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ラヴ・ディアス『Serafin Geronimo: The Criminal of Barrio Concepcion』全てはここから始まった

ラヴ・ディアスの長編デビュー作。エンジェルという名のジャーナリストが暗殺された。彼女の後輩で親友だったエルヴィラは、ジャーナリスト暗殺事件のほとんどが未解決のまま放置されていることについて、葬儀場に来た国会議員を問い詰めるが、大きな成果は得られない。そこで何か物言いたげなセラフィンという男と出会う。彼はエンジェルが死の直前まで担当していた未解決の誘拐事件について、情報提供をしようと田舎からマニラまでやって来たのだ。エルヴィラはエンジェルの後を引き継いで、関係者全員死亡で幕を下ろした誘拐事件について、誘拐犯の一人だったというセラフィンに取材を続行する。主犯の軍曹という男は中々猟奇的な人物だったようで、仲間割れしかけた瞬間に相手を生かしたまま腹を割いて内臓を取り出す瞬間などが描かれていた(ラヴ・ディアスらしからぬ内臓直写映像…)。が、基本的にセラフィンくんはお留守番だったので退屈な絵が続くだけ。セラフィンは病弱な妻の治療費を稼ぐために参加したので、犯罪についての物語が終わると突然難病ものにシフトチェンジする。こちらも、なぜか犯罪ものの方に妻との思い出をねじ込んでいる部分があって、変に時系列が乱れていた。その他、劇伴がダサすぎて尽く滑ってる、テンポが悪い、どうでもいい事ばかり説明して必要な説明は省く、誘拐犯が多すぎて誰か分からない、など色々問題はあるが、政治的なテーマや部屋を斜め上から見渡すショットなど今と共通する部分もあって色々納得した。海外ではめちゃ評判悪いけど、ラヴ・ディアスっぽくないってだけで普通だと思います。

・作品データ

原題:Serafin Geronimo: Ang Kriminal ng Baryo Concepcion
上映時間:111分
監督:Lav Diaz
製作:1998年(フィリピン)

・評価:60点

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