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カンタン・デュピュー『タバコは咳の原因になる』タバコ戦隊、世界を救う?

大傑作。カンタン・デュピュー監督最新作。タバコ戦隊はベンゼン、ニコチン、アンモニア、メタノール、水銀の五人からなる正義の味方。冒頭では採石場という戦隊もの御用達のロケーションで、岩亀星人を全員で囲んで爆殺した後、暫しの休養を言い渡される。その後は近未来的なリゾートポッドに連れていかれ、焚き火を囲んでそれぞれが"怖い話"をするという意味不明な展開に。と思いつつ、MCU基ヒーロー映画を解体して雑にラベリングすると、最初に敵を倒す→どーでもいい話→世界の危機→なんやかんやで元通り、という感じになるんじゃないか。最終的には"正義のヒーローが世界を救う!"という本筋まで、登場人物たちが語った与太話として回収されるという構造的な面白さもあれば、今回は連発されるギャグもバカで極上、しかも短尺で爆速、もうなにも言うことなし!

タバコ戦隊の上司はシェフ・ディディエという粘土を5秒くらい捏ねて作ったみたいなフォルムの、緑色の粘液を口から垂れ流す、イケボのネズミなのだが、もう明らかに◯ッキーじゃないすか。そう考えると、ベンゼンの髭がドクター・ストレンジっぽかったり、メタノールが中途半端にフェミニズムを擁護したり、水銀が子供に電話する人間臭さを描いたりするのも、なんとなく巷に溢れ帰ったヒーロー映画の"文法"を皮肉っていたり?

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