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フランソワ・ポンポン展 〜動物を愛した彫刻家〜:1 /佐倉市立美術館

 ポン、ポン…………なんともキャッチーな調べだ。
 これがまず「人名」であることに、日本のわたしは驚く。フランスではよくある苗字なのだろうか?

 語感の軽やかなリズムそのままに、ポンポンの彫刻は愛らしく、洗練されていて、親しみやすい。ほとんどが動物をモチーフとしたもので、その範囲内でバリエーションは多岐にわたる。総数にして、170種類という。

 ※京都展の作品紹介がいちばん見やすいので、ご紹介

 さまざまな動物彫刻があちこちに置かれる展示室は、さながら動物園。
 心なしか家族連れや若年層がいつもより多いように見受けられ、マスク越しに笑みを浮かべる光景もちらほら。わたしもまた、思わずニヤリとすること数知れず。
 ふだんの美術鑑賞は(わたしの場合は)どこか「果たし合い」のようなところを帯びているものだけれど、ポンポンに関してはまったくの丸腰で、それこそ動物園にでも来たような気持ちで観ることができた。
 ポンポンのポの字も知らずとも、作品に接すればすぐに好きになれるし、馴染める。本展は昨年7月に京都で開幕してから今回の千葉・佐倉で4会場め、次(現在)は山梨で5会場めとなる大規模巡回展だが、老若男女を問わない、いい作家に目をつけたなと思う。図録の売り切れも、やむをえまい……

 本展が日本で開催できた大きな理由として、群馬県立館林美術館のポンポン・コレクションの存在がある。関連資料などを含めると100点以上もあるこの一大コレクションを基本として、母国フランスから重要作品を借用することで組み立てられたのが本展。館林さまさまだ。
 館林美術館の別棟ではポンポンのアトリエが再現されていて、こちらも非常に楽しい。
 群馬や館林との直接の関連は薄い……というか「ないに等しい」のだが、いまや立派な館の目玉となって、ポンポンを目指して来館する人も多くいることだろう。子どもたちにも親しまれているはずだ。そしてこうして、全国巡回展で陽の目をみることもある。
 「いい作家に目をつけた」とは、館林市に対して、まずは捧げるべき言葉なのかもしれない。(つづく


 ※本日のカバー写真は、桜キャンペーン中だった佐倉駅の駅名表示板


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