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在宅勤務の黎明期から成長期で気をつけたいこと

このnoteで伝えたいこと

様々な企業で急速に広がっているリモートワークですが、その浸透スピードがあまりにも速い為、随所で上手くいかない歪みが確認されています。これまでは一部の人が実践する在宅勤務でしたが、実践する人が増えることに伴い、それまでの常識が通用しなくなっているのです。この問題を放置すると、後々取り返しのつかない事になりますので、注意喚起の為に書きました。

こんな人に伝えたい

これまでもずっと在宅勤務を行っている人、最近在宅勤務を始めた人、幅広く読んで頂きたいです。今回、問題提起させて頂く内容は、在宅勤務歴の長さは関係無く、全員が当事者意識を持たないと解決が難しい問題だからです。

在宅勤務の黎明期

これまで長い間、在宅勤務は極一部の人のワークスタイルでした。フリーランサーは効率化重視で何年も前から在宅勤務をやっていますが、私の周りではおおよそ2013年位まで、基本的に育児や介護が必要な人が特別な勤務体系として、限定的に認められるワークスタイルでした。2014年くらいから、職場でもダイバーシティが認められる意識が広がり、個人の価値観を尊重する意識の強い会社や職場から順に、在宅勤務を特別ではない勤務体系として認め始められたと思います。

そんな在宅勤務の黎明期の特徴は、”オフィスで同僚と同調的に働くスタイル”と”在宅勤務者を含む同僚と非同期的に働くスタイル”は、あえて変えるというものです。例えばこんな暗黙のルールはあるあるネタじゃないでしょうか。

・チャットが中心のコミュニケーションでは挨拶という概念をあえて無くす
・Web会議システムを使っているにも関わらず顔出ししない
・メンションさえすれば情報は伝わっていること前提にできる

自ら新しい働き方に挑戦し、実践してきた人にとっては効率的なルールかと思います。しかし、これらのルールが在宅勤務の成長期にも通用するかというと、そうではないと考えます。

在宅勤務の成長期

在宅勤務の黎明期がゆっくりとしたスピードで成長期に発展すれば問題無かったのかもしれませんが、今現実に起きている事は急激なスピードで成長期に突入したということです。そこで生じる歪みの原因は”在宅勤務リテラシーが低い人も在宅勤務を行う”ということです。これまでは一部の人が器用に運用していた在宅勤務のルールですが、それは限定的な人にしか通用しなく、オフィスで働くことが当たり前な人にとっては馴染めないルールです。この歪みを解決するには、在宅勤務リテラシーの低い人に在宅勤務のルールに慣れてもらうことも大事ですが、在宅勤務リテラシーの低い人でも働きやすい環境を作ることも大事です。

在宅勤務リテラシーの高い人も低い人も、お互いが歩み寄る必要があると考えます。

これからの在宅勤務に求められること

ここでは代表して、3つの考え方をご紹介させて頂きます。勿論、会社の文化や従業員の成熟度等によって良し悪しが分かれる傾向がある内容なので、考え方の参考程度にご活用頂ければと思います。

「性善説ではなく性悪説で働く」
これまでの在宅勤務は基本的に性善説で、皆が適切に働いていることを前提として緩いルールで働いてきました。これは能動的に効率よく働ける優秀な人ばかりだったから成立するルールです。その結果、プロセスで評価する傾向は少なくなり、あくまで結果で評価される傾向が高まりました。オフィスで働きたい人は、上司に働いている姿を見せたいから出社していると言っても過言ではありません。一見情けないことの様に感じますが、一定の緊張感を持って仕事に取り組みたいのだと解釈すれば、決して悪いことではありません。ここにオフィスで働きたい人と在宅勤務ルールの歪みがあります。こんな時は、オフィスで働く時にはあまりされなかったであろう”本日取り組む業務内容と所要時間の一覧”を上司や同僚が見えるチャットなどに書くことだけで解決できるケースがあります。上司はマネジメントが楽になり、本人はやることを宣言することで、緊張感を保って業務に集中できます。

