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自殺で家族を亡くした子どもたちが生きる世界を変えるのを、少しだけ手伝ってくれませんか?

雨風が強い。

風が窓を打つ音が聞こえる。

宿直明けの午後、予想のつかない天気のせいで、図書館かカフェに出かけるタイミングを逃した。ベランダに干しっぱなしにしていた洗濯物を取り込んでからキッチンでこれを書いている。最近お気に入りの作業場所、キッチンで、ノートパソコンを開いてカタカタしている。

早めに読まないといけない本を読み進めるのをちょっとだけ先伸ばしにして、noteを書く。おとといと昨日ははてなブログを書いた。なんとなく、書くことで気持ちを落ち着けたいモードに入って来たので、また50日連続投稿をしてみようと思った。

次のゴールは5月6日。ゴムの日なので覚えやすいと思いつつ、他にもこの日、何か記念日とかあるかなと思って調べたら、ふりかけの日や、国際ノーダイエットデーというのもあるらしい。ノーダイエットデーは、ダイエットの過度なプレッシャーが世界的に広まったことへの危機感から、それによって引きおこされる健康への影響を訴える日だそうだ。

ふりかけの日とノーダイエットデーは相性が良さそうだ。ご飯が進む。
僕はというと、ここ最近続いていた謎の腹痛がようやく落ち着いてきた。50日弱フライングをして、今夜はたくさんご飯を食べよう。

いつも、全然関係ない話から入ってスミマセン。
今日は、「本当は100万円くらい寄付したかったんだけど、財力があまりなくてそれが叶わなかったクラファンを、よかったら一緒に応援してくれませんか?」という、ちょっと(ずいぶん?)厚かましいお願いです。

こんなことを最初に書いたらみんな読むのやめちゃいそうだけど、
こんなことをnoteに書くの、たぶん最初で最後だと思うので、どうか、どこかにいかずに、最後まで読んでください。


自死の話をすることはタイトルで分かったと思うけど、この話でしんどくなる人はこの先は読まないでくださいね。あるいは、読んで大丈夫な気持ちの時に読んでもらえると嬉しいです。



誰にも言えなかった、家族の自殺

もういろんなところでオープンに話しているんだけど、僕は生後半年で母を自死で亡くした。

そのことを知ったのは自分が中学の頃だった。
当時、つまり、今から17年くらい前は、今以上に、自死の話はタブーだった。

もっと小さい頃から、家族が、自分にもいたはずの母の話をあまりしないこと、家族が、外の人に母のことを話すときに、小声で話しているような態度から、子どもながらに、なんとなく、その話題は触れてはいけないことなんだと悟っていた。

中学で母の死因が自死だったということを知ってショックを受けた。それから数年間は、友人や周りの大人たちにそのことを話せず、その傷はひとりで抱え、どこか、周囲と壁を感じながら生きてきた。

大人の人に、自分の気持ちを受け止めてもらったのは、高3のときだった。倫理の定期テストで課題になっていた「自殺」についての作文を書いたあとのこと。それを読んだ倫理の先生が後日、申し訳なさそうな表情で話を聞きにきてくれた。生徒に自死遺族がいることを予想していなかったのかもしれない。だけど、それをきっかけにその先生に話せて、感情を受け止めてもらえたことは、僕はとても嬉しかった。その先生の授業が、僕は大好きだった。

それから少しずつ、このことを話せる人が増えていった。


どう受けとめていいかわからない人へ

 これは、友人と”wish you were hereの対話”という、自死で身近な人、大切な人を亡くした人どうしの語り合いの活動を始めてから知ったことなんだけど、年間2万人が自死でなくなる日本で、自死遺族は約300万人いるという推計がある。

300万/1億2000万=1/40。
クラスに1人、いるかいないか。決して珍しくはない。

だけどまあ、家族を自殺で亡くしたっていう話を誰かから直接聞いたことがあるかと尋ねられたら、特に若い人ほど、そんな話は聴いたことないっていう人が多いと思う。なぜなら、本人が言わないから。言っちゃダメだと思っているから。知らないだけで、実は周りにいても不思議ではない。

もちろん、自死遺族とひとことで言っても、たとえば母子家庭で母を亡くすのと、大家族でおばあちゃんを自死で亡くすのとでは、子どもの受け止め方は大きく異なる。たとえ似た状況でも、亡くなった人との関係性や、個人の気質や性格はそれぞれ違うから、人によって受け止め方は違う。


年を重ねるにつれて、多くの人が、いろんな問題を経験するようになる。

離婚だったり、リストラ、依存症、家族の介護、事故、友人の死、ひきこもり、精神病、難病になったり、障害を負ったりすることもある。生まれてきた子どもに重い障害があったりもする。

