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最新AIがGPS(GNSS)に新たな役割を与えるかもしれない

日本は地震大国で、その予知は関心事が高いと思います。

ただ、現時点ではまだ「予知」は難しいと言わざるを得ない、という話を以前にしました。

地震の兆しとして、都市伝説として有名なのが、ナマズが騒ぐというものがあります。もう信じている人は少ないかもしれませんが、科学的な信ぴょう性については高いと言えません。

1つだけそれについて実験をしたというサイトを紹介します。

的中率以前に、何をして騒ぐのか、そしてなによりどの地域までが対象範囲なのか(さすがに北海道のナマズが沖縄の地震予知しても・・・)など、そもそも設定が難しいので、この手法が我々の生活に役立つとは思えません。

ただ、ナマズの名誉のために補足しておくと、人間よりも鋭敏な感知能力をもっているようです。

1つ記事を紹介します。

ようは、
ナマズは微弱な電気信号(準静電界)を検知できる能力がある、
という話です。

我々人間含めて、通常の生物には常に微弱な電気信号がながれています。
例えば、脳波や心電図も体内の微弱な電気信号を対外的に読み取る装置です。

地震が起こるときには、なにがしかの電気的な揺らぎが発生し、それをたまたまナマズが検知した、という可能性はゼロではありません。ただし、再現性に乏しいので実用面では厳しいでしょう。

前振りが長くなりましたが、水中でなく宇宙からの信号で地震予知ができないか、という研究で進展があったので紹介します。

この宇宙視点での地震予知については以前にも触れました。

前回は、
・観測衛星による地すべり現象
・宇宙線
の変化から検知に使えるかもしれない、という話でした。

今回は、先ほど触れたナマズに関係する「電離層での揺らぎ」をGNSSで観測し、今のAIブームをけん引する「深層学習」で地震予知するというアプローチです。

まず、電離層とは大気層の1種で、名前の通り大気中の原子・分子から電子が離れた(電離)状態になっている層のことです。ざっくりですが、高度60kmー800kmで起こります。Wikiにある下図が分かりやすいです。

Wiki:「電離層」

次に、GNSSとは平たく言うとスマホやカーナビでおなじみのGPSの一般的な名称です。GPSは厳格に言えば、アメリカの軍事衛星の名称です。おなじみになったので通称化していますが、精度問題や一国支配リスクがあるため、日本含むいくつかの国で独自のGNSS衛星を打ち上げています。

そのGNSSは基本的には「電波」を地上に送ることで位置を正確に知ることができます。

このGNSSという電波が、電気的に偏りがある電離層を通過するときに邪魔をされることがあります。(擾乱と呼ばれます)

これを観測することで地震予知をしよう、という一見繋がりが見えにくい試みです。

上記記事内ではそのメカニズムへの言及がありませんでしたが、過去の天災(例として2011年の東日本大地震と2022年のトンガ火山噴火)ではその異常が検知されたようです。

そしてそのアルゴリズムとして、今はやりの「深層学習」が活用されているということです。

深層学習にもさらにその手法で細分化されています。

例えば、いま話題の生成AIは、時系列に強いTransformerベースが大半ですが、これも従来のRNN(リカレントニューラルネットワーク)を大幅に改善(改革に近い)したものです。

今回開発したものも、RNNを改善したLSTM(超短期記憶)と呼ばれる手法です。

まだ研究半ばなのと、個人的には地震と電離層の論理的な因果関係が知りたいところではあります。

ただ、少なくとも今回の地震以外にも、磁気嵐、火山噴火、暴風雨などでも電離層の乱れは観測されているようです。

それを元々別の趣旨(地球での位置を知る)であったGNSSが天災予知に使えるという偶発的な活用が花開くとしたら面白いですね。

今回に限らず、科学の世界では思わぬ応用は枚挙にいとまがありません。

この興味深い研究の進捗は、地上から定期的に観測(購読?)していきたいと思います。

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