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没後四半世紀を迎え、小説家辻邦生を知っている人が少なくなってきました。辻邦生さんの作品…

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没後四半世紀を迎え、小説家辻邦生を知っている人が少なくなってきました。辻邦生さんの作品がこれからもずっと残っていくよう、40年以上辻邦生さんのファンであり続ける僕が辻邦生さんについてご紹介するページです。

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    僕が読ませていただいて心に残った記事を、その都度、勝手にアップさせていただきます。

最近の記事

  • 固定された記事

「ただ旅をして歩くだけの仕事があれば」と言ったのは岡本おさみだけれど

初めまして。 実を言えば以下の記事でプロフィールに代えようとおもっていたのだけれど、共同運営マガジンに参加する以上はそれでは足りないだろうと考え、改めて(改まってはいない・・・)自己紹介記事を書くことにしました。 (ちなみに以下の記事、3月の「今このnoterが面白い」に追加していただいたようでありがたい限りです) 1.仕事歴 一応、グラフィックデザイナーという名で仕事をしてきました。地方の小さな(といっても、社員数からいえば業界では大手になるそうなのですが)広告代理店に

    • ありがとうございます、またいただきました。 #短編小説 だそうです。 でも内容は「短編小説の紹介」ね。

      • 『洪水の終り』事件は季節の移ろいとともに。今こそ読んでほしい戦争の悲劇

        発表年/1967年 辻邦生さんの作品にはエピグラフ(作品の巻頭に置かれる引用文や題辞)の置かれているものが少なくありません。例えば先の『献身』では次の句が置かれています。 『洪水の終り』のエピグラフは『旧約聖書』創世紀のこの部分、 有名な「ノアの箱舟」の一節です。神は箱舟から出たノアと、二度とすべてのものを滅ぼす洪水を起こすことはないという契約を結びます。冒頭に置かれたこのエピグラフはどんな意味を持つのでしょうか? 1.登場人物とストーリーのあらまし 『洪水の終り』の

        • 『ある晩年』《生》と《美》の哲学的思考、その物語としての表出

          発表年/1962年 短編小説『ある晩年』は、『城』『西欧の空の下』『影』などとともにごく初期にパリで書かれた作品です。『西欧の空の下』はややエッセイ風な掌編で、機会があれば他の短い作品と合わせてご紹介しようとおもいます。 さて、『ある晩年』ですが、フランスのT**市で弁護士として名をあげたエリク・ファン・スターデンの最後の半年ほどを描いた小説です。先にご紹介した『献身』と同じように、こちらも単行本としては初期の短編集『シャルトル幻想』にまとめられていますが、そのあとがきで辻

        • 固定された記事

        「ただ旅をして歩くだけの仕事があれば」と言ったのは岡本おさみだけれど

        • ありがとうございます、またいただきました。 #短編小説 だそうです。 でも内容は「短編小説の紹介」ね。

        • 『洪水の終り』事件は季節の移ろいとともに。今こそ読んでほしい戦争の悲劇

        • 『ある晩年』《生》と《美》の哲学的思考、その物語としての表出

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        • 心に残るnoterさんの記事まとめ
          17本
        • 辻邦生作品レビュー/短編小説
          7本

        記事

          「書く部」のことばと広告さんがこんなことを始められるそうです

          褒めていただけるだけじゃなくて、ここはこうしたら、とか、改善点を指摘してくれる・・・うう〜む、アメばっかりじゃなくてやっぱりムチも欲しいよね、っていう方はぜひ(笑) あ、僕はおかまいなく。

          「書く部」のことばと広告さんがこんなことを始められるそうです

          『献身』死の床にある詩人ランボオと、それを看取る妹、モノクロームの映画のように

          発表年/1966年 下の記事で辻邦生さんの作品の特徴をあげてみましたが、 もうひとつ、次のことがありました。 歴史もの、恋愛もの、あるひとりの人生を描くもの、思想的なイメージもの。中には怪談めいたものから「世にも不思議な物語」のような掌編まで。いったい、その着想はどこから得たのだろう・・・というより、なぜそれを書こうとおもわれたのだろうか、ということが気になってしまいます。 この『献身』という短編も、そんな作品のひとつです。 1.あらゆる世界への絶望と怒り。ランボオとは

          『献身』死の床にある詩人ランボオと、それを看取る妹、モノクロームの映画のように

          なぜでしょう、「書く部」には、他のマガジンに比べて、読みたい、コメントしたい、っていう記事が多い気がします。これは僕だけ?

          なぜでしょう、「書く部」には、他のマガジンに比べて、読みたい、コメントしたい、っていう記事が多い気がします。これは僕だけ?