自分自身が大きな課題に直面することもあれば、身近な人や家族がいろいろな困難を経験することもある。本人も、支える側も、楽ではない。

しんどい話を誰かと共有することが増えれば、逆に誰かのしんどさを聞く機会も増える。そのなかで、身近な人が自殺したっていう話を聞く機会だって出てくるかもしれない。

でも、やっぱりいろんなしんどい経験のなかでも、自殺っていうのは、トップクラスで重たい話だし、まだまだタブー視されていることだから、聞く機会が少ないと思う。

慣れていないけれど、いつか身近な人に、打ち明けられるかもしれない。

誰かに、身近な人が自死でなくなった話を打ち明けられたときに、どう受け止めていいかわからない人は、とりあえず耳を傾けて、相手の気持ちをそのまんま聞いてあげてほしい。慰めようとか、すぐに立ち直ってほしいとか思わなくてもいいから、聞く側もしんどいとは思うけど、とりあえずその人の経験や気持ちを、その人の経験や気持ちとして、無理のない範囲で、そのまま聞いてあげてほしいと思う。これは、あくまで僕の思いだけど。

もちろん、子どもが一人遺されて生活に困っていたら支援を受けられるようにしないといけないし、もし必要そうだったら、遺族会だったり、グリーフケア・サポート団体、カウンセリング、精神科クリニックなどを紹介するのもいいかもしれない。そういう存在をあなた自身が知っておくだけで、受け止めやすくなるかもしれない。



「話してもいいかもしれない」と思える機会が、子どもたちにもありますように。

 
 大人になってからなら、信頼している人とサシで飲みに行って、家族の自死の話を聞いてもらったり、もし、遺族会や、グリーフサポートの居場所などに参加して、自死遺族どうしの繋がりができたら、その人になら話しやすくなることはあると思う。

だけど、子どもって、なかなかハードだ。
遺族会の存在だって知らないかもしれないし、学校で普通に過ごしていて、他の遺児たちに出合う機会なんてめったにない。国によっては、似た境遇の子供どうしを大人がつなげてくれることもあるみたいだけど、日本ではそういう話をあまり聞かない。

そもそも、これは、大人だってそうだと思うけど、苦しんだ末に亡くなった大切な人のことを思ったときに、残された自分のことを、ケアが必要な存在だとか、(死んだその人ではなく)自分が誰かに助けを求めていいと思えないことも、珍しくない。

だから、グリーフケアの情報に触れる機会は、どの人にも、早い段階で作ってあげてほしい。もちろん、これを読んでくれているあなたにも。
困ったときに支えてくれる人がいるってことを、早めに知ってほしい。

普段、自死だけでなく様々な理由で大切な人を亡くした若者のグリーフケア、グリーフサポートを行っている一般社団法人リヴオンが今回はじめようとしているプロジェクトは、高止まりしている子どもの自殺予防だけでなく、自死遺児のサポートも行おうとしている。

1. 家族を亡くした自死遺児と保護者を対象に
家族の自殺を経験した子どもと、保護者に向けた情報をリーフレットとウェブサイトを通じて届けます。各自治体が元々作成しているリーフレットの改訂時にも活用できるよう、もしくは新規で自死遺児たちへの情報提供を行う際に活用できるように、テンプレートとしての利用をできるようにします。 
2. 学校や地域で自殺を経験した子どもたちに
学校の中で自殺という出来事を経験した時の助けになるような情報を、リーフレットにまとめたり、ウェブサイトで一覧できるようにして届けていきます。
3. 学校に向けて
ウェブサイト内で、学校の先生たちや教育機関に携わる人たち向けに役立つ先生たち自身と、子どものグリーフサポート、グリーフワークに関する情報を届けます。事後に必要なノーマライゼーション(生まれてくる感情や反応が自然であることを伝えること)やどのような情報と関わりが必要なのか。大人も子どもも、亡くした人と共に生きていくことをどのように支えられるのか、追悼の場のつくり方などについても発信をしていきます。

CAMPFIRE
「「子どもの自殺予防教育」と「自殺により死別経験した子へのサポート」両輪で届ける」
より引用


グリーフサポートやグリーフワークの情報や、グリーフに関する知識が載ったリーフレットを読むだけでも、気持ちが楽になることはあって、これがあることで、親や教職員の方々も、「どう関わって良いかわからない」から一歩も二歩も、前に進めると思う。

このプロジェクトに関わっている大人たちの多くが、子どもの頃、あるいは若い頃に親や家族を亡くした当事者でもあります。

直接お話させてもらった人も何人かいますが、とても熱い思いを持って、他の遺族の人たちが少しでも楽に生きられるようになるための活動をしている方たちばかりです。

ただ、まだまだ、”自殺”を扱う問題は、忌避されがちなのか、支援が集まりにくいのかもしれません。

もしよかったら、1000円でいいので、お力を貸していただけませんか?


苦しい経験をした人たちが、たくさんの人に支えてもらえる世の中になりますように。


関連情報

■一般社団法人リヴオン
もりもともボランティアでかかわっている、リヴオンのホームページはこちら。グリーフケア・サポートに関する情報も載っています。

■note「wish you were hereの記録」

音声配信「wish you were hereの対話」のなかで、ぼくたちが、他の人に家族の自死の話をしたときに、どんな風に受け止めてほしかったかを話した内容のテキスト版。もぐらとナマケモノが枝につかまっているイラストの下に、その話を載せています。


たまには遠くを眺めてぼーっとしようね。