また、基本的にチャットや掲示板ではメンションさえすれば情報は伝わっているのが当たり前との文化がありますが、これも性悪説の意識で「わかりやすい反応が無い限り情報情報は伝わっていない」と考え、相手が情報を認識している反応が得られるまでしつこくプッシュ通知することが望まれます。

「コミュニケーションを重んじる」
従来のチャットは「おはようございます」などの挨拶は基本行われませんでした。また、何か軽い報告をした場合も「了解(承知)しました」と反応するのではなく、いいねボタンを押すだけで済ませるケースが多かったかと思います。チャットリテラシーの低い人がなかなかチャットを使わない理由の一つに”Postして良いタイミングかどうかが分からない”というものがあります。例えば「おはようございます」「ランチ行きます」「お疲れさまでした」という挨拶をチャットでするだけで、Postして良いか否かが理解し易くなりますので、チャットの利用頻度が高まります。

また、チャットや掲示板では積極的に雑談をすることもオススメです。仕事中の雑談というものは物凄く重要で、雑談は仕事の潤滑油といっても過言ではありません。この雑談をなくしてしまうと、対面式では上手く成立していた仕事も少しずつ上手くいかなくなってしまいますので、あえて雑談をするチャネルを作ることもお薦めです。
※雑談の重要性に関しては、それに特化したnoteを近い内に投稿する予定です

「プライバシーは過剰に配慮しない」
Web会議になれてくると、画面に顔を出すことをしないようになり、Web会議システムがただのテレカンシステムになっているというケースはかなり多いと思います。これもWeb会議リテラシーの高い人同士なら、顔や表情が分からなくても、適切なコミュニケーションが取れるのですが、1人でもWeb会議リテラシーの低い人が居ると成り立ちません。話を理解出来ていないのに次の議題に進んでしまったりします。このため、基本的に画面に顔を出し、話に対して大袈裟なぐらい頷くことが重要になります。反応が芳しくない人にはフォローすることができます。

また、最近はWeb会議システムを使って自宅での仕事環境を紹介し合うことも良いとされています。自分が仕事に使っているテーブルや椅子はどんなものか、子供は何処でどんなことをしているのか等を紹介するだけで、相手の仕事環境を理解することができます。Web会議中は子供やペットの声などが入らないように注意している人が多いと思いますが、少し位聞こえてしまっても「さっきのあの子かな」と思う程度で済みます。「子供いるのに在宅勤務で大変だな」とも思われるでしょう。

皆が働きやすい環境を作ることの大切さ

以前から在宅勤務を上手く運用していた人にとっては少々めんどくさい取り組みに変わってしまうかもしれませんが、やってみると気になる程面倒ではないとご理解頂けるかと思います。フリーランサーの様に完全に個人の活動による成果で成績が付くという労働環境であれば、自分の快適さだけを追求すれば良いかもしれませんが、組織に属する限り、周りとの協調性も重要になるのが事実です。特に大企業では様々な人種が居ますので、そんなダイバーシティな環境でも上手く協調する仕組みを作らなければ、組織の活動量が減って、結果的に個人の評価にも跳ね返ってきそうです。

ただでさえ人材不足に悩まされる今の時代、同じ会社にいる人が働き易くなるだけで、組織の生産性は高まります。在宅勤務が苦手な人を「時代遅れな奴」で済まさず、貴重な労働力と思い、活用しやすい環境を作っていくことが、これからの時代に重要な考え方になるかと思います。

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如何でしたでしょうか。これから在宅勤務の成熟期に入っていきます。一部の人だけが上手く運用できる偏ったルールのまま成熟期に入ってしまうと「やっぱり在宅勤務は宜しくない」となってしまう可能性すらあります。皆が快適に感じるルールを構築した状態で、在宅勤務の成熟期に入っていくことが重要となります。


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