          【創作】掌編 栃ノ奥嶺(とちのおくみね)から/都会を捨て山に入った男のモノローグ

          夏の章  ところでここは清流の音が心地よく、我ながらテラスを作ったのは正解であったと(まるでパパ・ヘミングウェイのように)フローズン・ダイキリの大きなグラスを傾けながら、ひとり自負しているところです。実際、フローズン・ダイキリには大きなグラスがよく似合います。ミキサーがないのでクラッシュアイスにラム酒をぶっかけるという、ほとんど<もどき>のようなものだけれど、別に誰かに提供するものでなし、グレープフルーツジュースにほんの少しシロップを加えてかき混ぜると、これはこれで爽快な飲

          【創作】掌編 栃ノ奥嶺(とちのおくみね)から/都会を捨て山に入った男のモノローグ

          『風越峠にて』自分の宿命と対峙すること

          発表年/1975年 先日、日経新聞の「文学周遊」で、辻邦生さんの『風越峠にて』が取り上げられていました。 もともとこの短編をこちらでもご紹介するつもりだったので、それに合わせたわけではありませんが、良いタイミングだったとおもいます。 『風越峠にて』は日本書紀巻第三十、持統天皇の項で描かれる大津皇子謀反の事件を下敷に書かれた短編小説です。戦中を山岳地方の旧制高校で過ごした「私」が、同窓の友人、谷村明が戦争末期から終戦直後にかけて遭遇した出来事を本人から聞かされるという形で話

          『風越峠にて』自分の宿命と対峙すること

          いただきました!

          ありがとうございます!みなさまのおかげです。 先週特にスキを集めた#仕事の記事だそうです・・・仕事? まあそうか・・・こちらです。 今後ともよろしくです。

          いただきました!

          作品には作品のもつ言わば運命というものがある、あるいは作品が、自分自身の要求を持っているといったらよろしいのでしょうか、ともかく一度書き始めるといかに作者がねじふせようと思っても、どんどんふくらんでくるというような性質を持っています。『遥かなる旅への追想/歴史小説を書く姿勢』より

          作品には作品のもつ言わば運命というものがある、あるいは作品が、自分自身の要求を持っているといったらよろしいのでしょうか、ともかく一度書き始めるといかに作者がねじふせようと思っても、どんどんふくらんでくるというような性質を持っています。『遥かなる旅への追想/歴史小説を書く姿勢』より

          『廻廊にて』生涯を通して《美》と《生》に向き合い続けた画家、マーシャ

          発行年/1963年 『廻廊にて』は辻邦生さんの処女長編です。亡命ロシア人の画家、マリア・バシレウスカヤ(バは原作ではワに濁点)(通称マーシャ)が残した日記や手紙、それに友人の言葉を手掛かりに、画学生としてともに一時期を過ごした日本人の「私」が、マーシャの内的彷徨に迫ってゆく物語です。画家と言いながら生涯に数点の作品しか残さなかったマーシャにとって、《美》とは、《芸術》とは何だったのか、《生》の意味はどこにあったのか。マーシャの生きた軌跡をたどりながら、辻邦生さんは静謐な文章で

          『廻廊にて』生涯を通して《美》と《生》に向き合い続けた画家、マーシャ

          『円形劇場から』一箇所に定住せず「私」が彷徨い続けた理由とは?人生の意味を問う美しい物語

          発表年/1970年 辻邦生さんは機会あるごとにご自分の作品について書いたり語られたりしているので、作品をご紹介しようとおもうとついそういったものに頼ってしまいそうになるのですが、ここはできる限り自分の感想としてお伝えしようとおもいます。 レビューを書くために再読して思い出しました、短編小説の中では、僕はこの『円形劇場から』という作品が一番好きだったのです。 例によって「私」のモノローグで物語は進んでいきます。「私」は家を離れ、大学で聴講生となるために都会に出てきます。都会

          『円形劇場から』一箇所に定住せず「私」が彷徨い続けた理由とは?人生の意味を問う美しい物語

          作品を書くために何か特別なことをする必要はまったくない。むしろ一日一日の歩みのなか、刻々の時間の移りのなかで、自分が本当に生きていることをつかんでいるかということのほうが大事だと思います。 『言葉の箱〜小説を書くということ〜』より

          作品を書くために何か特別なことをする必要はまったくない。むしろ一日一日の歩みのなか、刻々の時間の移りのなかで、自分が本当に生きていることをつかんでいるかということのほうが大事だと思います。 『言葉の箱〜小説を書くということ〜』より

          『北の岬』ある至高の愛の軌跡

          発表年/1966年 日本人の「私」が2年の留学を終えてパリからの帰途、船内で日本へ向かうスイス国籍の修道女、マリ・テレーズと運命的な邂逅をするところからこの話は始まります。 マリ・テレーズの信仰する宗派は言葉の上での教義ではなく、自ら弱者のもとへ赴いてその人たちの日常へ入り込み、暮らしを共にすることで信仰の姿勢を明らかにするといった厳しいものでした。マリ・テレーズが日本へ行くのも、日本でのその仕事のためなのです。信仰以外のことではまだ子どもと言ってもいいようなあどけない姿を見

          『北の岬』ある至高の愛の軌跡

          《ただ一度の生》に目覚め、きっぱりと《若さ》から決別することは・・・

          発表年/1968年 この作品は、辻邦生がフランスで想を得て書いた一連の短編小説のひとつです。南イタリアのブリンディジからイオニア海を渡り、ギリシャのアテネへと旅をしながら、主人公である「私」が《生》への啓示を受ける話です。 特別これといったストーリーがあるわけではなくまた、旅の途中でクリスチアーヌとモニクというフランス人の若い姉妹と知り合いになりますが、彼女たちは単に若さの象徴として登場しているのみで、話の中で特に大きな行動を起こすわけでもありません。 最初に、《死》をイ

          《ただ一度の生》に目覚め、きっぱりと《若さ》から決別することは・・・