見出し画像

学生服リユースショップさくらや研究【さくらやぼん編その3】

 起業について、福祉について、まちづくりについて、子供の貧困について、SDGSについてなど、テーマは様々ですが、馬場さんは全国から講演やシンポジウム、セミナー、フォーラムといった場に呼ばれて「さくらや」での経験を話す機会が増えました。

 「さくらやの事を話しているだけ」と馬場さんは言いますが、呼ばれるからには社会が求めている「何か?」があるのかもしれないとも思っていました。

 全国津々浦々、馬場さんが講演に行って話しに行くと、多くの女性たちから声を掛けられるそうです。みんな共通点は、

地域で地域のために子供たちのために何かやりたい!!

画像4

 既に起業することが決まっている人もいました。けれど、そんな人も不安があって相談に来るのでした。

 馬場さんは、「こうやって各地域に来ることで、会って話を聞いてあげられてるんだろうな」と思い、「この人達の背中をずっと押し続けるにはどうしたらいいのか?」を考え続けました。

 その頃、馬場さんには出版の話も舞い込み、いろいろ悩んだそうです。それでも、普通のビジネス本(活字のみ)では馬場さんが応援したい女性や子育て中のお母さんたちが果たして読むだろうか?と疑問に思っていたそうです。

ただの自己満足の本になるのはいやだ~

 「オシャレな女性が読みやすいビジネス本を作ろう!」「カフェや美容室に置いてくれてコミュニティビジネスのことか分かりやすいワークブック形式にしよう!」などなど、イメージや構想が膨らんでいきました。

 ちょうどその頃、香川県の西部、三豊市で「関係人口」についてのトークイベントが開催されました。講師は、雑誌「ソトコト」編集長の指出一正さんです。

 「ソトコト」は、1999年に創刊され、ロハスやスローライフといったキーワードとともに時代の社会感を発信してきた月刊誌です。指出さんは2011年から二代目の編集長を努めています。週に6回(!)地方に訪れているのだそうです。

 「関係人口」というのは、移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域と多様に交わる人々を指す言葉で、政府でも総務省のポータルサイトが開設されるほど重視されている新たな概念です。人口減少や高齢化によって地域づくりの担い手不足の課題に直面する地方圏で、地域と多様に関わる「関係人口」が着目されているのです。

画像1

 この「関係人口」という言葉の提唱者が、「ソトコト」編集長の指出さんだと言われています。指出さんは、全国各地の地域づくりアカデミーに携わり、政府の地方創生や環境・SDGsの有識者会議の委員にもなっています。

 馬場さんは、自身のライフスタイルとも共通点がある「ソトコト」が大好きで、指出さんの「追っかけ」を自称するほどのファンです。三豊市で行われたトークイベントには馬場さんは聴衆として参加しました。そして、質疑応答のセッションで、「さくらや」のことに触れながら指出さんに質問したそうです。

 そうしたら、指出さんが「さくらや」に興味を持ってくれたようで、3か月後の「ソトコト」に取り上げられることになりました。その縁もあって、馬場さんが出版する本にも、指出さんとの対談をお願いして、快く受けてもらったのだそうです。

画像2

 指出さんとの対談は、香川県の高松市で行われました。高松駅からほど近い、瀬戸内海の島々が臨めるレストランです。馬場さんが好きな、高松を代表する風景が楽しめる場所です。

 対談の中で、指出さんは地方の「おもしろい」場所や人々、コミュニティを紹介しながら、関係人口について語られました。「おもしろい」というのは、指出さんの最大の褒め言葉で、馬場さんの「さくらや」も、型にはまらず自発的に構築していくオリジナリティがあって「おもしろい」と言ってくれました。

 そんな指出さんに、馬場さんは「さくらや」のパートナーの話や、学生服のアートギャラリーを作りたいという夢を語ります。馬場さんのことを天真爛漫と見ていた差出さんでしたが、馬場さんの考えに意外な一面を感じたようです。

画像3

 対談を経て、馬場さんはますます、指出さんの大ファンになったそうです。出版された本の対談では、瀬戸内海の穏やかな海をバックに、馬場さんと指出さんのテンポの良いやり取りが収められています。

続く



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?