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生き金と死に金

 今日は久々に大きな買い物をした。金額で言えば、今までの買い物で人生トップ10に入るくらい(!)。買うかどうか若干迷ったけれど、決断するのは割と早かった。一番の理由は、一目見て「これだ!」と思ったから。

 ちなみに買ったものは、着物の帯。懇意にしている着物屋さんにあった一点物の帯。ちょうどその帯を作った着物作家さんもいらしていた。作家さん本人が「やっぱり一点一点、色や柄の出方が違って出来も違うんですけど、これは本当に自信作です」とおっしゃっているだけあって、本当に見事な帯だった。

 値段はするけれど、着物は一生、さらには次世代までも引き継げる。我が家には祖母が母のためにあつらえた振袖があるが、それは母だけでなく私も成人式や友人の結婚式の折に着たものだし、さらに次の世代にも引き継いでいけるくらい品も状態もよいものだ。

 何より、試着もして、他の着物との組み合わせもいろいろ見せてもらった上で、心底納得して買った買い物なので、後悔はない。値段の過多に関わらず、私は自分が心から納得した物以外は、なるべく買わないようにしている。逆にいえば、本当に気に入ったものは多少値が張ってもほぼ即決で買う。

 そうやって手に入れたものに囲まれて暮らしているとやっぱり自分の気持ちがよいし、大抵の場合、値段以上の価値を発揮してくれる。よく身につけるストールは出店で1,000円くらいで買ったものだけれど、何年も使っているし、「似合うね」「素敵」と褒めてもらえることも多いので、私の日々のご機嫌度に大きく貢献している。逆に同じ1,000円くらいの値段でも、必要にかられて若干納得がいかない状態で購入した物は、結局1回きりしか使わなかったり適当に扱ってしまったりすることになる。

 かけた分だけ、もしくはそれ以上の価値が生まれる/あるお金のことを生き金、それとは逆に無駄になるお金のことを死に金という。私は特別お金持ちではないので、そんなに高い物をたくさん買える訳ではない。だからこそ、限られた中でできるだけ生き金を使って生きていきたい。例えお金持ちであっても、お金の使い道が死に金ばかりなら、それはあまり幸せなことでもなさそうだ。

 今日買った帯にかけたお金も死に金にならぬよう、一生かけて生き金にしていこうと思う。

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ありがとうございます。いつかの帰り道に花束かポストカードでも買って帰りたいと思います。