしか読み取れなかった。やはり、ワンアイデアを引っ張るために、それに乗り切れないとずっとつまらん。しかも、ヤニックの書いた脚本で観客が笑っている描写があったが、全くどこに笑いを見出しているのか分からなかった。救いは67分ということだけか。手数で押してた『タバコは咳の原因になる』とか、主人公がもっと狂ってた『ディアスキン』の方が断然好き。

・作品データ

原題:Yannick
上映時間:67分
監督:Quentin Dupieux
製作:2023年(フランス)

・評価:40点

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