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【となりの家のはなし④】家族の風景〜母のこと(中)〜

私が作られるにあたり、母からの影響は切り離せない要素です。前回に続き母のお話を。

駆け落ち同然で一緒になった両親。生活を始めるとすぐ、ズレが生じてきます。内面を知らずに、その時のパッションだけで突っ走った結果のしっぺ返しです。外面を蝋人形のように繕った父のことですから、その落差たるや、えらいこっちゃです。

釣られた方が悪いとばかりに、気に食わなければ怒鳴り、言い返せば手も上げる。給料は中抜して少ない生活費を渡すなど、やりたい放題。

嫌気が指したは母が幼い私を連れて田舎に帰ろうと家を出る日。「わかった」と言って別れて家に帰っていく父の後ろ姿が、なんともいえず寂しそうで惨めだった…っていう理由で、実家に帰るのを思いとどまったそうです。

…いやいやいや、全然わからんし(怒)。自業自得って言葉知ってる?って言いたくなります。「あの時、実家に帰らんかったのが人生で一番心残り」と母は言います。そうしてことあるごとに「かわいそう」でふわふわっと父のわがままを許してきた母、いや許してないのか、言いたいことを飲み込んできた結果が今にあります。

「かわいそうだから」、起業した父と一緒に仕事を手伝い、仕事と家事と育児で体は今でもボロボロ。社長の肩書に恥じないように高級時計を買い与え、従業員に対しては自分が悪者になって叱り、夜の営業活動だと言い張り明け方まで呑み歩く父に目をつぶり、当て馬のように従業員の前で怒鳴り散らされ…そして「どうして自分ばっかりしんどいのか」と父を恨むようになります。

父からの理不尽な扱いを受けている母を見ていて、今度は私が母に対して「かわいそう」の呪縛にかかります。そうでなくても顔色や空気感を受け取りやすい私にとって、母のグチを聞き、気を使い、慰め、いい子でいる事が私の勤めだと思い込みました。

ある日、「私はお父さんの飯炊き女でしかない」といつものグチを漏らした母に対し、少し煩わしくなった私は「そんなん言わんと新しい服でも買っておしゃれしてでかけたらいいやんか」と言った時から、口をきいてもらえなくなりました。一週間…。

大人になって母にその真意を正したところ、「あんたも私に反対するのか」と、そして何より父に似た私の顔を見ると腹が立ってしょうがなかったと…。

もう、1㎜も意味がわかりません。
みなさんも、意味分からなすぎてモヤモヤするでしょう…。そんな状況で、次回に続きます。

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